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『殺人ア・ラ・モード』 パトリシア・モイーズ(著),山崎昂一(翻訳)

2024年01月03日 18時52分23秒 | ■読書
イギリスの作家パトリシア・モイーズの長篇ミステリ作品『殺人ア・ラ・モード(原題:Murder a la Mode)』を読みました。
『死の会議録』に続き、パトリシア・モイーズの作品です。

-----story-------------
ヘレン・パンクハーストは腕時計を見た。
11時半だった。
長い長い夜はこれから始まろうとしている毎年1月、美麗なファッション雑誌〈スタイル〉は、春のパリ・モード特集号を組む。
今日はその締切り日だった。
隣りの部屋では編集長以下、スタッフが写真の最終的なレイアウトをめぐって激しい議論を重ねている。
しかし彼らは、それが済めば帰ることができるが、ヘレンはそうはいかなかった。
一晩のうちに写真のコメント、モードの説明、表紙の宣伝文を考え、それらを翌朝7時に印刷屋の使いがくるまでにタイプで仕上げておかねばならない。
午前4時半、まだヘレンの仕事は終わりそうもない。ふと喉の渇きを覚えた彼女は、手を休め、仕事から眼を離さずに右手をのばして湯呑をとりあげ、息もつかずにそれを飲み干した。
印刷屋の使いは、翌朝7時きっかりに来て、ベルを鳴らしたが、返事はなかった。
ヘレンはすでに殺されていたのだ。
死因は青酸カリによる中毒死。
─捜査にあたったティベット警部は、犯人をヘレンの魔法瓶に毒を盛ることができた人間─6人の編集スタッフと秘書と専務に絞り、解決は間近に見えたのだが……。ファッション雑誌社の華やかな世界とは裏腹の、残虐な殺人事件を、斬新なモイーズ・タッチで描いた本格ミステリの秀作!
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1963年(昭和38年)に刊行された、ロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)のヘンリ・ティベット警部とその妻エミーが活躍するヘンリ・ティベット警部シリーズの第4作にあたる作品です……小口と天・地が黄色に染めてある、懐かしく、心ときめく装丁のハヤカワポケミス(ハヤカワ・ミステリ、HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOK)版で読みました。

ファッション雑誌”スタイル”の編集部は大忙し……パリで発表される服装のレイアウトをどうするかで徹夜の状態であった、、、

でもどうにか仕事は終了した……編集次長のヘレン・パンクハーストだけが最後の仕事で残ったが、あろうことかそのへレンが青酸入りの紅茶で殺され、ヘンリが捜査を担当することに……。

ロンドン警視庁のヘンリ・ティベット警部とその妻エミーが高級ファッション業界で起こった殺人事件を解決する風俗ミステリ……犯人はファッション雑誌”スタイル”の関係者に絞られるが、なかなか真相に辿りつけず、そこにヘンリの姪でモデルのヴェロニカ・スペンスが探偵役で絡んでくるのですが、それが捜査をややこしくしてしまう という展開が愉しめました、、、

モデルやデザイナー、編集者など、個性的な登場人物たちや、独自に真相を探ろうとしていたヴェロニカが行方不明となるハラハラさせらる終盤の展開が印象的でしたね……さりげない描写の多くが伏線になっていることや、犯行に至った経緯や動機がファッション業界独特なものであることも愉しめました。

次もパトリシア・モイーズの作品を読んでみようと思います。

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