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『天保悪党伝』 藤沢周平

2020年03月09日 20時20分00秒 | ■読書
「藤沢周平」の連作短篇時代小説集『天保悪党伝』を読みました。


消えた女―彫師伊之助捕物覚え―漆黒の霧の中で―彫師伊之助捕物覚え―橋ものがたり冤罪に続き、「藤沢周平」作品です。

-----story-------------
ワルだけど、どこか憎めない六人の、痛快な悪だくみ!

天保年間の江戸の町に、極めつきのワルだが、憎めぬ連中がいた。
博打好きの御家人「片岡直次郎」、辻斬りで財布を奪う「金子市之丞」、抜け荷の常習犯「森田屋清蔵」、元料理人の悪党「丑松」、ゆすりの大名人として知られた「河内山宗俊」、そして吉原の花魁「三千歳」
ひょんなきっかけで知り合った彼らが、大胆にも挑んだ悪事とは……。
世話講談『天保六花撰』に材を得た痛快無比の連作長編!
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1985年(昭和60年)から1992年(平成4年)に発表された連作短篇、、、

明治初期にかけて大いに人気があった講談師・二代目「松林伯圓」の創作による講談『天保六花撰』にヒントを得て、ひと癖もふた癖もあるが、人間味のある6人の悪党たちを主人公に描かれた作品です。

 ■蚊喰鳥 ――天保六花撰ノ内・直侍
 ■闇のつぶて ――天保六花撰ノ内・金子市
 ■赤い狐 ――天保六花撰ノ内・森田屋
 ■泣き虫小僧 ――天保六花撰ノ内・くらやみの丑松
 ■三千歳たそがれ ――天保六花撰ノ内・三千歳
 ■悪党の秋 ――天保六花撰ノ内・河内山宗俊
 ■解説 安西 篤子


平和が続き、爛熟極まる江戸の天保年間、闇に生き、悪に駆ける者たちがいた… 博奕好きの御家人「片岡直次郎(直侍)」、辻斬りの剣客「金子市之丞」、抜け荷の常習商人「森田屋清蔵」、元料理人の「丑松」、直侍の恋人で吉原の花魁「三千歳」、ゆすりの名人で御城坊主の「河内山宗俊」、、、

彼らは、詐欺や強請・騙りで食っている… わずかな禄を頂戴したり、ほかに生業を持っているものもいるが、それではとても間に合わず、悪事を働いて一息つくのである、、、

市井にうろつく六人の悪党が絡む悪事はちょっとずつ絡み合い… 最後には、御三家の水戸藩を相手にすることに。

この六人、悪党と云わないわけにはいかないけど、悪人とは言い切れない人間味を持っているので、ついつい物語の中に引き込まれていきましたね… でも、悪事を働いているのは事実なので、気持ちの部分がシンクロできない、感情移入しにくい部分もあって、他の「藤沢周平」作品ほどは愉しめなかったかな、、、

特に「金子市之丞」は、遊郭にいくためのお金欲しさに辻斬りまでしちゃいますから、どうしてもやり切れなさを感じちゃいます… 受け入れにくいところがありますが、幸せを掴めず、破滅していく展開なので、納得感はあるんですけどね。


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