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『依頼人は死んだ』 若竹七海

2024年05月23日 22時34分46秒 | ■読書
若竹七海の連作ミステリ短篇集『依頼人は死んだ』を読みました。
ここのところ、国内の作家の作品が続いています。

-----story-------------
女探偵・葉村晶(あきら)は探偵事務所からの仕事で生計をたてながら、時に家族がらみの無料捜査も押し付けられる、何でも屋だ。
念願の本を出版し、結婚直前だった順風満帆の婚約者はなぜ自殺したのか? 
受けてもいない健康診断の、ガンを知らせる通知書が届いた意図は? 
瀟洒なプチ・ホテルに集う常連に隠された惨事とは? 
彼女に持ち込まれる事件の真相は、少し切なく、ぞくっと怖い。
構成の妙、鮮やかなエンディングにうならされる、みごとな連作短篇集。
解説・重里徹也
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1993年(平成5年)から1999年(平成11年)に発表された作品に書き下ろし1篇を加え、2000年(平成12年)に刊行された葉村晶シリーズの第2作です。

 ■冬の物語 濃紺の悪魔
 ■春の物語 詩人の死
 ■夏の物語 たぶん、暑かったから
 ■秋の物語 鉄格子の女
 ■ふたたび冬の物語 アヴェ・マリア
 ■ふたたび春の物語 依頼人は死んだ
 ■ふたたび夏の物語 女探偵の夏休み
 ■ふたたび秋の物語 わたしの調査に手加減はない
 ■度目の冬の物語 都合のいい地獄
 ■解説 重里徹也

「わたしの調査に手加減はない」女探偵・葉村晶のもとに持ち込まれる事件の真相は、いつも少し切なく、こわい……仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ第ニ弾! もうすぐ29歳になる葉村晶は、フリーの調査員として長谷川探偵調査所と契約している、、、

念願の詩集を出版し順風満帆だった婚約者の突然の自殺に苦しむ相場みのりと同居することになった晶だが。(「詩人の死」)

書誌学のレポートを代筆してほしいという依頼で画家の森川早順について調べることになった晶は、その異様な画風に興味を持つ。(「鉄格子の女」)

健診を受けていないのに「あなたはガンです」という通知が送られてきたという佐藤まどか。ところが依頼を受けた直後、彼女が死んでしまう。(「依頼人は死んだ」)

構成の妙、トリッキーなエンディングが鮮やかな連作短篇集。

フリーの女探偵・葉村晶を主人公とした本シリーズを初めて読みました……各篇が叙述トリック、サプライズ・エンディングにあふれた洒落た作りになっており、春夏秋冬を二巡し、三度目の冬が巡りくるとき、彼女が知っる真実とは? 人間の悪意にぞくっとさせられる怖さを含んだダークな真相や構成の妙、トリッキーで鮮やかなエンディング 等々、好みの作品でしたね、、、

そんな中でも印象的だったのは、

平凡なOLが人事課長をドライバーで刺した事件の真相とは……ラスト一行を読んだ後の背筋が凍る感覚が忘れられない『夏の物語 たぶん、暑かったから』、

自殺した挿絵画家が残した1枚の絵画……夜と女をリアリズムに封じ込めたその作品に秘められた狂気と悪意に戦慄させられる『秋の物語 鉄格子の女』、

何不自由ないお嬢様育ちの離婚妻の飛び降り自殺……2年も前の自殺者が旧友の夢の中に現れて訴えたのは? タイトル通りの手加減のない調査、依頼人にとって受け入れがたい残酷な結果を淡々と伝える葉村晶の姿が印象的な『ふたたび秋の物語 わたしの調査に手加減はない』、

の3篇かな。

孤高の女探偵・葉村晶も魅力的! ハードボイルドタッチの一人称で描かれていることもあり、感情移入しつつ読めました……杉田比呂美の装丁も大好きですね、、、

次も葉村晶シリーズの作品を読んでみようと思います。

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