イギリスの作家サイモン・ブレットの長篇ミステリ作品『連続殺人ドラマ(原題:A Series of Murders)』を読みました。
ジェフリー・アーチャーの『まだ見ぬ敵はそこにいる ロンドン警視庁麻薬取締独立捜査班』に続き、イギリスの作家の作品です。
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小道具部屋は惨憺たる有様だった。棚が落ち、そこらじゅうに小道具が散らばっているのだ。
と、その時、妙なものが目に飛びこんできた。人間の手だ。
急いでがらくたをどけてみると、下からは新進女優シッピーの死体が……。
ずっこけ警官役のパリスが死体を発見するまえから、名探偵ブレイドを主人公とするテレビ・ドラマの撮影は暗礁にのりあげていた。
一番の原因は、名探偵の娘役のシッピーだった。
主役のテレビ・スターは、こんな大根女優が相手では嫌だとへそを曲げるし、原作者の老女流作家とその妹は、シッピーが原作のイメージとちがうと文句をいうして、彼女の死は番組にとっては天の恵みのようなものだった。
だが、誰にとってもこんなに都合のいい事故などありうるだろうか? 撮影が順調に進みだしたのを尻目に、パリスはグラス片手に犯人探しにのりだすが……!
テレビ界の内幕を才気溢れる筆致で描くユーモア本格。
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1989年(平成元年)に刊行された作品……俳優探偵チャールズ・パリス・シリーズの第13作です、、、
小口と天・地が黄色に染めてある、懐かしく、心ときめく装丁のハヤカワポケミス(ハヤカワ・ミステリ、HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOK)版で読みました。
チャールズ・パリスは、テレビ・シリーズのレギュラーとなり、向こう3か月は収入が確保できていた……ありついたのは、W・T・ウィンターグリーン(本名:ウィニフレッド・レイルトン)という女流作家の名探偵スタニスラス・ブレイドを主人公とするシリーズで名探偵をひきたてるずっこけ警官のクランプ巡査部長役、、、
セットには70歳代となるこの作家もその妹のルイザとともに、つねに姿をあらわす……第一話の録画撮りをしているとき、名探偵ブレイドの妹クリスティーナ役のシッピー・ストークスが道具の下敷きになって死亡する。
事故か殺人か、はっきりしないが、死んだ女優は稀にみる大根役者だったから、彼女の死を嘆くものはいない……この事件は間もなく関係者の記憶から薄れるが、第三話のロケ中に第二の殺人が起こる、、、
パリスは連続殺人と判断し、独自に捜査を進める……自らが犯人を名乗る人物(読者にも犯人と思える人物)の告白、パリスの推理、そして真相と動機が判明する という終盤の展開は一気読みでしたね。
面白かったですねー ドラマの主人公・名探偵ブレイドを演じる俳優のラッセル・ベントリーのわがまま、制作費をケチろうとするプロデューサーのベン・ドチャーティとの対立、そしてもとの形をとどめぬまで原作を歪めるプロデューサーと老いた作家姉妹との対立等は、テレビドラマ製作の裏側を垣間見せてくれて興味深かったですね……そのあおりをうけて何度も台本の手直しを求められ、頭にきているシナリオライターのウィル・バートン、エロティックな話となると必ず顔を出すステージ・マネージャのモート・ヴァートン、人気のあるポップシンガーで俳優に転身しようと考えているジミー・シート、そして電話の声だけ登場するチャールズの超無能なエージェントのモーリス・スケラーン等々、周囲を固める個性的な登場人物も印象的でした、、、
もちろん、アルコール依存症で別居中の妻フランシスに未練を残しながら、他の女とベッドに入ってしまう……ダメ男なのに、人間くさくて愛すべきキャラクターのチャールズの存在も忘れられないですけどねー 魅力的な人物が描かれているところも、本作品の特徴かな。
入手困難だと思うけど……本シリーズの別な作品も読んでみたいですね。
ジェフリー・アーチャーの『まだ見ぬ敵はそこにいる ロンドン警視庁麻薬取締独立捜査班』に続き、イギリスの作家の作品です。
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小道具部屋は惨憺たる有様だった。棚が落ち、そこらじゅうに小道具が散らばっているのだ。
と、その時、妙なものが目に飛びこんできた。人間の手だ。
急いでがらくたをどけてみると、下からは新進女優シッピーの死体が……。
ずっこけ警官役のパリスが死体を発見するまえから、名探偵ブレイドを主人公とするテレビ・ドラマの撮影は暗礁にのりあげていた。
一番の原因は、名探偵の娘役のシッピーだった。
主役のテレビ・スターは、こんな大根女優が相手では嫌だとへそを曲げるし、原作者の老女流作家とその妹は、シッピーが原作のイメージとちがうと文句をいうして、彼女の死は番組にとっては天の恵みのようなものだった。
だが、誰にとってもこんなに都合のいい事故などありうるだろうか? 撮影が順調に進みだしたのを尻目に、パリスはグラス片手に犯人探しにのりだすが……!
テレビ界の内幕を才気溢れる筆致で描くユーモア本格。
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1989年(平成元年)に刊行された作品……俳優探偵チャールズ・パリス・シリーズの第13作です、、、
小口と天・地が黄色に染めてある、懐かしく、心ときめく装丁のハヤカワポケミス(ハヤカワ・ミステリ、HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOK)版で読みました。
チャールズ・パリスは、テレビ・シリーズのレギュラーとなり、向こう3か月は収入が確保できていた……ありついたのは、W・T・ウィンターグリーン(本名:ウィニフレッド・レイルトン)という女流作家の名探偵スタニスラス・ブレイドを主人公とするシリーズで名探偵をひきたてるずっこけ警官のクランプ巡査部長役、、、
セットには70歳代となるこの作家もその妹のルイザとともに、つねに姿をあらわす……第一話の録画撮りをしているとき、名探偵ブレイドの妹クリスティーナ役のシッピー・ストークスが道具の下敷きになって死亡する。
事故か殺人か、はっきりしないが、死んだ女優は稀にみる大根役者だったから、彼女の死を嘆くものはいない……この事件は間もなく関係者の記憶から薄れるが、第三話のロケ中に第二の殺人が起こる、、、
パリスは連続殺人と判断し、独自に捜査を進める……自らが犯人を名乗る人物(読者にも犯人と思える人物)の告白、パリスの推理、そして真相と動機が判明する という終盤の展開は一気読みでしたね。
面白かったですねー ドラマの主人公・名探偵ブレイドを演じる俳優のラッセル・ベントリーのわがまま、制作費をケチろうとするプロデューサーのベン・ドチャーティとの対立、そしてもとの形をとどめぬまで原作を歪めるプロデューサーと老いた作家姉妹との対立等は、テレビドラマ製作の裏側を垣間見せてくれて興味深かったですね……そのあおりをうけて何度も台本の手直しを求められ、頭にきているシナリオライターのウィル・バートン、エロティックな話となると必ず顔を出すステージ・マネージャのモート・ヴァートン、人気のあるポップシンガーで俳優に転身しようと考えているジミー・シート、そして電話の声だけ登場するチャールズの超無能なエージェントのモーリス・スケラーン等々、周囲を固める個性的な登場人物も印象的でした、、、
もちろん、アルコール依存症で別居中の妻フランシスに未練を残しながら、他の女とベッドに入ってしまう……ダメ男なのに、人間くさくて愛すべきキャラクターのチャールズの存在も忘れられないですけどねー 魅力的な人物が描かれているところも、本作品の特徴かな。
入手困難だと思うけど……本シリーズの別な作品も読んでみたいですね。
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