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『杉の柩』 アガサ・クリスティ (著),恩地三保子 (翻訳)

2017年06月09日 21時58分00秒 | ■読書
「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇『杉の柩(原題:Sad Cypress)』を読みました。


ポワロの事件簿〈1〉ポワロの事件簿〈2〉ヘラクレスの冒険死との約束に続き「アガサ・クリスティ」作品です。

-----story-------------
婚約中の「ロディー」「エリノア」の前に現われた薔薇のごとき「メアリイ」
彼女の出現で「ロディー」が心変わりをし、婚約は解消された。
激しい憎悪が「エリノア」の心に湧き上がり、やがて彼女の作った食事を食べた「メアリイ」が死んだ。
犯人は私ではない!
「エリノア」は否定するが…嫉妬に揺れる女心を「ポアロ」の調査が解き明かす。
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1940年(昭和15年)に刊行された「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇、、、

以前、映像化作品の名探偵ポワロ「杉の柩」も観たことがある作品… 5作品連続で「ポワロ」シリーズです。

 ■プロローグ 有罪か、無罪か?
 ■第一部
  1. 匿名の手紙
  2. メアリイ・ゲラード
  3. 二度目の発作
  4. もしメアリイがいなければ
  5. メアリイ、遺言状を作る
  6. 数々の手紙
  7. 娘は死にかけている
 ■第二部
  1. ポアロ登場す
  2. 台秤の針、くるくるまわる
  3. ナース・ホプキンス
  4. エマ・ビショップ大いに語る
  5. 何かのまちがいでは?
  6. ロディーは思い出した
  7. ポアロに難事なし
  8. 部長は自信満々
  9. 何かまだある
  10. 不思議な偶然
  11. エリノアは語る
  12. 白バラと紅バラ
  13. ミス・トゥートゥー
 ■第三部
  1. レッテルのきれはし
  2. 検事は安閑としている
  3. 弁護論告
  4. 陪審員の答申
  5. 心安らぐ人
  6. 絵ときするポアロ

 ■ポワロ・シリーズ作品リスト


本作品は3部構成となっており、第一部で「メアリ」死亡までの「エリノア」の心理が克明に描かれ、第二部で「ドクター・ロード」の懇願によって「ポワロ」が乗り出し、第三部で「エリノア」の裁判が描かれる… という展開になっています、、、

「エリノア・カーライル」「ロディー・ウェルマン」は幼い頃から仲が良く、将来は結婚し、伯母「ローラ・ウエルマン」の住んでいる美しいハンターブリイに住もうと考えていた… そこに匿名の手紙が届き、伯母が危機に陥っているとの内容だったことから、二人は慌ててハンターブリイに向かう。

伯母は門番の娘「メアリイ・ジェラード」と仲が良く、「アイリーン・オブライエン」「ジェシー・ホプキンズ」という二人の看護婦が面倒を見ていた… 「エリノア」「ロディー」の到着後、伯母はやがて書こうとしていた遺書を書く事も無く、亡くなってしまう、、、

遺言書が残されていなかったことから、「エリノア」に全ての遺産が相続されることになるが… 「ロディー」「メアリイ」に恋してしまい、「エリノア」との婚約を破棄することになる。

そして、ハンターブリイは売りに出されることになり、邸で「エリノア」が遺品を整理していた際、「エリノア」の作ったサンドウイッチを食べた「メアリイ」がモルヒネ中毒で死亡… サンドウイッチを作った「エリノア」は、「ロディー」「メアリイ」に取られたため、復讐したと解釈され逮捕されます、、、

婚約者「ロディー」「メアリイ」に心変わりし婚約を破棄した点が強力な動機と判断され、陪審におけるあらゆる状況が彼女に不利な中、「ピーター・ロード医師」の依頼により「ポワロ」が真相究明に乗り出します。

「エリノア」は、誰かの狡猾な罠にはめられたヒロインなのか… 自己の犯罪を堂々と行い隠そうともせず、情状だけで無罪を主張するか弱い乙女の仮面を被った悪女なのか… 「ポワロ」も迷います、、、

そして、いよいよ法廷で真相が明らかになりますが… 看護婦「ホプキンズ」の手に残った注射の痕(本人はバラの木のトゲで刺したと主張)がヒントになりましたね。

犯行を誤魔化すために、犯人自らも服毒し、強烈な吐剤を皮下注射して嘔吐し、モルヒネ中毒から逃れていたというトリックは面白かったですね… 映像化作品を観ていたので驚きはなかったですが、良く考えられた秀逸なトリックだと思います(専門知識がないとわかんないですけどね…)、、、

犯人は、「メアリイ」「ローラ・ウエルマン」の隠し子だったことを知っており、その事実を暴露して「ローラ・ウエルマン」の莫大な遺産を「メアリイ」に相続させるとともに都合の良い遺書(育ての母親の妹に遺産を相続)を書かせて、「メアリイ」殺害後に自分が相続しようという謀略だったとはねぇ… そして、「メアリイ」殺害の容疑者として自分が疑われないように、身代わりとして「エリノア」に容疑の眼を向けさせたんですね。

「アガサ・クリスティ」らしい展開でした… 面白かったです。



以下、主な登場人物です。

「エルキュール・ポアロ」
 私立探偵

「ローラ・ウエルマン」
 金持ちの未亡人

「エリノア・キャサリーン・カーライル」
 ローラの姪

「ロディー(ロデリック)・ウェルマン」
 ローラの義甥、エリノアの婚約者

「メアリイ・ジェラード」
 ウェルマン家の門番の娘

「エマ・ビショップ」
 ウェルマン家の召使頭

「ピーター・ロード」
 ローラ・ウエルマンの主治医。ランサム博士の後任。
 ポアロに事件解決を依頼

「アイリーン・オブライエン」
 看護婦

「ジェシー・ホプキンズ」
 地区看護婦

「テッド・ビグランド」
 メアリイに想いをよせている青年

「エドウィン・ブルマー卿」
 弁護士。エリノアの弁護を担当

「サミュエル・アテンブリイ卿」
 検事。エリノアの起訴を担当







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