じゅうのblog

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『不穏な眠り』 若竹七海

2024年05月26日 21時02分05秒 | ■読書
若竹七海の連作ミステリ短篇集『不穏な眠り』を読みました。
『依頼人は死んだ』、『静かな炎天』に続き、若竹七海の作品です。

-----story-------------
仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ。
吉祥寺のミステリ専門書店でアルバイトとして働きながら、〈白熊探偵社〉の調査員として働いている。
「さよならの手口」(2014年4位)「静かな炎天」(2016年2位)、「錆びた滑車」(2019年3位)と「このミス」上位常連の人気ミステリシリーズ、文庫オリジナルの最新刊。

「水沫(みなわ)隠れの日々」
終活で蔵書の処分を頼んできた藤本サツキのもう一つの依頼は、死んだ親友の娘・田上遥香を刑務所から自分のところに連れてきてほしいということだった。刑務所からサツキの元に向かう道で、遥香は車に乗った男たちに拉致されてしまう。

「新春のラビリンス」(「呪いのC」改題)
大晦日の夜、葉村は解体直前の〈呪いの幽霊ビル〉の警備をすることになった。ヒーターが壊れ、寒さの中一夜を明かした葉村は、女性事務員の公原から連絡が取れない男友達の行方を調べてほしいと頼まれる。

「逃げだした時刻表」
葉村の働くミステリ専門店でGWに〈鉄道ミステリフェア〉を開催することになった。展示の目玉として借りた弾痕のあるABC時刻表が盗難にあう。本の行方を追ううちに、互いを出し抜こうとするコレクター同士のトラブルや、過去の因縁まで絡んできて思わぬ展開に……。

「不穏な眠り」
亡くなった従妹から引き継いだ家にいつのまにか居座り、そこで死んでしまった宏香という女の知人を捜してほしいという依頼を受けた葉村。宏香を連れ込んだ今井という男の家を訪ねたところ、今井の妻に危うく殺されかける。今井は宏香の死後、家出していた。

解説・辻真先

TVドラマ化決定!
ドラマ10「ハムラアキラ~世界で最も不運な探偵~」
主演シシド・カフカ 間宮祥太朗 池田成志 津田寛治 中村梅雀
2020年1月24日(金)スタート予定(連続7回)
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2017年(平成29年)から2019年(平成31年)に発表された作品を収録して、2019年(平成31年)に刊行された葉村晶シリーズの第7作です。

 ■水沫隠れの日々
 ■新春のラビリンス(『呪いのC』を改題)
 ■逃げ出した時刻表
 ■不穏な眠り
 ■第四回・富山店長のミステリ紹介
 ■解説 辻真先

葉村の働く書店で“鉄道ミステリフェア”の目玉として借りた弾痕のあるABC時刻表が盗難にあう……行方を追ううちに思わぬ展開に(「逃げだした時刻表」)、、、

相続で引き継いだ家にいつのまにか居座り、死んだ女の知人を捜してほしいという依頼を受ける(「不穏な眠り」)…… 満身創痍のタフで不運な女探偵・葉村晶シリーズ。

飛び飛びになっていますが、シリーズ第2作『依頼人は死んだ』、シリーズ第4作『静かな炎天』に続き、女性探偵・葉村晶が活躍する葉村晶シリーズの作品です……本作品でも葉村晶が不運に巻き込まれながらも事件を解決する姿が、ユーモアとブラックの要素が絶妙に組み合わせながら描かれています、、、

そんな中でも印象的だったのは、

終活で蔵書の処分を頼んできた女性のもう一つの依頼は、死んだ親友の娘を刑務所から連れてきてほしいということだった……当日刑務所で娘を迎えた葉村晶だったが、そこから次々ととんでもない目に遭う羽目に、、、

友人の忘れ形見である娘を、余命わずかの自分の元につれて来てほしいと言った理由が忘れられない『水沫隠れの日々』、

葉村晶の働くミステリ専門店でGWに〈鉄道ミステリフェア〉を開催することになった……展示の目玉として借りた弾痕のあるABC時刻表が盗難にあい、本の行方を追ううちに思わぬ展開になる、、、

冒頭から何者かに襲われ、いきなり災難に遭うオープニングと、弾痕入りの時刻表に関する皮肉なオチで締めくくられるクロージングが印象的な『逃げ出した時刻表』、

相続で引き継いだ家にいつのまにか居座り、そこで死んでしまった女の知人を捜してほしいという依頼を受けた葉村晶……女を連れ込んだ男の家を訪ねたところ、男の妻に危うく殺されかける羽目に、、、

複雑な人間関係にやや混乱しましたが、ニュータウンの末路や大規模な自然災害等、日本のあちこちで現実問題になつつある災害や社会問題もしっかり現実に即して描かれておりリアリティを感じた『不穏な眠り』、

の3篇かな……葉村晶には、もう少し、平穏無事な日常を過ごさせてあげてもいいのでは とも思いますが、それがこのシリーズの醍醐味でもあるので、そうはならないんでしょうねー 本作も読み応えたっぷりで愉しめました。

こちらも相変わらずでずが……葉村晶の働くミステリ専門店〈MURDER BEAR BOOKSHOP〉の富山店長が物語の中で紹介される作家や作品について解説してくれる『第四回・富山店長のミステリ紹介』は良いですねー 色んな作品を読みたくなりますね、、、

葉村晶の魅力もパワーアップしている感じ……杉田比呂美の装丁も大好きですねー 次も葉村晶シリーズの作品を読んでみようと思います。

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