「宮部みゆき」の時代小説(奇談小説集)『あやし』を読みました。
『震える岩 霊験お初捕物控』、『天狗風 霊験お初捕物控【二】』に続き、「宮部みゆき」作品です。
-----story-------------
その話が、どういうふうに終わるのか、おまえは、ちゃんと聞いたのか?
十四歳の「銀次」は木綿問屋の「大黒屋」に奉公にあがることになる。
やがて店の跡取り「藤一郎」に縁談が起こり、話は順調にまとまりそうになるのだが、なんと女中の「おはる」のお腹に「藤一郎」との子供がいることが判明する。
おはるは、二度と「藤一郎」に近づかないようにと店を出されることに…。
しばらくして、「銀次」は「藤一郎」から「おはる」のところへ遣いを頼まれるのだが、「おはる」がいるはずの家で「銀次」が見たものは…。
(『居眠り心中』)月夜の晩の本当に恐い江戸ふしぎ噺・九編。
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江戸を舞台にした怪奇譚… ミステリと怪奇幻想小説と時代小説の要素がミックスされた以下の9篇が収録されています。
■居眠り心中
■影牢
■布団部屋
■梅の雨降る
■安達家の鬼
■女の首
■時雨鬼
■灰神楽
■蜆塚
■解説 東雅夫
『居眠り心中』は、初めて奉公に出た少年「銀次」の目を通して描かれる心中奇譚、、、
木綿問屋の若旦那の子を孕んだという女中の「おはる」… 丁稚奉公の「銀次」は、若旦那の使いで、店を出された「おはる」の家を訪れるが、「おはる」は留守で待っている間に眠ってしまい、若旦那と「おはる」が手拭でお互いの手を繋ぎ海に浮かんでいる夢を見る。
「銀次」は、あまりにリアルな夢に怖くなり逃げ帰り、大黒屋を辞めて他の店に替わる… その数年後、若旦那夫婦が寝室で。
『影牢』は、主人夫婦と息子三人に娘一人、家族七人が同時に亡くなった深川の蝋燭問屋「岡田屋」で一番番頭を勤めた老人「松五郎」により語られる物語、、、
息子夫婦に疎まれ、座敷牢に幽閉された母親… ある事件で一族が死に絶えた蝋燭問屋… 店の一番番頭だった「松五郎」の元を訪れた八丁堀の与力が知った、店のおぞましい内幕とは。
『布団部屋』は、代々の主が短命であることと、奉公人の躾の良さで知られる酒屋の兼子屋の物語、、、
頓死した姉の奉公先だった兼子屋に奉公することとなった「おゆう」… そこには、奉公人を奥の布団部屋に寝かせるという習わしがあり、そこでは、真夜中になると亡霊が現われ、魂を抜こうとする。
『梅の雨降る』は、明るく働き者の「おえん」が亡くなり、その弟「箕吉」が、過去を回想する物語、、、
縁日で大凶のおみくじを引いた「おえん」… ある娘を妬んでいた彼女が、凶運が移るように念じたことが悲劇を招くことに。
『安達家の鬼』は、女中の身分から、とある商家の主人に嫁いだ語り手を通じて、店の隠居――彼女にとっては義母の秘密が語られる物語、、、
病床の義母の世話をすることになった「わたし」… 「わたし」には何も見えないが、人によっては義母に憑いた鬼が見えるという。
『女の首』は、幼い頃から口をきかず、母の手一つで育てられた「太郎」… その母が亡くなり、おっかないが人情家の差配の紹介で、袋物屋に奉公することになった「太郎」が経験する物語、、、
口をきくことはないが、手先が器用なことから袋物屋に奉公することになった「太郎」… しかしそこで彼が見たのは、唐紙に現れた、自分にしか見えない女の首の姿だった。
『時雨鬼』は、ごろつきに翻弄される「お信」の物語、、、
ある悩みへの助言を求めて口入れ屋を訪れた「お信」… そこで彼女の前に現れた口入れ屋の女房と名乗る女「おつた」は、かつて鬼と出会った過去を語る。
『灰神楽』は、平良屋で奉公人の娘「おこま」が主人の弟に斬りつける事件が起こり、岡っ引きの「政五郎」が解決しようとする物語、、、
奉公人が刃傷沙汰を起こした店に駆けつけた岡っ引きの「政五郎」… 猿ぐつわをされた「おこま」から事情を聞くため猿ぐつわを解くと「おまえは人を殺したな」と「政五郎」に言い叫んで息絶える。
その奉公人が、火鉢の灰神楽に見入っていたことを知った「政五郎」は火鉢を持ち帰ると、夜中にその火鉢から白い煙が立ちこめて、女性の姿が現れる… 「ぼんくら」シリーズに登場する「政五郎親分」の登場する一編です。
『蜆塚』は、老人との何の気ない会話の中に、江戸に潜む奇怪な者たちの姿が浮かび上がる物語、、、
桂庵の「米介」が蜆を持って見舞いに出かけた亡き父の碁敵「松兵衛」… 彼は、「米介」の父が、そして自分が出会った奇妙なある者たちのことを「米介」に語り始める。
「宮部みゆき」作品って、読んでいるときは面白く感じるのですが、読みやすいだけに、短篇だと読後の印象が薄いんですよね… そんな中でも鬼をテーマにした『安達家の鬼』と『時雨鬼』が印象に残りましたね。
『震える岩 霊験お初捕物控』、『天狗風 霊験お初捕物控【二】』に続き、「宮部みゆき」作品です。
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その話が、どういうふうに終わるのか、おまえは、ちゃんと聞いたのか?
十四歳の「銀次」は木綿問屋の「大黒屋」に奉公にあがることになる。
やがて店の跡取り「藤一郎」に縁談が起こり、話は順調にまとまりそうになるのだが、なんと女中の「おはる」のお腹に「藤一郎」との子供がいることが判明する。
おはるは、二度と「藤一郎」に近づかないようにと店を出されることに…。
しばらくして、「銀次」は「藤一郎」から「おはる」のところへ遣いを頼まれるのだが、「おはる」がいるはずの家で「銀次」が見たものは…。
(『居眠り心中』)月夜の晩の本当に恐い江戸ふしぎ噺・九編。
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江戸を舞台にした怪奇譚… ミステリと怪奇幻想小説と時代小説の要素がミックスされた以下の9篇が収録されています。
■居眠り心中
■影牢
■布団部屋
■梅の雨降る
■安達家の鬼
■女の首
■時雨鬼
■灰神楽
■蜆塚
■解説 東雅夫
『居眠り心中』は、初めて奉公に出た少年「銀次」の目を通して描かれる心中奇譚、、、
木綿問屋の若旦那の子を孕んだという女中の「おはる」… 丁稚奉公の「銀次」は、若旦那の使いで、店を出された「おはる」の家を訪れるが、「おはる」は留守で待っている間に眠ってしまい、若旦那と「おはる」が手拭でお互いの手を繋ぎ海に浮かんでいる夢を見る。
「銀次」は、あまりにリアルな夢に怖くなり逃げ帰り、大黒屋を辞めて他の店に替わる… その数年後、若旦那夫婦が寝室で。
『影牢』は、主人夫婦と息子三人に娘一人、家族七人が同時に亡くなった深川の蝋燭問屋「岡田屋」で一番番頭を勤めた老人「松五郎」により語られる物語、、、
息子夫婦に疎まれ、座敷牢に幽閉された母親… ある事件で一族が死に絶えた蝋燭問屋… 店の一番番頭だった「松五郎」の元を訪れた八丁堀の与力が知った、店のおぞましい内幕とは。
『布団部屋』は、代々の主が短命であることと、奉公人の躾の良さで知られる酒屋の兼子屋の物語、、、
頓死した姉の奉公先だった兼子屋に奉公することとなった「おゆう」… そこには、奉公人を奥の布団部屋に寝かせるという習わしがあり、そこでは、真夜中になると亡霊が現われ、魂を抜こうとする。
『梅の雨降る』は、明るく働き者の「おえん」が亡くなり、その弟「箕吉」が、過去を回想する物語、、、
縁日で大凶のおみくじを引いた「おえん」… ある娘を妬んでいた彼女が、凶運が移るように念じたことが悲劇を招くことに。
『安達家の鬼』は、女中の身分から、とある商家の主人に嫁いだ語り手を通じて、店の隠居――彼女にとっては義母の秘密が語られる物語、、、
病床の義母の世話をすることになった「わたし」… 「わたし」には何も見えないが、人によっては義母に憑いた鬼が見えるという。
『女の首』は、幼い頃から口をきかず、母の手一つで育てられた「太郎」… その母が亡くなり、おっかないが人情家の差配の紹介で、袋物屋に奉公することになった「太郎」が経験する物語、、、
口をきくことはないが、手先が器用なことから袋物屋に奉公することになった「太郎」… しかしそこで彼が見たのは、唐紙に現れた、自分にしか見えない女の首の姿だった。
『時雨鬼』は、ごろつきに翻弄される「お信」の物語、、、
ある悩みへの助言を求めて口入れ屋を訪れた「お信」… そこで彼女の前に現れた口入れ屋の女房と名乗る女「おつた」は、かつて鬼と出会った過去を語る。
『灰神楽』は、平良屋で奉公人の娘「おこま」が主人の弟に斬りつける事件が起こり、岡っ引きの「政五郎」が解決しようとする物語、、、
奉公人が刃傷沙汰を起こした店に駆けつけた岡っ引きの「政五郎」… 猿ぐつわをされた「おこま」から事情を聞くため猿ぐつわを解くと「おまえは人を殺したな」と「政五郎」に言い叫んで息絶える。
その奉公人が、火鉢の灰神楽に見入っていたことを知った「政五郎」は火鉢を持ち帰ると、夜中にその火鉢から白い煙が立ちこめて、女性の姿が現れる… 「ぼんくら」シリーズに登場する「政五郎親分」の登場する一編です。
『蜆塚』は、老人との何の気ない会話の中に、江戸に潜む奇怪な者たちの姿が浮かび上がる物語、、、
桂庵の「米介」が蜆を持って見舞いに出かけた亡き父の碁敵「松兵衛」… 彼は、「米介」の父が、そして自分が出会った奇妙なある者たちのことを「米介」に語り始める。
「宮部みゆき」作品って、読んでいるときは面白く感じるのですが、読みやすいだけに、短篇だと読後の印象が薄いんですよね… そんな中でも鬼をテーマにした『安達家の鬼』と『時雨鬼』が印象に残りましたね。
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