醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより   1529号   白井一道

2020-09-24 12:26:20 | 随筆・小説



  日本の現実を知らいない自民党議員がいる



 二階俊博氏、叩き上げの庶民派扱いだが庶民の現実に疎い。資産家の政治家でも、庶民の生活実感、年金不足への危機感を感じ取ることができるなら、国民は政治に期待を託すことができる。だが、住居費も交通費も税金で賄われ、飲み代は政治資金、金銭感覚が完全に麻痺した政治家たちに、国民の痛みは分かるまい。
 いわゆる“老後資金2000万円不足問題”で、「年金がいくらとか自分の生活では心配したことありません」と言い切った麻生太郎氏。「福岡の炭鉱王」の御曹司として育ち、祖父は吉田茂・元首相。若い頃からカネに不自由したことはなく、学習院大学時代にはクレー射撃で当時の大卒初任給の4年分にあたる100万円を年間の弾丸代で使っていたと自慢げに語っている。
 また、安倍首相も岸信介・元首相を祖父に持ち、経済的に恵まれた家庭で育った。成蹊大学時代は赤いアルファロメオを乗り回していたという。
 世襲議員が多い政府・与党幹部の中で“叩き上げの庶民派”と見られがちな二階俊博・自民党幹事長も庶民の現実が見えていない。
「食べるのに困るような家はないんですよ。今、『今晩、飯を炊くのにお米が用意できない』という家は日本中にはないんですよ。だから、こんな素晴らしいというか、幸せな国はない」
 昨年6月の講演でそう語ったが、現実には日本の子供の「7人に1人」が貧困状態にあり、生活保護を打ち切られて「おにぎり食いたい」と書き残して死んだ北九州市の事件をはじめ、毎年、少なからぬ餓死者が出ている。
資産家の政治家でも、庶民の生活実感、年金不足への危機感を感じ取ることができるなら、国民は政治に期待を託すことができる。だが、住居費も交通費も税金で賄われ、飲み代は政治資金、金銭感覚が完全に麻痺した政治家たちに、国民の痛みは分かるまい。
 いわゆる“老後資金2000万円不足問題”で、「年金がいくらとか自分の生活では心配したことありません」と言い切った麻生太郎氏。「福岡の炭鉱王」の御曹司として育ち、祖父は吉田茂・元首相。若い頃からカネに不自由したことはなく、学習院大学時代にはクレー射撃で当時の大卒初任給の4年分にあたる100万円を年間の弾丸代で使っていたと自慢げに語っている。
 一方、2007年に発覚した次のような事件がある。
生活保護を止められた受給者が「おにぎり食べたい」と書き残して餓死した事件であると聞けば、なんとなくご記憶の方も多いであろう。
日本の生活保護の在り方に大きな一石を投じた事件であり、 生活保護が話題に上ることが多くなった昨今、知っておくべき事件であると思うのだがいかがだろうか。
事件の背景はかつて、北九州市長は谷伍平という人物がいた。谷が市長であった当時、北九州市では暴力団による生活保護の不正受給がしばしば行われ、 生活保護の受給率は全国トップになっていた時期があった(暴力団の不正受給は今でもあちこちで問題になっている)。 もちろん、谷市政の下で暴力団の不正受給を取り締まるなど、まともな施策もちゃんと行われ、受給率を下げる成果は出ていた。
ところが、谷は「生活保護は人間をダメにする」とも言い出すようになり、 不正受給の取締りや生活保護脱出のための就職支援を通り越して、 正当な受給も受けづらくなっていき、現場の福祉事務所にもそのような空気が行き渡っていってしまったのである。
ちなみに、受給者の9割は高齢や病気などで最初から働くこと自体が不可能な人たちであった。(9割というと多いと感じるかもしれないが、全国平均と大して変わらない)。谷は1987年には引退したが、次の市長である末吉興一市長も実質谷の後継者であり、生活保護政策についても谷を踏襲していた。そのような生活保護行政の在り方は、以前から関係者に危機感を持たれていた。
 実際、受給者を増やさないために担当者の違法な申請拒否(申請を審査で落とすのではなく暴言を吐いて追い返すなど)が起こっている。こうした担当者の行動は単なる一担当者の個人的な暴走ではなく、市の方が組織的に違法な申請拒否を行っていた。2006年には、北九州市での生活保護が受けられず孤独死した事例が一部マスコミによって報道されていた。だが、北九州市サイドはこれらは偏向報道であるとして、報道と対決する姿勢を見せている。


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