「うちのネコの毛、そちらのベランダに飛んでいったりしていませんか?」
ベランダに敷き詰めたテラコッタの程よいざらつきが、
ゴロゴロと体をくねらせるジュルの毛をほぐし、ブラシすると毛がよく取れる。
ベランダに出した後は、必ず掃除機をかけているのだけれど不安だった。
「いいえ、全然。それより、うちの土や葉っぱが飛んでいったりしていませんか?」
お隣の奥さんはガーデニングが趣味で、高い樹木からお花まであるのだとか。
じつは、土埃が少し飛んでくる。お隣なのだから飛んでこないわけがない。
きっとジュルの毛も、少しは飛んでいっていることだろう。
「いいえ、全然。お花のいい香りをいつもお裾分けいただいています。」
外面がいいと笑うことなかれ。
持ちつ持たれつ。これ、大事。