飛んでけ、水曜日!

文学とか言語とか。ゆるく雑記。

鳴神

2021-01-16 16:37:18 | 趣味

11代目市川團十郎があんまりかっこよかったので、『雷神不動北山桜』の第4幕『鳴神』も観てしまった。鳴神上人を演じるのは11代目市川團十郎を襲名前の9代目市川海老蔵さん。やはり古い作品ほど難しいと実感した。予習なしだったので、字幕と解説がなければ全然理解できなかったのではないかと思う。

鳴神上人が雲の絶間姫に惑わされていくところは、かなりドキドキしてしまった。それにしても雲の絶間姫は、色っぽいを通り越して、なんだかふしだらというか、そういう感じがする。朝廷から遣わされた姫…ところで黒雲坊と白雲坊はどうして同じことを繰り返して言うのだろう?間抜けな生臭坊主という印象は強まるけれど、よく使われる演出方法なのだろうか。後半、騙された鳴神上人が激怒する場面は画像の荒さと音声の問題も相まってか、今一つ迫力に欠けると感じた。

なぜ鳴神上人が朝廷に恨みを持って竜神を封印するに至ったのか?姫を追いかける鳴神上人はその後どうなったのか?とても気になってしょうがない。話を知る手段は何か別にあるのだろうけど…

VHSが主流でなくなってから古い映像作品に触れることが難しくなったと思うが、どうだろうか。図書館でも貸し出しをやめてしまったところも多いようだし…よい方法を知っている方がおられましたら、コメントしていただけると嬉しいです。


切られ与三

2021-01-16 15:07:06 | 趣味

先日、話題にしていた『与話情浮名横櫛』をさっそく観た。与三郎を演じるのは、11代目市川團十郎だ。映像は白黒だったが、思ったよりもずっと観やすかった。今まで観たことがある演目より、書かれた時代も下ってセリフが聞き取りやすかったからだと思う。

与三郎が出てきた瞬間、11代目市川團十郎の美しさに感動した。元々美しいお方だが、舞台に立ってより一層美男に見える。映像ではお富と蝙蝠安が話している間、与三郎は見切れていて、その様子が伺えなかったのが非常に残念だった。

他に、あらすじを読んでいるだけでは、ほぼ意識しなかった藤八というキャラクターがいいと思った。ただ厭らしいだけの脇役だと思っていたのに、舞台を見れば笑える三枚目だった。

予習していても、場面が飛ぶと解説なしには混乱しそうなところに、歌舞伎を観る難しさを感じたが、また久しぶりに観に行きたいと感じた。


初天神

2021-01-16 12:00:00 | 趣味

1月なので小三治師匠の『初天神』を聴いた。初天神は1月25日らしい。親子で初天神に行って、団子や凧を取り合うクスッと笑えるかわいらしい噺で気に入っている。

子供が大人を振り回す噺が結構好きで、『桃太郎』や『佐々木政談』、『真田小僧』などよく聴く。

今ではよく聴くようになった落語だが、数年前までは全然聴かなかった。雲田はるこさんの『昭和元禄落語心中』はずっと追っていて、「落語」に興味はあったが実際に聴くとなかなか集中できないで、少し退屈に感じていた。けれど、佐倉準さんの『湯神くんには友達がいない』という漫画を読み始めて(青春物で落語の話ではないのだけど)あまりに湯神くんが楽しそうに落語を聴いているのを見てから、なんだか私自身も楽しく落語が聴けるようになった。何がきっかけになるか分からないものだ。

余談だが、お正月に機会があって着物を着せてもらった。恥ずかしい話だが、着物を着崩さずにだらける方法ばかり身につけて、相変わらず着付けもお片付けもできない自分自身にはあきれ返るばかりだ。


かげきしょうじょ!!

2021-01-13 18:47:49 | 読書

前々から気になっていた漫画『かげきしょうじょ!!』(斉木久美子)を1~5巻まで購入した。色鮮やかな表紙カバーにかわいらしい絵柄がとても気に入っている。

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『かげきしょうじょ‼』は浅草の畳屋の孫・さらさが紅華歌劇団(宝塚を模している)でトップスターを目指す物語だ。2021年のアニメ化も決定している。

5巻まで読んだところ、第6幕の扉絵がとても気になった。他の扉絵は紅華乙女たちが描かれている中、第6幕の扉絵は歌舞伎役者でさらさの彼氏の白川暁也が描かれているからだ。以下、にわかのネタバレ有の考察が続くので、悪しからず。

 

扉絵の人物が暁也くんではなく、白川歌鷗さんや煌三郎さんの若い頃である可能性も無きにしも非ずだが、暁也くんが妥当だろう。暁也くんだとして一体何の衣装を着ているのか?歌舞伎に詳しくないので間違っているかもしれないが、「切られ与三郎」の衣装だと思う。憧れの「助六」でもないし、今の暁也くんがやっていそうな役でもないので、それなりに理由があると考えられる。

「切られ与三郎」というのは『与話情浮名横櫛』という演目の主人公だ。簡単なあらすじは、親分・赤間源左衛門のお妾さん・お富と与三郎が恋に落ちる。それがバレて親分から命からがら逃げ出した与三郎はゴロツキになって、数年後にある家に金を強請りにいく。そこにいたのはなんとお富。そこへ今の旦那・多左衛門(お富の実の兄)がやってきて「堅気になれば仲をとりなす」と与三郎に金を与え、与三郎は引き上げる。というものらしい。

暁也くんはどのあたりが与三郎と似ているだろうか?難しい。多左衛門にあたるのは、煌三郎だと思う。おそらく、さらさは歌鷗さんの娘だから、歌鷗さんの長女の婿である煌三郎はさらさの義兄だし、さらさと暁也くんの間を取り持つ役でもある。源左衛門は歌舞伎界で、多左衛門は紅華歌劇団といえるかもしれない。さらさは初め歌舞伎界に囲われていたが、今は紅華歌劇団にいる。

残念ながら「切られ与三郎」のことをよく知らないので、あまり考察しようがない。これまでの描写では、さらさと暁也くんの関係は、幼なじみでライバルで相手のことが憎らしいという気持ちを持っているという感じで恋心は特に感じられないが、暁也くんとさらさが与三郎とお富ならば、少しは好き合っているのかもしれない。…考察って難しい。

さらさと暁也くんが一緒になったら、なかなか厳しい未来が待ってる気がするけれど、個人的にはさらさと暁也くんのどちらも好きだし、一緒にいるところがいいなと思ってるのでくっついてほしい…


スパイ武士道

2021-01-11 10:00:00 | 読書

池波正太郎の『スパイ武士道』を読み終えた。何か月か前、アニメの『鬼平』を一通り観たが、池波正太郎の小説を読むのは初めてだと思う。

スパイと武士道。あまりピンとこない単語が一緒に並んでいる。「隠密」といってしまえば、それで終わりな気もするが、面白いタイトルだと思って購入した。

読み始めてすぐ、なんだか人間が生々しいなと感じた。作中でも、この世は相対的なものだ、というようなことが書かれているが、絶対的な人物も物も出てこない。だからだと思うが、後半に行くにつれてなんだかモヤモヤした気分で読んでいた。主人公の虎之助も、主人に忠義を尽くす他の武士よりはスパイらしいけれど、他のスパイたちよりは武士らしい。登場人物は皆それなりに人間的に厭らしいし、愛おしい。スカッとした読了感はないけれど、こういうのも嫌いじゃない。

ところで、最近流行りの漫画やアニメをみていると“分かりやすいもの”が多いのかなと思った。大ヒットアニメ映画となった某ジャンプ漫画では、これまでの常識を覆すくらい地の文で敵味方の心情が書かれているらしい。