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ちいさい言語学者の冒険

2021-01-25 16:54:13 | 読書

『ちいさい言語学者の冒険』(広瀬友紀・岩波書店)を読了。母語の習得に関心があることと、大学の先生が何度もおススメしていたこともあって、読むことにした本。

子供が母語を学んでいくとき、その頭の中では何が起きているの?ということを紹介している。

私は大学で言語学の講義も受講していて、言語学的な内容のほとんどは既に知っているもので、ページ数も109ページしかないのですぐに読み終えた。実際に子供から発せられた言葉の事例が、今まで学んだ理論に当てはまることを実感できた。子供が単なるマネで言葉を習得していくのではなく、その頭の中では色々な規則が考えられていることが、簡単に分かる一冊だった。分かりやすくまとめられた本ではあったが、個人的には既知情報が多かったこともあり1200円+税はちょっと高かったな…という印象。(大学図書館の1冊はなかなか借りられず、周辺の図書館にはなかったため購入した。)

言語の習得に興味のある高校生や、今まさに子供が言葉を身につけているところをみているという親御さんにおススメの本だと思う。

作中では、子供がどうやって間違って使っている語彙を修正するのか、という話題も取り上げていた。私自身は20代だが、今でも「あれ?なんか相手の反応が少し変?」と思って辞書を引くと意味を間違えて使っていた、と気づくことがある。長い間気付かなかっただけあって、大はずれということはなく、二アリイコールくらいの意味に勘違いしていたことが多い。そういえば卒論提出前の時期、多くの友人が「卒論が煮詰まっている」と言っていたのだが、従来の意味で「卒論も詰めで上手くいっている」と言っているのか、近年みられる誤用の【行き詰まる】の意味で「卒論が行き詰っている」と言っているのか分からないで、返答に困った。