飛んでけ、水曜日!

文学とか言語とか。ゆるく雑記。

図書館

2023-07-02 12:41:05 | 読書

一人暮らしになってから節約と暇つぶしがてら、また頻繁に図書館へ行くようになった。

子どもの頃は、書庫の奥深くに眠る誰も借りなさそうな本だと、数ヶ月借りていても司書さんは見逃してくれたりした。ダメなのは分かってるが。

最近は全部コンピュータで管理されているので、1日でも返却が遅れるとすぐに連絡がくる。

図書館の本はみんなの本だから、しっかり管理されるようになったのはいいことだろう。

子どもの本コーナーを見て、小学校の図書室にあった本は6年かけてほとんど読んだなーと懐かしく思ったが、ほとんど内容は思い出せない。自分は本を読むことは好きだが、読書家かというとそうでもない。


ふることふひと

2022-11-16 17:49:59 | 読書

今日紹介するのは『ふることふひと』という漫画だ。飛鳥時代を舞台に、稗田阿礼(ひえだのあれ)扮する藤原不比等と太安麻呂が『古事記(ふることふみ)』の編纂をしていく内容で、他ではなかなか見ないテーマだ。

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『古事記』の解釈に関する歴史ミステリーと綺麗な絵柄、少しのラブコメ要素で、歴史が苦手な人でも読みやすい漫画になっている。

『古事記』は主だった話を子供向けに書き直されたものしか読んだことがないので、原文訳付のものが読んでみたくなった。

昔の日本語は現代日本語と大分発音が違っていたようだが、当時は『古事記』が「ぷることぅぷみ」みたいに発音されていたかと思うと、阿礼の語りを聞いてみたい気持ちになる。


ルパンの記憶

2022-11-10 17:46:08 | 読書

たまたま怪盗キッドのファンアートを見て、そういえば小学生のときにアルセーヌ・ルパンシリーズを読破したな、ということを思い出した。

当時は小学3年生だったが、見栄っ張りのために、児童書ではなく一般書に置いてあるシリーズを借りた。特に学校の勉強より進んで学習しようという子供ではなかったから、当然読めない漢字、知らない言葉のオンパレードで国語辞典、漢字辞典とにらめっこしながら読む羽目になった。それだけ頑張って全巻読み通したにもかかわらず、字面を追うのに精いっぱいだったせいか、今では内容をほとんど覚えていない。

結果的に単語と漢字の勉強にはなったが、おとなしく子供向けを手に取って物語を楽しめばよかったものを…とかつての自分に対して思わなくもない。


『北北西に曇と往け』と北欧神話について考える。

2021-12-09 11:51:47 | 読書

『北北西に曇と往け』は本当に大好きな漫画だ。ある年に書店の新刊コーナーに立ち寄ったとき、表紙が輝いて見える本があった。そのときは追っている漫画が多く、手を出すのを躊躇していた。けれども、いつ書店に来ても目に付いてしまう。もう運命的な本ではないかと思って、遂には購入を決めた。

この物語の舞台はアイスランドなのだが、ちょうどアイスランド語の講義を取り始めて一か月ほど経ったところだった。表紙しかみてなかったので、まさか関わりがあるとは思っていなかった。読み始めてアイスランドに興味をもったことで、単位のためだけに選んだアイスランド語の授業も俄然やる気が出た。必修科目と被ってアイスランド語の授業に出られなかったときも独学で勉強を続け、年度末の試験もほぼ満点を取ることができた。

話が脱線してしまったが、『北北西に曇と往け』は両親を亡くし、アイスランドでフランス人の祖父と暮らす17歳の少年・慧の物語だ。女の子が苦手で、実は”車と話せる”という秘密をもつ慧は、探偵稼業をして生活費を稼いでいる。厳しくも壮大なアイスランドの自然が描かれる中で、慧は様々な依頼を受けながら、殺人の疑いをかけられた弟・三知嵩の真相に迫っていく。

ここから5巻まで読んで思ったことなんでも書いていくので注意です↓↓↓

 

 

久しぶりに読み返して、三知嵩はロキっぽいなと思った。北欧神話に詳しいわけではないので、なんとも言えないが、三知嵩はロキと同様に悪戯好きにみえるし、性別を超えたような美しい顔の持ち主だし、気が変わりやすく、よく嘘をつく。うん、なかなかそれっぽい。

もし三知嵩がロキなら、他の登場人物はどうだろうか?Wikipediaを参考に考えてみる。

慧はトールだと思う。トールは雷の神だが、慧は電気を使った機械と会話できる。それに慧が機械と会話するときは静電気が奔ったようなエフェクトがかかる。トールと同様に大男(というより背が高い)で、よく食べる。性格は少し乱暴で、脅しを使うことも多いけれど、弱者に優しいところも似ている。さらにロキと最も仲がいい神はトールらしいので、三知嵩と慧に深い絆がみられるところとも合っていると思う。

ジャックはオーディンかな。大学の先生をしているジャックは自宅にもかなり多くの本を所持しているし、オーディンのように知識に貪欲と言えそうだ。オーディンは元々風の神としての神格を持っていたようで、ジャックは自分自身を南風と表現している。両者とも鳥から情報を得ている点も共通している。ちなみにオーディンはトールの親であり、現在ジャックが慧の親に近い役割を果たしていることも一致していると言えそうだ。

リリヤは慧のパートナーではないけれど、トールの妻のシヴというのはどうだろうか?リリヤもシヴも美しい金髪の持ち主だ。でもリリヤはもっと妖精っぽくみえる。男の神様だけれど、神々の中で最も美しい眉目秀麗といわれ、妖精の支配者であるフレイの方が合っているかもしれない。スウェーデンにかつて存在したウプサラの神殿にはトール、オーディン、フレイの三神の像があったそうなので、この方が慧とジャックとの釣り合いが取れそうだ。

ジャックの現在のパートナー・カトラにはオーディンの妻であるフリッグを当てはめてみる。フリッグは愛と結婚と豊穣の神だ。カトラは結婚していないけれど、彼女は愛に満ち溢れた人物に見える。またフリッグと同一視されることもあるフレイヤはフレイの双子の妹で、リリヤをフレイとした場合、家族関係があるというのはうなづける。

1対1でキャラクターが作られるわけではなく、様々な要素が盛り込まれているものだと思うから、上記の考察が完全に合致しているとは全く思ってないけど、北欧神話を意識してそうだなとは思った。

三知嵩の殺人はほぼ確定的に見えるので、そう遠くないうちに報いを受けると予想している。犯してきた罪の重さから言うと、三知嵩は死ぬんじゃないかと思ってしまう。三知嵩が死んでも、正直どうってことないけど、そうなったら慧が可哀想すぎる。両親を失って、おじ・おばも亡くなって、弟も死んじゃったら、身内はジャックだけじゃないか…

ところで慧と三知嵩の母親は回想で少し分かるけど、父親って今までちょっとも影を見せていないのは気になる。どんな人物だったんだろう?母方のおじ・おばが日本で暮らしていたことや、ジャックの反応を見るに(母親がジャックの娘だったら、おじかおばもジャックの子供のはずだから)、父親がジャックの息子なのかな。ピンとこないな。

気になる謎はまだまだたくさんあるので、次巻を楽しみにしている。


オレと俺。

2021-07-01 23:28:49 | 読書

水生大海の『オレと俺』(祥伝社)を読み終えた。

17歳の男子高校生が、ある事件をきっかけに63歳の祖父と精神が入れ替わってしまう。2人は入れ替わって日常生活を送り、その中で起こる小事件を解決していく。それと共に最初の事件の犯人を追っていくが…。

現代の若者と老人のちょっと分かり合えないようなところを綺麗にまとめていると思う。入れ替わった2人はお互いの立場を体験して、それでもすべてを分かり合うことはできないけれど、変わるところもあって再スタートを切っていく。若者と老人という対立もあるが、主人公は静かで祖父は陽気という性格的な対立も2人の溝になっている。これで若者の気持ちが分かるというような小説ではないが、主人公と友人たちの距離感には共感できるところもある。

気になったのは主人公がちょっと片言な点。主人公は片言になるような理由もなさそうなのに、助詞をあまり使わず単語の羅列のような話し方をする。キャラ作りだと思うが、引っ込み思案や面倒くさがりらしい性格を表現するにしても変で、読んでいてずっとモヤモヤした。

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オレと俺

オレ(17歳)、ジイさん演(や)ってます! すべてが想定外、孫(高校生)とジジイ(63歳)の人格入れ替わりミステリー!高校生の鷹代航(たかし...

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