飛んでけ、水曜日!

文学とか言語とか。ゆるく雑記。

鶴見中尉は愛する

2020-10-14 21:58:22 | 趣味

ゴールデンカムイ23巻を読んでかなり印象深かった場面があるので書こうと思う。

拙い感想に過ぎないが、ご一読いただければ嬉しい。

※ネタバレというほどではないですが、気になる方は注意してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴールデンカムイ第227話(野田サトル)で、戦場では敵を撃たない兵士が多いという気づいた鶴見中尉は、どうすれば兵士が敵を撃つようになるのかについて、道場の先生にこう語る。

 

「兵士の攻撃性を引き出す原動力となんもんは

 敵兵への憎しみではねく恐怖でもねく

 政治思想の違いでもねぇ…」

「それはなんら?」

「『愛』です」

 

『愛』を何と定義するかという問題があると思うが、

同様の考え方は戦争における心理を扱った他のものにも見られる。

古代ギリシャの神聖隊は同性愛集団だったそうだが、非常に強い軍隊だったと言われる。

性愛ではなくとも、最も大切ともいえる命を預ける仲間とは

恋愛以上の強い絆で結ばれていると言えるかもしれない。

「愛する仲間のために」は自身を少しでも正当化しながら、

葛藤しつつも殺人へ踏み切る要素になるのだろう。

また運命共同体といえる集団の中では、仲間からの失望というのも行動の要因になるそうだ。

 

『愛』は平和を謳うスローガンに用いられることも多いのに、

それが殺人に踏み切る強い要因だと言うことには、複雑な気持ちを抱く。

『愛』は強い感情であるが故に、その熱量は

味方を温めることにも、敵と見なした者を焼き尽くすことにも強く作用するのだろう。

 

ところで鶴見中尉が頭から垂らしている汁は一体何なのだろうか?

私は『感情』が流れ出ているのではないかと思っているが…

 

 


ゴールデンカムイ

2020-10-07 23:20:16 | 趣味

アニメ『ゴールデンカムイ』の第3期の放送が始まった。

この作品をきっかけにアイヌへの関心が以前よりは高まっているように思う。

 

作中でアシ(リ)パさんが話していた『パナンぺペナンぺウエペケレ』が面白かったので、

今、知里真志保編訳の『アイヌ民譚集』を読んでいる。

後記には新しい時代のアイヌとしての想いが綴られているが、

85年が経った今でも状況はあまり変わっていないのではないかと感じた。

アイヌに限った話ではなく、これからグローバル化と文化の保存はどう両立していくべきか、

様々な場所で議論される課題だと思う。

 

ところで二瓶鉄造の名言「勃起!」は下ネタ抜きにしてもなかなか良い言葉選びだと思う。

"強い感情や決意がむくむくと湧き上がるさま"を'奮起、興起'などではなく

「勃起」と表現した作者のセンスが面白い。

濁音で始まる点も、語感的に力強い印象を与えているのではないだろうか。


音声学

2020-10-07 22:48:05 | 言語

諸事情により、1年ぶりに音声学の授業を受けた。

日本から失われつつある軟口蓋鼻音の話が出てきたが、聞き分けられるかイマイチ自信がない。

私自身については、環境によっては軟口蓋鼻音が現れるが大半失われている。

祖母はほぼ完全に持っていると思うので、祖母の言葉を聞き分けられるのなら、

聞き分けられていると思うのだが…

 

音声学の聞き取り試験はいつもほぼ満点なので、できているのだろうが、どうにも自信が持てない。

トレーニングを積み重ねるしかないのだろう。

 

私は方言が強くない方で、関西の友人と長時間話しているとつられて

イントネーションがおかしくなることが多い。

その直後に人に会うと「方言が出るんですね」とよく言われるが、

私自身が本来持っている方言ではないので、苦笑いするしかない。

 


筋トレと時代小説と

2020-10-01 23:28:08 | 日記

6か月ぶりに筋トレを再開した。

毎日筋トレしてた時とそんなに体形は変わっていないと思っていたが、

やってみるとやめる前の半分でヘロヘロになってしまった。

食事も制限していきたいが、家族と共に食事する時間は一日1回あるかないかで、

その時間を大切にしたいので、なかなかその時間に自分だけ別メニューを食べる気になれない。

一人の食事の時間だけでも調整していこうと思う。

 

夏季休暇中、専ら時代小説ばかり読んでいたが、思いの外面白い。

勧善懲悪を前面に押し出してくるものは、そんなに好まないけれど

何も考えずに気楽に読んでいてもスカッとするのがいいのかもしれない。

また最近の時代小説はアニメ化してもスタイリッシュに仕上がるんじゃないか

と思うものも少なくない。

書店の時代小説コーナーで見かけるのは年配の方が多いが、

若い世代にはどのくらい読まれているのだろうか?

今は坂岡真の「鬼役」シリーズを読んでいる。ヤマモトマサアキの扉絵もかなりカッコいい。