斜めから降り注ぐ人付き合い

ふれあいの人付き合いについて綴っていこうかと思います。

エンジェルベイビーの人付き合い

2023-06-01 20:36:24 | 人付き合い

リッキーが、医師のオフィスへやってきたときの会話の様子を紹介しよう。

医師は、このエンジェルベイビーの心の秘密の鍵を開けたのだ。

10~15分、あたりさわりのない話をして気分をほぐしたところで、医師はニヤッと笑ってみせ、身を乗り出してこう言った。

「キミ、なかなかやるそうだね、リッキー」

彼は上機嫌で「何の話?」と、とぼけてみせる。

「ま、なんだかすごく変わったことをするそうじゃないか。ウィルソン夫人の背中に飛び降りるとか」

「ああ、あれ、何でもないさ」、リッキーはまったく落ち着いている。

「彼女、僕を避けることだってできたのに。どっちにしろ、僕、ちょっと触れただけさ」

私は、もっとちゃんと思い出させようと決心した。

「ちょっとだけだって?」

「うん」

「ほんと?」医師は、そこでさらに身を乗り出した。

「お母さんの話だと、ウィルソン夫人は足を怪我したそうだよ。それもずいぶんとひどい怪我らしいよ」

「そんなつもりでやったんじゃないよ」リッキーは、すこしたじろいだ。

「僕のママ、ほかにどんなこと言ってた?」

「うん、そうだね。キミが、ものすごくイタズラするとか、だらしないとか、それでいながら、上手に言い訳するとか、いろいろ言っていたよ」

「ヘエー」

「ママに見つかるとキミは、お母さんのことをこうやって、眼を大きく見開いて、何も知りませんでした、という顔をして見つめるんだってね」

医師は、人付き合いが怖い彼のお得意のポーズをしてみせた。

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人付き合いが怖いを克服する

大人がエンジェルベイビーになるのを見て、リッキーは少々、調子が狂ったようだ。

しかし、そこで気づいたのだが、私もリッキーのブルーの瞳に吸い寄せられそうになった。

用心しないと彼の母親と同じめに遭うのではないかとゾッとした。

なんと、言い終わるか終わらないうちに、私自身が11歳の少年の高度なテクニックにひっかかりそうになったのだ。

何が起こっているのか気づくまで、ずいぶん長くかかったような気がする。

リッキーは、自分に立ち向かう大人たちにやるのと同じことを、医師にもやっていたのだ。

彼は、その悪魔の力を揮いはじめたのだ。

そこで医師は態勢を整えて、また今度は彼の口調や身振りを真似てみせた。

それが私にできる唯一のことだったからだ。

「やるねー、キミ、なかなかのものじゃない?」

コメント
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