斜めから降り注ぐ人付き合い

ふれあいの人付き合いについて綴っていこうかと思います。

個人診断か家族診断か

2024-06-01 19:26:11 | 人付き合い

アダルトチルドレンは、COA(チルドレン・オブ・アルコホリックス)が成人(アダルト:A)したACOA(アダルトチルドレン・オブ・アルコホリックス)に由来している。

そうすると、アダルトチルドレンとは、アルコール依存症家族で育って成人した大人の「個人診断」(インディビデュアル・ダイアグノーシス)の名称ということになる。

しかし、その心理的特徴、心性、症状はあまりにも多彩であり、それらのみを観察してアダルトチルドレンと「個人診断」をつけることは困難である。

また、家族システムの診断も必要である。

しかし、アルコール依存症はその程度はさまざまであり、またその家族システムの歪みもさまざまである。

すなわち、ブラウンが指摘するように、アダルトチルドレンとは、「個人診断」でも「家族診断」でもない。

それを包括して統合した名称であり、診断名とするならば、いわば「症候群」と提唱された考え方のほうがよいのではなかろうか。

アルコール依存症や機能不全家族に育ったからといって、必ずしも心理的特徴、心性、症状を呈するわけではない。

アルコール依存症や機能不全家族という「原因」(コーズ)が単純な「結果」(アウトカム)を生み出す因果律(コーザリティー)を持っているわけではない。

また、アダルトチルドレンと同じ心理的特徴、心性、症状を呈している成人がいたとしても、それが必ずしもアルコール依存症や機能不全家族に起因するわけでもない。

アダルトチルドレンに対しては、ハーケンが指摘するように、「過剰一般化」(オーバー・ジェネラリゼーション)や「過剰単純化」(オーバー・シンプリフィケーション)されやすい。

ブラウンが指摘するように、そうすることによって、アダルトチルドレンは単純な「料理本」(クックブック)の説明のようになってしまう。

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そこでは、アダルトチルドレンが本来持っている細やかな味の分別がつかなくなる危険性がある。

また、「個人診断」か「家族診断」かの論争のなかには、狭義のアルコール依存症のアダルトチルドレンには、遺伝学的な研究が背景にある。

アダルトチルドレンは、「家族環境要因」(ファミリアル・エンバイロメンタル・ファクター)を重視した概念であるが、クロニンジャーらが指摘するように、アルコール依存症に「遺伝要因」(ジェネティック・ファクター)があるとすれば、アダルトチルドレンそのものの存在は消失してしまう。

フルトンとエティスは、その意味からも、「診断カテゴリー」としてのアダルトチルドレンの存在を疑問視している。

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アダルトチルドレンの心理的特徴

2024-03-28 20:11:08 | 人付き合い

アダルトチルドレンとは、「アルコール依存症」の家族のなかで子ども時代を送った大人たちを指している。

1955年に、米国医学協会がアルコール依存症を「病気」として認め、その後に、家族の病理にも目が向けられるようになった。

アダルトチルドレンの概念は、1960年代末にコークの『忘れ去られた子ども』(フォゴットン・チルドレン)に始まった。

そして、1974年に、米国で「アルコール依存症とアルコール乱用国立研究所」が、アルコール依存症の家族の子どもたちの研究を開始し、1979年に、その研究所が主催した国内会議が開催されて、関心がさらに広まった。

1983年には、「全米アルコール依存症子ども教会」(NACOA)が設立され、さらに同年には、ウォィティツが出版した『アダルトチルドレン・オブ・アルコホリックス』がベストセラーとなり、アダルトチルドレンという用語が定着していった。

ところで、1970年代から注目されてきたこのアダルトチルドレンは、英語圏では略して、ACOA(アダルトチルドレン・オブ・アルコホリックス)と呼ばれている。

そして後に、このアダルトチルドレンは、「アルコール依存症」の家族だけではなく、「機能不全家族」に育った子どもであるACDO(アダルトチルドレン・オブ・ディスファンクショナル・ファミリー)にも出現するといわれ、現在では、ACODも「アルコール依存症」の家族に育ったACOAも、まとめて「AC」と総称される傾向にある。

アダルトチルドレンとは、子どもの頃に「家族内トラウマ」(心的外傷)によって傷ついて大人になった人たちを指しているが、広義のアダルトチルドレンとは、ACOAとACODを含み、狭義のアダルトチルドレンとは、ACOAのみを指している。

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さて、わが国のみならず、米国でも、このアダルトチルドレンの存在は、伝統的な精神医学や心理学の専門家からは疑問視されている。

とりわけわが国の場合、その存在は、「アルコール依存症」などの「嗜癖」(アディクション)臨床に携わる一握りのケースワーカー、カウンセラー、精神科医などにしか知られていなかった。

しかし、1995年に、米国のクリントン大統領が、このアダルトチルドレンであることを公言したことにより、その存在が多少は知られるようになってきた。

そのクリントン大統領は、「アルコール依存症」の義父のもとで育ち、義父と実母の調停役として、子ども時代を過ごしたと述べている。

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人間関係の苦手を克服

2024-02-20 18:48:25 | 人付き合い

人間関係が苦手な人の症状

彼は、自分の父親ともっと親しみたいと思っているのに、そうできない。

してはいけないこと

・彼が黙ってすわっている目の前で、彼の父親と談笑する。そんなことをしてみても、彼の欠点をあなたがとりつくろえるわけではない。

・彼の代わりに父親に報告する。「ジョンは今、仕事で悩んでいるようですよ」などと。

・二人の間に立って、メッセンジャー・ガールをする。二人があなたを通して話し合うような状況は避けたほうがいい。

・彼が今、どんなに落ち込んでいるかを、父親に話す。しかしそれは、彼が自分でしなくてはならないことだ。

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なすべきこと

・父親との会話に彼を引き入れる。メッセンジャーになるのではなく、仲介者になる。

・父親と彼が二人だけで外出する機会をつくる。第一回目はあなたがお膳立てしてあげるといい。素晴らしいびっくりプレゼントになる。

・父の日や誕生日にカードを送ったら、と薦めてみる。ただし、あくまでも彼自身にやらせ、あなたが手伝ってはいけない。

・父親のことを話す口火を切る。「お父様はどこの学校に行っていたの?」などと話をはじめ、それから、だんだんに彼の父親に対する気持ちへと話を持っていく。もちろん、あなたは彼のセラピストではないのだから、気楽にやってみること。

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恋人・妻のための処方箋

2024-01-11 20:06:50 | 人付き合い

彼を成長させるために、何をやり、何を止めるか

●ウェンディはベッドから飛び起きると、ピーターに抱きつこうとした。

すると、彼はひょいと身をかわした。

彼は自分でも、なぜそうしたのかわからなかったけれど、そうしなくてはいけないような気がした。

ピーターはたとえ遊びでも、けっして人に体を触らせない。

愛情と希望-彼の立ち直りに不可欠な要素

心理学者バリーの説明では、ピーターはよく意味のわからない衝動に駆られるという。

ウェンディは彼を慰めようとしたのに、なぜかピーターはそのままにされていなかった。

ピーターパン人間を愛したことがある女性なら、ウェンディが味わったこのフラストレーションに覚えがあるだろう。

彼らの”愛情のルール”には、みんな戸惑ってしまう。

そのルールはこうだ。

ボクに近づかないで。

ボクがいいと言うまで、ボクの気持ちに深入りしないで。

キミの気持ちを、ボクにわかってもらおうなんて期待されるのも困る。

ボクの考えにとやかく言わないで。

ボクに触れるんなら、ボクのスケジュールどおりにやって。

彼らのこうした暗黙の宣言は、女の子の自発性をつぶしてしまう。

自然な愛情こそ大人の愛情関係になくてはならないものだ。

にもかかわらず、この宣言が暗黙のものであるだけに、二人の愛情はますますややこしいものになるし、この宣言が矛盾に満ちたものであるだけに、お互いに愛し合うことさえ不可能になってしまう。

相手があなたに何の期待も持たないというのに、あなたは彼に対して、きちんと決まったやり方で振る舞う必要がある。

さもないとあなたはあっさり体をかわされてしまう惧れがある。

いつかはきっとピーターパンが素晴らしい愛のパートナーになるにちがいない、という気持ちがあればこそ、あなたは彼の子どもっぽいわがままに耐えることができるのだ。

もしそれがなかったら、とても我慢ならないだろう。

だからこそあなたは、一生懸命我慢している。

そうすることで、あなた自身の人付き合いの心の痛みを癒そうとしている。

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しかし、これはよくないことだ。

変えようと思えば、あなたは事態を変えることができる。

つまり、ピーターパン人間が「ないない島」に飛んで行ってしまうのを止めるためには、彼らがまず、どうすべきかを示してあげることが必要だ。

それができるのは彼を愛する女性、つまり、あなたしかいない。

では、あなた方の出発点はどこか。

それはあなたに愛情があるからこそ彼を助けようという気持ちも起こるわけだし、そうなれば、この青写真がどっちの方向に変わればよいかを、あなたに教えてくれることになる。

さらにもう一つ大切なのは、希望を持つことだ。

あなたが面倒みることで、どれだけ彼を変えることができるか。

トンネルの向こう側で、「大丈夫、大丈夫」とあなたに語りかける燈火が見える。

しかも、この燈火は、明るくなったり暗くなったりしている。

しかし、見えるのはたしかで、その燈火は、ずっとメッセージを送り続ける。

「私と一緒にやりましょう。きっとうまくいくわよ」

「あなたは、いままでと同じことを繰り返していてはだめよ。

人生はもっと魅力的で満ち足りたものになるはずよ。

そのためにがんばって」と。

こう語りかける光は、実は、名前を持っている。

”ティンカーベル”という名前だ。

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お説教はダメ。身をもって示す不言実行こそ最善の教育

2023-12-23 19:46:59 | 人付き合い

世の親の中には実行し、態度で示すかわりに、口先でものを言うだけという人が多い。

彼らは話をするだけで、子どもを言うとおりにさせることができると思い込んでいる。

こういう親にかぎって、自分自身で自分を律することができない。

彼らをすべてピーターパンシンドロームで人付き合いが怖い人と言うつもりはないが、彼らもまた、大人になることに失敗していると言わざるをえない。

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これらの親は、子どもへの言葉とは逆に、自分の家庭生活にもきちんとしたけじめがない。

こうした親に育てられた子どもは、悪い意味で「許容度の高い」第二世代であり、当然、自分の衝動を自分で律する意志がない。

情ないことに親子そろって、自分の欲望を律する術を知らないということになる。

つまり、そこでは、目の見えない人間が目の不自由な人を導くという、きわめて困ったことが起こってくる。

もし、あなたが、「自分で自分を律する」とはどういうことなのか、よくわからなかったら、あなたもまた、大人になるのに失敗した一人である。

しかし、自分の欠陥を知ったからといって、今さら親を責めても始まらない。

むしろ、どうしたら大人になれるのか、まず大人になるという課題に目を向けることが大切だ。

それには、「自分で自分を律する」ということがよくわかっていない自分の姿を直視する勇気を持ってほしい。

そのとき初めてあなたに、どんなふうにやったらいいかという問題意識が生まれる。

もし、あなたが真剣にこの課題に取り組む気持ちがあるなら、そんなに手間はかからない。

これまでの何十年かの人生の累積である成熟の遅れを、何カ月かで取り戻せる可能性もある。

そのためには、いったいどうすればいいのか。

実はそれは、簡単だ。

あなたの子どもをどう育てるかについての躾の原理を、そのまま自分自身にあてはめてみればよい。

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