斜めから降り注ぐ人付き合い

ふれあいの人付き合いについて綴っていこうかと思います。

自己欺瞞の直視-再生への旅立ち

2023-10-14 20:03:43 | 人付き合い

人付き合いが上手くいかないランディのお悩み相談の中の回想である。

ある日、ランディにとって破局的な事件が起こった。

週末、郷里のガールフレンドを新しい家に招待すると約束したのだった。

もちろん、約束を違えるつもりはなかった。

当日、ランディは午後四時に着くはずのガールフレンドを三時から部屋で待っていた。

ところが、そこに彼がまだ相手をしていない三番目の少女が息せき切って飛び込んできたのだ。

時計の針は3時15分を指していた。

少女は、冷蔵庫からビールを出してきた。

彼女が飛び込んで来たとき、ランディは居間に一人でいて、新しいレコードを聴いていたのだが、その子はランディの隣りのソファにドスンとすわりこんで、長いブロンドをサラリと下ろし、ランディに体をすりつけてきた。

そして彼女は、あなたんところへ週末の一番乗りをしたくて授業をさぼってきたのと、甘い声でささやいた。

それに彼女は、あとの二人は課外活動があって来れないんだと、一人でほくそえんでいた。

しかもこの子は、ランディがぎこちなく言い寄ってくれるのを待っていられなかった。

彼女の二人の仲間が、ランディの温かさと優しさがどんなに素晴らしいか、彼女に吹聴していたからだ。

こんなわけで、彼女は二人がセックスをしたらどんなに楽しいことになるか、実に意味深長な表現で一方的にささやき、ランディが、ついついこの新しい”特別な”お友達とベッドインしたのは、4時10分前。

一方、彼の郷里のガールフレンドは約束の四時ぴったりに下宿に到着した。

ちょうど外から帰ってきたルームメイトの1人が彼女と鉢合わせし、家の中へ迎え入れた。

音楽がガンガン鳴っている。

ルームメイトは、ランディはきっと二階で着替えをしているにちがいないから、そっと行って驚かしてやろう、と誘った。

ランディはなかなか達せずにあせり、なんとか邪念を振り払おうとイライラしていた。

やっと絶頂に達した瞬間に、いきなりガールフレンドが入ってきた。

一瞬、彼は、キャーッというガールフレンドの叫びを”特別な”お友達の喜びの叫びと勘違いし、ふと「この子はなかなかいいぞ」と思った。

とんでもないことをやらかした、と気付いてベッドから跳ね起きた時には、すでにガールフレンドは出て行ったあとだった。

このブロンド娘が事態に驚き、叫びだしたので、ランディはいったい何が起こったのか、納得した。

階下に下りて行くと、窓からガールフレンドが立ち去って行くのが見えた。

何度も釈明しようとしたが、彼女はもう相手にしようともしなかった。

それから数週間、彼は人付き合いが怖くなりくよくよしていた。

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人付き合いが怖いを克服する

三人の少女の一人と、その後も何度かセックスしたが、いまいち盛り上がりに欠けた。

腹立たしさと、後ろめたさが先に立って、情熱的になれないし、ちゃんとエレクトした状態を保つこともできなくなった。

おまけに、例の一件は三人の女の子の間にたちまち知れわたり、結局、”特別な”お友達ではなくなってしまった。

彼女たちはお互いに、彼の無神経さにはガッカリだとか、とんでもないなどと話し合った。

自分たちはランディに利用されたのだ。

厳しく文句を言い、とりわけ、あのガールフレンドに対するランディの仕打ちに腹を立てた。

間もなくルームメイトたちも彼に冷たくなり、ランディはしかたなくその家を出て、よそへ移った。

ランディはひととおり話しても、まだ興奮していた。

女の子とのセックスを上手くものにした話は、すごくおもしろそうに聞こえたが、実はそのことで彼は信じがたいほどの心の動揺をきたしているのだ。

たしかにランディは、たくさんの”勝利”をかちとった。

しかし、結局はどの場合も、負け犬なのだ。

しかもなお困ったことに、彼には自分に何が起こっているのかがよくわかっていない。

ランディは、自分のことにちょっとでも触れるのを避けてきた。

彼の生活の大半は、自己欺瞞から成り立っていた。

彼の表情さえ、見せかけだけのものだった。

彼の微笑みは、自分自身への疑惑を隠すためのものだったし、彼のくすんだ青い目は、罪の涙で曇ることなどなかった。

また、彼のかたい握手は、腸が捻じれるほどの困惑ぶりを見事に隠してしまっていた。

彼は、もの静かで、前途洋々たる青年のように見える。

ところが実際には、のらくら、フラフラして、自分よりもっと幼い女の子をかもにすることでしか、自己の存在感を確かめることができないような男であった。

これではもうダメだと、彼が自分に対して感じるのも仕方がない。

彼を助けるために、カウンセラーは彼の心の痛みを利用することにした。

そこで、そのライフスタイルの矛盾を、少しずつ指摘した。

たとえば、「みんなと特別上手くやっていると言うけれど、それにしては友達がいないじゃないか」「言っていることは温かいけど、やることは冷たい」「人と親しげに振る舞ってはいるが、本当はちっとも親しくないじゃないか」「女性を愛したい気持ちがあるのに、親しくなりそうになると、相手にあんまり意地悪をするので、上手くいかない」というように、である。