斜めから降り注ぐ人付き合い

ふれあいの人付き合いについて綴っていこうかと思います。

問題児の両親の対応

2023-11-16 21:13:46 | 人付き合い

「メリー、今夜このネクタイが結べなかったら、夕食に出かけるのは取り止めだ。それから、言っておくけど、今晩出掛けないなら、明日からは会社へ行かないぞ。そうなったら、キミもボクもひもじい思いをし、子どもたちは路頭に迷うことになるよ」

このピーターパンシンドロームパパの癇癪玉に、ダーリング夫人はしかたなく夫のネクタイを結んでやるが、はたで見ている子どもたちは、ただもうびっくり。

彼らはこうしていつも、家庭らしさのない家庭で、心の飢えと不安を搔き立てられながら暮らしている。

このような幼稚さとわがままこそ、ピーターパン人間の父親に典型的な要素である。

ダーリング夫人の恩着せがましい反応もまた、その代表的なものである。

この実例は、やや誇張気味ではあるが、いずれにせよ、父親、母親のこの二つの反応が結びついて、子どもたちを際限のない不安に陥れ、一種特有な家族の雰囲気をつくりだす。

この不安が、その家族の男の子に、どんなに決定的な悪影響を与えるは考慮すべきである。

まず第一に、わが子をピーターパンシンドロームに取りつかれないように予防するのか、それとも、すでにかかっているピーターパンシンドロームから救うのか、そのどちらかを見極めよう。

一応の目安として、16歳以下であれば予防、16歳以上で性役割の葛藤とか、ナルシシズム、ショービニズムなどが見られる場合には治療、と考える。

第二は、子どもを本当に助けようと思うなら、親であるあなた自身のパーソナリティをある程度あらため、夫婦間の不仲を改善する必要がある。

子どもが同じ家に同居しているか、何らかのかかわりをあなたと持っている以上、あなたは、子どもたちの問題の当事者なのだ。

あなたは、子どもたちに対して、何らかの誤りを犯してきたのだ。

カウンセラーは、それがどんな誤りかをあなたが気づくよう手助けはするが、誤りを正すのは、あなた方自身の役目だ。

生半可な決心ではとうてい不可能だ。

もし、貫徹する自信がないなら、諦める以外に手はない。

さもないと、かえって悲劇は大きくなる。

お父さん方、どうか、真剣に自分の感情生活を自己点検しなおしてください。

自分を憐れむことはないか。

自分の気持ちに直接に触れることを恐れてはいないか。

自分が何を感じているのかよくわかっているか。

本当は何も感じていないのに、感じているフリをしてはいないか。

本当のところ、あなたは自分の気持ちがわからなくなっているのではないか。

自分たち夫婦のことで失望していて、その不満を、奥さんが弱いためという”隠されたメッセージ”を息子に送ることで置き換えていはしないか。

お母さん方は、ご自分の過保護と恩着せがましい態度を、ぜひ客観視してほしい。

ひとりで生きていくのが怖いために、夫のショービニズムを我慢してはいないだろうか?

人付き合いが怖い彼にすまないような気持ちを、抱いていないだろうか。

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夫の子どもっぽさを、はっきり夫に気づかせないまま、対決を避けてはいないだろうか。

勇気のなさと責任逃れのために一貫した躾ができない、ということはないだろうか?

夫婦間の失望を、息子に向かって、お父さんみたいにはならないで、などと囁くことで発散しようとしていないだろうか。

もしあなたが、こうしたきつい質問に答え、自分の人格的な限界と対峙する勇気があるなら、それだけで、すでに建設的な変化への第一歩を踏み出したことになる。

次に過去数年間に遡って、自分が見落としていたものは何かについて、自己点検をさらにつづける必要がある。

子どもの年齢が何歳であろうと、ご主人(または奥さん)と語り合い、お互いの話に耳を傾けることからはじめる。

とにかく、両親同士がもっとコミュニケーションを持つことが先決なのだ。

それが可能になるには、数ヵ月を要することだろう。


自己欺瞞の直視-再生への旅立ち

2023-10-14 20:03:43 | 人付き合い

人付き合いが上手くいかないランディのお悩み相談の中の回想である。

ある日、ランディにとって破局的な事件が起こった。

週末、郷里のガールフレンドを新しい家に招待すると約束したのだった。

もちろん、約束を違えるつもりはなかった。

当日、ランディは午後四時に着くはずのガールフレンドを三時から部屋で待っていた。

ところが、そこに彼がまだ相手をしていない三番目の少女が息せき切って飛び込んできたのだ。

時計の針は3時15分を指していた。

少女は、冷蔵庫からビールを出してきた。

彼女が飛び込んで来たとき、ランディは居間に一人でいて、新しいレコードを聴いていたのだが、その子はランディの隣りのソファにドスンとすわりこんで、長いブロンドをサラリと下ろし、ランディに体をすりつけてきた。

そして彼女は、あなたんところへ週末の一番乗りをしたくて授業をさぼってきたのと、甘い声でささやいた。

それに彼女は、あとの二人は課外活動があって来れないんだと、一人でほくそえんでいた。

しかもこの子は、ランディがぎこちなく言い寄ってくれるのを待っていられなかった。

彼女の二人の仲間が、ランディの温かさと優しさがどんなに素晴らしいか、彼女に吹聴していたからだ。

こんなわけで、彼女は二人がセックスをしたらどんなに楽しいことになるか、実に意味深長な表現で一方的にささやき、ランディが、ついついこの新しい”特別な”お友達とベッドインしたのは、4時10分前。

一方、彼の郷里のガールフレンドは約束の四時ぴったりに下宿に到着した。

ちょうど外から帰ってきたルームメイトの1人が彼女と鉢合わせし、家の中へ迎え入れた。

音楽がガンガン鳴っている。

ルームメイトは、ランディはきっと二階で着替えをしているにちがいないから、そっと行って驚かしてやろう、と誘った。

ランディはなかなか達せずにあせり、なんとか邪念を振り払おうとイライラしていた。

やっと絶頂に達した瞬間に、いきなりガールフレンドが入ってきた。

一瞬、彼は、キャーッというガールフレンドの叫びを”特別な”お友達の喜びの叫びと勘違いし、ふと「この子はなかなかいいぞ」と思った。

とんでもないことをやらかした、と気付いてベッドから跳ね起きた時には、すでにガールフレンドは出て行ったあとだった。

このブロンド娘が事態に驚き、叫びだしたので、ランディはいったい何が起こったのか、納得した。

階下に下りて行くと、窓からガールフレンドが立ち去って行くのが見えた。

何度も釈明しようとしたが、彼女はもう相手にしようともしなかった。

それから数週間、彼は人付き合いが怖くなりくよくよしていた。

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三人の少女の一人と、その後も何度かセックスしたが、いまいち盛り上がりに欠けた。

腹立たしさと、後ろめたさが先に立って、情熱的になれないし、ちゃんとエレクトした状態を保つこともできなくなった。

おまけに、例の一件は三人の女の子の間にたちまち知れわたり、結局、”特別な”お友達ではなくなってしまった。

彼女たちはお互いに、彼の無神経さにはガッカリだとか、とんでもないなどと話し合った。

自分たちはランディに利用されたのだ。

厳しく文句を言い、とりわけ、あのガールフレンドに対するランディの仕打ちに腹を立てた。

間もなくルームメイトたちも彼に冷たくなり、ランディはしかたなくその家を出て、よそへ移った。

ランディはひととおり話しても、まだ興奮していた。

女の子とのセックスを上手くものにした話は、すごくおもしろそうに聞こえたが、実はそのことで彼は信じがたいほどの心の動揺をきたしているのだ。

たしかにランディは、たくさんの”勝利”をかちとった。

しかし、結局はどの場合も、負け犬なのだ。

しかもなお困ったことに、彼には自分に何が起こっているのかがよくわかっていない。

ランディは、自分のことにちょっとでも触れるのを避けてきた。

彼の生活の大半は、自己欺瞞から成り立っていた。

彼の表情さえ、見せかけだけのものだった。

彼の微笑みは、自分自身への疑惑を隠すためのものだったし、彼のくすんだ青い目は、罪の涙で曇ることなどなかった。

また、彼のかたい握手は、腸が捻じれるほどの困惑ぶりを見事に隠してしまっていた。

彼は、もの静かで、前途洋々たる青年のように見える。

ところが実際には、のらくら、フラフラして、自分よりもっと幼い女の子をかもにすることでしか、自己の存在感を確かめることができないような男であった。

これではもうダメだと、彼が自分に対して感じるのも仕方がない。

彼を助けるために、カウンセラーは彼の心の痛みを利用することにした。

そこで、そのライフスタイルの矛盾を、少しずつ指摘した。

たとえば、「みんなと特別上手くやっていると言うけれど、それにしては友達がいないじゃないか」「言っていることは温かいけど、やることは冷たい」「人と親しげに振る舞ってはいるが、本当はちっとも親しくないじゃないか」「女性を愛したい気持ちがあるのに、親しくなりそうになると、相手にあんまり意地悪をするので、上手くいかない」というように、である。


ショービニズムの絶頂期:21~22歳

2023-09-23 20:26:55 | 人付き合い

ピーターパン人間のショービニズムが日常化するには、かなりの年月がかかる。

おかげでまわりの者は、長い間それに気付かない。

その間、多少なりとも心穏やかに暮らせる。

しかも、ある日突然、パッと現われ、そのまま永久に、なんてことはない。

無責任、不安、孤独などの基本症状が重なりあう絶頂期が何歳頃かについては、いろいろ意見があるが、ショービニズムについていえば、二十代初めに現われるというのが妥当な考え方である。

いくつかの理由から、それは21~22歳だと思う。

第一に、21歳を大卒の年、「精神的成人の年」と、社会が公的に認めているからだ。

この年になると、若者は大人らしい振舞いを期待させる。

ところがピーターパン人間の場合には、大人らしい心を身につけていないので、この弱みをカムフラージュする方法が必要になってくる。

そして、その人付き合いが怖い仮面がこのショービニズムなのだ。

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第二に、ピーターパン人間は、人生の苦痛を十分すぎるほど味わっているので、「もうこれ以上はたくさんだ。なんとか逃げ出したい」という気持ちが強い。

そこでショービニズムによって、自分の苦痛を他人のせいにする。

とくにすべての責任は女性の側にあるという態度は、彼らに都合がよいのである。

第三に、ショービニズムに先立つ1,2年前から、すでにナルシシズムが定着している。

この二つは実にしっくりいく。

青年が自分の不安を他人に転嫁し、一度、自分が不安になるかならないかは相手(女性)しだいだという心理状態に陥ると、女は男である自分の思うとおりに従うべきだ、という気持ちがつのる

この気持ちを満たそうとして、自分の男らしさを異常なまでに主張するようになるわけだ。


ピーターパン人間のナルシシズムの六つの特徴

2023-08-31 21:10:47 | 人付き合い

特徴1.ご都合主義

自分を完全に見せるために、友人や知人を利用する。

自分を有利にするために、価値観をその場に応じて変えることなど朝めし前。

気に入ったガールフレンドの母親の前では、結婚までは純潔を大切にするなどと言っておきながら、1時間後に彼女と二人っきりになると、今度は親の抑圧的な性道徳に反抗できないでどうする、とけしかける。

ピーターパン人間には、誠実さなんてほとんどない。

特徴2.発作的な怒り

現実を打ち消そうとする魔法が上手く効かないとわかると、とたんに怒りだす。

他人が自分に都合のいいように動かなかったり、見たくもない現実を否応なく突きつけてくる相手などには、すぐに腹を立てる。

いきなり激しく怒りだすものだから、周囲はまごつく。

たいていの人は引き下がり、彼の好きにさせるが、本物のゴロツキや別のタイプのナルシシストなら、こうはならない。

ときにピーターパン人間は殴り合いを演じるが、それはごく稀だ。

しかも、たいていは負ける。

それでも、けっして自分が負けたとは口にしない。

結局、この怒りのおかげで、彼らを少しは評価してくれた人も彼のまわりから遠のいてしまう。

愛情や気遣い、さらには思いやりをかけてくれなくなる。

このピーターパン人間との人付き合いがくなる。

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不幸にもこの怒りは、ピーターパン人間が周囲の人々から愛されるのを妨げる障壁になる。

特徴3.自分の非を認めない

ピーターパン人間は、けっして非を認めない。

自分の行動がどんなに滅茶苦茶でも、また、その目論見が間違っていても、定まって彼は、自分にはどうすることもできなかったとか、誰かの責任だと言い訳する。

たとえば、何人もの友人を家に連れてこなければいけないので、帰りが遅くなったんだといった言い訳をするし、マリファナ所持でつかまっても、友だちのために預かっていたんだと言い逃れをする。

家を散らかしっぱなしにするのも、(どうせ職に就くこともないくせに)職探しに忙しいため、ガールフレンドに捨てられたのも誰かが中傷したため、なのだ。

自分に非があると認めたら、自分は完全でなくなってしまう。

それでは困るので、反対に自分の非は認めない。

特徴4.無頓着

自分の行動に責任を持たないため、ピーターパン人間は絶えず不始末を起こすという異常な才能の持ち主だ。

物を壊したり、本を失くしたり、約束を破ったり・・・、そのためにいつも彼の頭の中には暗雲がたれこめている。

もっと困るのは、彼らがひとつひとつのミスから何も学ばないことだ。

同じ過ちを何度も繰り返す。

結局、自分の完全さを否定する材料になる過ちはいっさい認めないので、彼のこの無頓着を解決する手だてはない。

特徴5.お酒やクスリの乱用

ピーターパン人間に酒やクスリに溺れるタイプが多いのは、いつも完全さを求めているのに、実際には「自分は役立たずのクズ人間だ」という虚無感から逃れられないためだ。

彼らは、自分たちの意識を大きく広げてくれるクスリや酒から離れられない。

そのためにビールやクスリの飲み過ぎが常習化し、もっとひどくなると更に危険なものに手を出す。

それは、神聖で完全な気分に浸れる片道切符なのだ。

特徴6.手当たりしだいのセックス

ピーターパン人間の脆弱な自我にとって、うまくベッドに連れ込んだ女の子の、アーとかオーとかいう悩ましい声ほど、心地良い音色はない。

その人数が多ければ多いほど、彼が求める完全さは確かなものになる。

ただし、気持ちのうえで女の子が醒めていてくれるのがいちばんいい。

その後で、べたッと寄りかかられるのは迷惑なのだから。

女の子の興奮や満足が”お義理”のものでも、気にはならない。

どだい利己的な彼には、本気かどうかを聞き分ける耳など備わっていないのだ。

 


人付き合いがうまくいかない家庭

2023-06-29 21:35:05 | 人付き合い

100マイルも離れて住んでいたので、バリーの母親はたびたび電話をかけてきた。

そしてそのたびにバリーにいろいろと頼みごとをしたが、彼はそのつど快く引き受け、そのとおりにしてやった。

母親を喜ばせたい、その一心だった。

バリーだって、時には、母親が自分を頼りにしるぎると思うこともあったが、そんなことをちょっと口にしても、ひどい罪悪感を覚えた。

子どもができたことでメリーの作り話は、これまでとはちょっと赴きの違うものになった。

二人の間に生まれたのは、男の子が二人と女の子が一人である。

しかし、子どもが育つにつれ、二人の関係にひびが入り始めた。

子どもたちから、いろいろな感情を向けられるうちに、どうしてもメリーは自分の気持ちの変化に、気づかないわけにはいかなくなった。

表向きは社会的に恵まれているけれど、内面は空しさを感じている。

夫は週末以外は出張だし、子ども相手に淋しい毎日だった。

メリーは、でき上がった結婚生活のしきたりを変えたい、と思うようになった。

しかしバリーは、妻の気持ちを理解しなかったし、夫との生活の共有、感情面での成長、もっとたくさんのコミュニケーションなどを求める妻の希望を、むしろ脅威に感じた。

よくある中年女性の危機だとなだめ、働くなり、もっとテニスでもしたらどうかと勧めるのだった。

そして内心、母親と妻、この二人の女から向けられる現実離れした要求を考えると、パニックを起こしそうだった。

そこで彼も気持ちが落ち着かなくなって、ラケット・ボールに夢中になったり、アルコールに頼ったりしはじめた。

情事の機会も求めてはみたが、深入りすることは恐ろしかった。

長男のコリンは、そうした両親の無言の緊張の中で育った。

彼は両親の不和を暴くほど大人になってはいなかったが、自分のまわりのほとんどすべてのことに無責任で不注意になった。

メリーは口だけ達者になった息子に、合理的な躾をする代わりに腹を立て、もう14歳にもなっているというのに、ガミガミ叱り飛ばした。

そのため息子はますます反抗的になり、母親の言うことをきかなくなった。

この時点、心理療法を受けていれば、メリーは、息子のコリンへ自分の不満をぶつけることは、実は夫への怒りの置き換えであると知らされたはずだ。

それだけではない。

彼女は、自分の育ちを偽ることで、幼い時のよい思い出までもすべて否定しようとしていた。

しかもそのことで内心自分を責めている。

心理療法を受ければ、メリーは当然そこにも気づいたにちがいない。

本当は、メリーの受けた躾のほうが、いま自分の子どもが受けている躾より、比べようもないほどはるかに素晴らしいものだった。

そのこともメリーはさっぱりわかっていない。

しかも、心理療法を受けたことが知れたら、社交界で何と言われるか、それを心配してせっかくの予約を、そのすぐ後でキャンセルしてしまった。

私の知るかぎり、二人はまだ結婚している。

メリーは、いくつもの委員会の委員長を兼ねているし、いまやバリーは次期社長の有力候補である。

現在バリーには、愛する若い恋人がいるが、二人とも、離婚したらせっかくの地位もすべておしまいになる。

だとしたら、ここはひとつ波風立てずに、共存していこうということになった。

コリンは24歳になったが、いまだに大学を卒業できないでいる。

酒好きで、アルバイトも二ヵ月以上続いたためしはないし、人付き合いが怖くなり最近はひどい抑うつ状態に落ち込むようになった。

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コリンの弟や妹は、ピーターパンシンドロームにならずにすんだ。

隠されたメッセージは年上の息子に、いちばんひどい打撃を与える。

彼らはすべての問題の解決を「ないない島」に求め、そこで答えを得るのである。