ソウルの空の下

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軍艦島

2017-07-29 21:29:40 | 日記

雨が上がって、曇り空ですが外に出かけるのにはいい感じでした。植え込みには夏の花も咲いています。久しぶりに映画館で映画を楽しみました。日本でも何かと話題になっている『軍艦島』という映画です。初日で98万人が見たというほどこちらでも大きな関心を集めています。ただそういうヒット作品が登場すると、映画館で上映する作品がこればっかりになってしまって、地味だけど良い映画、一部の人には高い評価を得ているような作品がすぐに上映されなくなってしまったりという傾向がまた問題になっていますね。実はおととい、JTBCという放送局のニュースルームに出演者の一人、ソン・ジュンギさんが出て、映画について語っていたので見たいと思ったわけです。アップになると人形のような美形ですね。映画の中では光復軍という独立運動組織から、軍艦島に徴用された朝鮮人労働者に混じって閉じこめられている、独立運動の指導者(イ・ギョンヨン)を救出するために送りこまれた特殊部隊員という役柄で出ています。炭鉱の労働は命の危険といつも隣り合わせの苛酷な現場でした。女性たちは島内の遊郭で男を取らされるようになるし、事故やケガ、落盤などがいつ起きるかわからない。しかも朝鮮人労働者は一番危険なところに追いやられるという中で、楽団のリーダーだった男(ファン・ジョンミン)や鐘路一帯を牛耳っていたヤクザの親分(ソ・ジソプ)などがからんで話が進んでいきます。実は独立運動指導者が日本人と内通して、労働者たちの給与や災害補償金をピンハネしていた裏切り者だったり、戦局が日本の敗北へと突き進んでいくのがはっきりしてきて、炭鉱を閉鎖して本土に引き揚げるのに、虐待や不正を知っている朝鮮人労働者を全部坑内に閉じこめて爆破しようという計画が進んでいることがわかります。労働者たちはひそかに集まってソン・ジュンギの提案にしたがって島から石炭運搬船で脱出を決意します。その話し合いで皆手にロウソクを持っている場面が出てきますが、ちょうど映画を製作していた時期が「キャンドル集会」が盛んに行われていたときだったので、多分こんな場面が取り入れられたんじゃないかと思わせます。つまり自分たちの命を守るために自ら立ち上がるという行動が、現代にも通じる人間のやむにやまれない行動だという意味付けをすることで、作品が単に過去の植民地支配の非道さを告発するという次元のものではないということを示そうとしたのだと思えます。内部の裏切り者の存在や、同じ朝鮮人が抑圧者の手先になって敵対するという構造は今の社会でもありうることですから…。ただ、悲惨な現場で起きたできごとの描き方としては、もっと丁寧に、深く掘り下げて人間の心の葛藤みたいなものをじっくり描くこともできるんじゃないかという、残念さは残りました。作為的というドラマ構成が気になったというか。脱出した船のデッキから長崎の方を見ていると大きなキノコ雲があがって(8月9日に原爆投下というテロップが出ます)、あそこにも同胞がたくさんいるはずだけど、と誰かがつぶやくラストとか。ちょっとモヤモヤ感が残りましたが、家の近くの「シェフのクッスジョン」という食堂で”大韓丼”を食べて大満足。彩り豊かで下には海苔の混ざったご飯。ちょっと変わったビビンパという一品です。

本の季節

2017-07-28 19:09:01 | 日記

韓国では数日前に村上春樹の「騎士団長殺し」が翻訳出版されて、話題を集めています。日本ではこれまでのヒット作に比べると伸び悩んでいるという話を聞きましたが、こちらではどれほどの反応があるのか…。それとはまったく関係ありませんが、ある人から紹介を受けて詩集の翻訳を引き受けることになりました。作者である詩人のキム・ウンビさんに会って話を聞きましたが、続いて出版社を訪ねました。場所は孝子洞という、景福宮や大統領官邸にも近いところです。写真のような石塀がきれいな路地に入って進むと、まるで韓定食の店のような佇まいですが、この中に出版社があります。入ってすぐのところには中庭に面してカフェがあり、庭園もこじんまりしていますが風情があります。この女性は誰なのか…サダコさん?韓屋の一室が出版社の事務室です。もともとは個人の住宅で築70年くらいになるそうです。大家族が住んでいて建物が大きく部屋もたくさんあるんだそうで。その建物を出版社のオーナーさんが買い取って、カフェと出版社を経営しています。社員は編集長が40代である他は皆20代の若い人ばかり。若い人の感覚で出版や、企画が進められている場所が伝統的な建物の中というのが、京都の若者文化を思い出させます。きっと活力ある新しい文化が生み出されていくんでしょうね。

本家尾張屋 取材②

2017-07-25 20:34:41 | 日記

二日目は朝早く、9時半から京都の老舗蕎麦屋である「本家尾張屋」にお邪魔しました。京都といえば、やはり白川の、祇園に続く巽橋あたりの風情が何とも言えず、京都らしさを感じさせますね。尾張屋は烏丸御池近くに本店があって、今ある建物は築130年くらいだそうですが、店の歴史は1465年というから、応仁の乱の2年前という超老舗です。はじめは和菓子を作ることから始まって、お寺の要請でそばを打ち始め、蕎麦屋として本格的に営業を開始したのは元禄年間。初代稲岡伝左衛門さん以来、代々その名を襲名して今日まで続いてきましたが、16代目にあたる現在の当主は稲岡亜里子さんという女性です。彼女は13歳のころから外国生活を夢見ていましたが、お父さん(先代)の考えもあって、高校1年までは京都で過ごし、高2の時にアメリカ西海岸に渡ったそうです。それからずっとアメリカで過ごし、大学では写真を専攻して、ついにプロのカメラマンに。個展を開いたり、写真集を出すほど写真に打ちこみましたが、2011年に家を継ぐ決意を固めて今は550年の歴史を受け継ぐ伝統の老舗を切り盛りしています。行かれたことのある方はその雰囲気を覚えているかと思いますが、もとは2階が住まいだったということで、2階の各部屋は普通の食堂ではなく、先代、先々代の方たちが暮らしていたというその雰囲気がまだ色濃く残っているような気がしました。調理場も特別に撮影させてもらいました。一日千食も出るというそばは、やはり京都の名水があってこそ。特にだしがポイントだそうです。壁には北海道の蕎麦畑の写真もかけられていて、尾張屋の契約栽培をする畑から直送の蕎麦と、利尻昆布など北海道とは関係が深いようです。水といえば、稲岡さんの写真のテーマも数年前にアイスランドで撮影したときに自然の中で循環する水を題材としていたとか。アイスランドには森や水、苔などに小さい頃から慣れ親しんだ京都の原風景と重なるものが多く、清冽な水に育まれる蕎麦作りを受け継ぐ気持ちもそこから生まれたと語っていらっしゃいました。京都の水については、これまでも松井酒造さんや錦湯さんなどでも聞くことがありましたが、京都に25年も住みながら水のありがたさに全く気がつかなかったというのも申し訳ない気がしました。まだ行ったことのない方は是非京都の水をベースにした蕎麦の味を楽しんでください。最後の写真は尾張屋さんの菩提寺にある過去帳(?)に書かれた初代伝左衛門さんの名と、2年前の亡くなられた先代のお名前が並んで記されていました。これは一番最後のページでしたが、代々の方のお名前をパラパラと拝見すると、さすがに550年という歳月の重みを感じることができました…。

祇園祭の後祭と取材①

2017-07-24 12:42:45 | 日記

金土日と再び京都に取材に行きました。去年の7月から書き始めたので、ちょうど1年になりますが、今回が老舗の10軒目ですから、ようやくこれで完結するという、記念すべき訪問でした。これでしばらくは京都にも来ないかと思っていたせいか、京都で食べたものがどれも美味しく感じられ、道行く女性が特に美しく見えたのは、単にいやらしい老人の目なのか…。朝、8時30分の飛行機だったので、張り切って始発の地下鉄(5時25分)に乗りこむと、駅の売店で売る商品を届けるひとの荷物の山が。卵がずいぶんたくさん見えますが、下の方に挟まっているのは割れたりしないかと心配になりました。京都に着くと祇園祭の雰囲気がたっぷり漂って、暑さもあまり気にならないくらい久しぶりの京都情緒に浸ることができました。室町蛸薬師の鯉山は、取材の第1回でお世話になった松井酒造がスポンサーなので、社長にご挨拶。ついでに「祇園囃子」というお酒を1本購入しました。家で飲むつもりが、娘に連れられて訪れた「スペース ネコ穴」という店で、次々と訪れるお客さんたちと「これでもいかがですか」と味見をしてもらったりしているうちに空っぽになってしまいました。本当によく散らかった他所の家にお邪魔したような不思議な店でした。料理はおいしかったです!なぜか取材はそっちのけで飲み屋案内みたいになってしまいますが、翌日の夜に旧知の人と「とりひめ」という店に行ったところ、飲み放題付2980円のコースでしたが、写真のように飲み物の注文をタブレットで客が自分でリクエストするという、私にとっては初めてのシステム。カラオケの曲入れみたいですね。一応個室風になっているので、店員さんを探しながら「すみませーん!」などと叫ばなくてもいいというのはグッドアイデアです。さて、金曜日に訪れたのは河原町通りにある「丸善京都本店」でした。本社は東京で歴史は明治時代にさかのぼります。京都の店も今年で110年という長い伝統を持つ書店。ご存知のように2005年に一度閉店しましたが、10年経っておととし復活しました。場所はファッションビルのBALの地下。B1,B2の二つのフロアにぎっしり詰まっている本や雑誌の数は百万冊とか。特に丸善は洋書の品ぞろえが豊富で7万冊。昔は京都大学を中心に研究者や大学の先生たちが愛用して、日本の学問発展に大いに貢献したという歴史的役割を果たしてきました。最近は京都に住む外国人がよく購入するそうで、専門書からだんだnペーパーバックスなどの一般書に変わってきたんだとか。店長さんにお話を聞きましたが、出版不況といわれて久しい日本では書店の運営が難しい状況はなかなか変わっていかないので大変だそうです。それでもインターネットでできないのは本に詳しい店員さんたちが直接、お客さんと話しながら求めているものを探してくれるというプロ精神ですね。京都本店には10年前にも勤務していたような専門化ともいえる従業員の方がたくさん残っているのが強みなんだそうです。店長さんはもともと大阪の方ですが、京都に来る前は福岡、その前は千葉や東京本社にも在籍して、新しくオープンする店舗を軌道に乗せるのが仕事だという、何とも大変な役目を果たしていらっしゃるそうです。丸善・京都といえば小説「檸檬」が思い浮かぶという答えが大部分。閉店や再開店の時も檸檬フェスティバルをやるくらいですから、今でも文庫本の小説がよく売れているそうです。そして地下2階にある「丸善カフェ」では「檸檬」にちなんだレモンケーキが人気メニュー。つい試食をしましたが、確かにレモンの皮に乗ったクリームと、身をくりぬいて底のほうにあるレモンの実の酸っぱさが何ともいえないフレッシュ感を口の中にシュワーッと広げてくれる逸品ですね(700円)。実は丸善の創業者である早矢仕有的という人が考案したとも言われる「ハヤシライス」もこの店の名物の一つです。本の林に囲まれたホッとするひと時を一度過ごしてみてください!ソウルに帰ってみるとニュースで、日曜日にソウル、仁川を中心に大雨が降って深刻な被害が出ているとか。まったく知りませんでしたが、早く復旧することを祈ります…。

集中豪雨

2017-07-17 10:16:45 | 日記

昨日、おとといと全国に豪雨の被害が相次ぎました。ニュースで伝えられたのは特に忠清道の清州で大きな被害があったということでした。忠清道地方は5月の終わり頃から日照りが続いて農作物への被害が深刻だと伝えられていました。畑がひび割れて、田植えもできないという話でしたが、今回の雨で水不足は解消されたかもしれませんが、逆に水害で農地へのダメージが深刻になると思われます。市街は水浸しになり、濁流に呑みこまれる家の様子は3.11の津波を思い出させますね。中には川のまん中で身動きできず、ヘリの救助で引き上げられる人もいました。画面に交差点で車が立ち往生している様子が見えますが、昔は車の色が黒系が多かったように思いますが、今は白が多いことがわかります。さてソウルもここ数日間、先週、先々週もそうでしたが、週末になると雨が降り続いて、私の住むコシウォンでも台所に水漏れが起きたり、目に見えない被害は結構あったんじゃないかと思われます。雨がやんでもすっきりしない陽気で、湿度も高くて日本の梅雨に近い状態。今朝は雨も上がりましたが、くもったまま。通勤の途上で自転車に乗る女性の姿が見えました。最近は街中で自転車に乗る人もよく見かけますね。この自転車は市が貸出している自転車で「タルン」といいます。あちこちに置き場が設置されていて、乗り捨てたり、また別の場所で乗ったりができるそうですが、登録が必要なようです。日本に暑中見舞いのハガキを出そうと郵便局に行きました。ハガキの郵便料金は430ウォンで、切手がきれいなので写真に撮りました。むくげの花や太極旗なんていかにも韓国的ですが、切手が今は紙ではなく、ビニールみたいなものでできていますから、破れないようになっています。先週は宿題が5つくらいあったので、毎日忙しくなかなかブログも更新できませんでしたが、皆様どうぞ暑さに負けず元気にお過ごしください…。