40年前に韓国で初めて枢機卿になり、カトリック教会というより、韓国の良心を代表するといわれた金寿煥さんが、16日、亡くなられました。86才でした。70年代から80年代にかけて、軍事政権の下で虐げられていた人たちとともにありながら、強権を恐れずに自由と民主を守る発言と行動を続けていた金枢機卿は、多くの人たちの心の支えだったと言われます。たまたま留学中に訪れた明洞聖堂の講話でも、はっきりと政権を批判するお話をされていた記憶がありますし、87年の6月、聖堂に籠城した学生や市民を逮捕するために機動隊を中に投入すると、警察責任者が脅迫したときにも、毅然として、「警官たちがこの扉を開けたら、まず私の姿を目にすることだろう。私を倒してから中に入ることになる。すると、次にはここの神父たち、修道女たちが現れるから彼らも倒さなくてはならない。その後で初めて学生たちの顔を見ることができるだろう」と言い放って体を張って市民たちを守ったという逸話が伝わっています。死後に角膜を提供するという遺言を残し、延命措置を断ったという故人の姿は、最期まで人々に感銘を与えているようです。謹んでご冥福をお祈りします。
昨日は節分で、自宅のすぐ近くにある吉田神社では初詣よりも人出が多かったようです。各地からこの日のために集まった露天商の人たちの車もぎっしりと路上駐車で出入りも大変でした。人出に備えて移動式の公衆トイレも置かれていましたが、今朝見ると「京都市 環境課」が片付けをしているのが見えて、節分の豆まきもすっかり公的な行事になっているようです。韓国では節分という行事はありませんが、日本では嫌われ者の「鬼」にあたる、トッケビというキャラクターがいます。こちらは嫌われ者ではなく、純朴で、おっちょこちょいな「好かれ者」のイメージです。悪意のないいたずらは大好きですが、時には世知に長けた人間にだまされて、お金や宝物を持ってきてあげたりもします。マンガのトッケビは「金ソバン（金さんという意味）」という名前ですが、最近流行の「ゆるキャラ」を思わせるほど愛嬌がありますね。先日、レスリングの金メダリスト、伊調馨さんが韓国体育大学のレスリングコーチと結婚するというニュースを聞きました。彼女は選手としてこれからも「鬼のように」活躍するでしょうが、様々な文化の違いにとまどうこともあるかもしれません。そんなときは「トッケビのように」おおらかに、明るく、楽天的に考え直して、楽しい二人三脚を続けてほしいものです。