ソウルの空の下

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追悼  岡部伊都子さん

2008-04-30 22:01:09 | インポート

Photo 随筆家として数多くの書を出された京都在住の岡部伊都子さんの訃報を聞きました。京都、奈良など古都のたたずまいをエッセイにした作品の数々は印象深いものですが、ご自身の痛恨の体験を忘れずに、女性の立場から、軍国主義の加害者としての視点を忘れることなく、生涯持ち続けて沖縄や朝鮮の人々と向き合おうとした真摯な姿勢に感銘を受けた方も数多いことと思います。その昔、日韓連帯運動などの集会や、アピールに岡部さんのお名前を何度も目にした記憶があります。京都では、高麗美術館を創設された鄭詔文さんの、「日本の中の朝鮮文化」という雑誌にも深く関わり、美術館の活動にも関与されてきた故人の活動の軌跡は、日本人と朝鮮との関わりに一石を投じて、多くの示唆を投げかけてくださったと思います。写真の著書「朝鮮母像」は1958年から2004年に至る年月に岡部さんの語られた思いが、淡々と述べられながら、鋭い問いかけとなって読む者に訴えているような気がします。心よりご冥福をお祈り申し上げます。


聖火リレーの残したもの

2008-04-29 12:51:12 | インポート

長野、ソウル、ピョンヤンと中国大陸に連なる三つの都市を巡って、北京オリンピックの聖火が中国へと向かいました。それぞれの国の状況や中国との関係をあぶりだすようなイベントで、オリンピックというものの持つ現実的な意味が、スポーツと平和の祭典という美名と距離があることに改めて気づかされたような気がします。それにしても、ソウルでのリレーの状況は大変なものだったようです。「オーマイニュース」ではソウル特派員の撮影した動画が配信されていますが、オリンピック公園近くの道路を占拠するような中国国旗の波は、かつてソウル市街を埋め尽くした、学生たちの示威のような緊張感と威力を見せていました。聖火リレーに抗議するために集まったのは、脱北者への取締り、弾圧に抗議する団体や、反中国的な保守団体、キリスト教の団体などでしたが、1万人も集結したという、中国人留学生たちとの間で激しい衝突が起きました。インターネットには、「暴行を恣にした留学生」を特定する画像が流され、実名や在籍する学校名まで、公開されたそうです。連日「中華民族主義」を非難する投稿が掲載され、反中国感情が高まって、今後双方の衝突や、排斥運動などが懸念されているようです。歴史的な関係の深さは、地続きであるだけに日本以上の結びつきがあり、高句麗を中国の属国視する歴史観をめぐる対立など、これまでも双方の感情を悪化させるような事件が何度もありましたが、このたびのできごとが火に油を注ぐことにならなければと、願うばかりです。同じ民族である北朝鮮でのリレーが、完璧に進行されたのは、これまでの各国での状況を振り返ると、その違いが際立って見えました。もう一つの政治状況が映し出されたわけですね。聖火が残していったものが、どんな形で夏の大会につながっていくのか、重い課題をつきつけているような気がします。


ソウル風物(プンムル)市場

2008-04-28 12:50:12 | インポート

Photo いよいよ連休の始まりですが、季節も良く、韓国に観光旅行する方も大勢いらっしゃることでしょう。去る26日、ソウル市内、東大門市場の近くの運動場に仮住まいしていた「風物市場」が新設洞駅近くに新しい建物となってOpenしたそうです。韓国には今も各地に市場があって、大型スーパーやデパート、ショッピングセンターとは一味違った、生活に根ざした買い物ゾーンを形づくっています。観光名所となっている巨大市場とは違い、住宅街に隣接する中小規模の市場には、消費者と商人のやりとりが生活の一部として、コミュニティを支えているように見えます。地方に行けば、五日市など、常設ではない昔ながらの巡回市場もあります。そこには祭の雰囲気が漂って、様々なイベントやパフォーマンスを老若男女、和気あいあいと楽しんでいるようです。このたび新装開店した風物市場には、衣類、雑貨、地域特産物、飲食など894軒の多彩な店舗が入居しているそうです。プンムル市場は蚤の市ともいわれて、ショッピングというより、手にとってこれは何かとか、いくらなのかとか冷やかし半分でのぞきを楽しんだり、庶民的な味覚のグルメストリートで季節感を味わうようなスポットなのかもしれません。ソウルに行かれる方は一度足を運んでみませんか?


来月は「家庭の月」

2008-04-23 17:28:38 | インポート

Photo まもなく連休が始まりますが、韓国でも最近は週休2日制が定着して、「黄金連休」という言葉がいわれるようになりました。5月1日はメーデーですが、労働者の権利を守るスローガンを掲げるというより、勤労感謝の日に近い意味合いを持って連休の初日となります。2日を休みとすれば、子どもの日(オリニナル)まで5連休が続きます。8日はオボイナル(両親の日 写真)で父の日と母の日が一緒になって、両親にカーネーションを贈ります。12日の月曜は釈迦誕生日でお休みですからここも3連休。15日は先生の日(ススンエナル)。各学校、クラスでは先生たちに花やカードを贈ったり、美味しいものを一緒に食べたりしながら「先生の恩は天のよう~」という歌を歌うそうです。19日は成年の日ですが、日本の成人式のように地域で大規模にするのではなく、家庭や職場で個別にお祝いを行うとか。記念日が続きますが、家族や「心の親」である先生を大切にしようという趣旨であることから、この月は「家庭の月」として様々な行事を通じて、家族間の友愛を深める機会を作る時期といわれます。「誰でもいいから殺したい」といった動機で殺人事件が続く昨今、人と人の絆を大切にするきっかけは、日本でも切実に求められているような気がします。


朝鮮通信使祭り in プサン

2008-04-14 11:50:03 | インポート

Photo 昨年は朝鮮通信使400年記念ということで、縁の地では様々なイベントが行われました。通信使の文化交流事業の精神は次の400年に続くという趣旨から、今年は第二の400年の最初の年として、プサンで盛大な「通信使祭り」が催されます。5月2日(金)はプサン市役所で通信使をテーマとする国際シンポジウムが開催され、夜にはプサンを発つ通信使の一行の無事安寧を祈願する儀式である「海神祭」が行われます(19時~東区 子城台公園内 通信使広場)。3日は祭のクライマックスとなる「平和の行列」が11時から、竜頭山公園~光復洞までのメインストリートを歩きます。竜頭山公園では歴史体験ゾーンが作られて、通信使が着た衣装を着て記念撮影、行列図パネル展示、通信使一行が乗った船の展示など、様々なイベントが準備されています。18時からは公園内特設舞台で、「通信使の夕べ」という日韓の文化公演が繰り広げられます。韓国側は古典舞踊、農楽など、日本からは阿波踊り、マーチングバンドなどの競演を見せてくれるそうです。19時からはコモドホテルに舞台を移して、通信使の出発の祝宴を再現する「餞別宴」が開かれます。伝統芸能を鑑賞しながら、当時、実際にふるまわれた料理が食べられるといいます。これらの行事はもちろん、個人でも参加できますが、韓国観光公社などが企画したツアー「朝鮮通信使!日韓文化交流の旅」に参加すれば、安心して楽しめるかもしれません。出発は5月1日(木)。モーニングツアー(06-6346-2651)までお問い合わせください。