18の時に読んだ理系ミステリーを、33になって再読。
やっぱ、感じ方が違うな。
18のときはただただ「面白い!!!」と、「萌絵、ムカつく」だった。
今回も面白いことは面白いんだけど、それよりも、犀川先生や真賀田四季の厭世観とも言える思想表現がとても気に入った。
「先生・・・、現実って何でしょう?」萌絵は小さな顔を少し傾けて言った。
「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考に現れる幻想だ」犀川はすぐ答えた。
「普段はそんなものは存在しない」
「死を恐れている人はいません。死にいたる生を恐れているのよ」
「生命なんて、バグですものね。生きていることは、それ自体が、病気なのです。病気が治った時に、生命も消えるのです。そう、たとえばね、先生。眠りたいって思うでしょう?眠ることの心地良さって不思議です。なぜ、私達の意識は、意識を失うことを望むのでしょう?意識を失うことが、正常だからではないですか?眠っているのを起こされるのって、不快ではありませんか?覚醒は本能的に不快なものです。誕生だって同じこと・・・。生まれてくる赤ちゃんって、だから、みんな泣いているのですね。生まれたくなかったって・・・」
「貴女も、生まれてきたときは、泣いたはずです」
「さあ・・・、どうでしたかしら・・・。でも、私が産んだ子は泣きました」
あと、四季博士の奇想天外な会話。
7は孤独な数字だとか、「165に3367をかけるといくつかしら」とか。
とても好きだった。奇想天外な会話展開がとても大好きだった。
不思議と、18のときにあんなにムカついた萌絵には何も感じなかったので、今なら続編読めるかもな。18のときは、萌絵がイラついて、読む気になれなかった。
ただ、このシリーズはすべFが一番面白いとも聞くし。悩むな。
でも、シリーズ物って、大概一番最初が一番面白い、って言われるものな。
京極堂シリーズだって、なんだかんだで姑獲鳥の夏。大長編ドラえもんだって、なんだかんだでのび太の恐竜。
久しぶりに、小説をじっくり読んでみるか。次は「冷たい密室と博士たち」