:〔続〕ウサギの日記

:以前「ウサギの日記」と言うブログを書いていました。事情あって閉鎖しましたが、強い要望に押されて再開します。よろしく。

★ 世界史の奇跡?=ユダヤ教とキリスト教の和解(そのー1)

2015-05-26 17:00:52 | ★ シンフォニー《イスラエル=ガリレア》

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 世界史の奇跡?=ユダヤ教とキリスト教の和解への道(そのー1)

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キリスト教がローマ皇帝から迫害される非合法宗教から一転して、ローマ帝国の国教の地位に登って以来1700年間、キリスト教はユダヤ人を迫害し続け、相互に反目し、敵対し続けてきた歴史がある。「ユダヤ教は強烈な選民思想であり、排他的な思想であり、イエス・キリストの処刑に関わった張本人」などという考え方も広がっている。

 

ガリレア湖に反射する太陽 向こうはシリアのゴラン高原 日本のPKO部隊が長く居たところだ

 

キリスト教からすれば、ユダヤ人は神から遣わされるメシア(救世主)を待ち望みながら、ナザレのイエス=キリストをメシアとして認めず、ローマ人に売り渡して十字架につけて殺した「神殺し」の民であり、ユダヤ人からすれば、キリストは偽メシアだったから排除されるべきは当然で、彼らは今も、本当のメシアの来臨を待ち望みながら、そのために日に3度祈りをささげている。

そのユダヤ人に対して、キリスト教徒がどのような感情をいだき、どのように彼らを扱ってきたかは、シェークスピアの「ヴェニスの商人」を読めば、その一端がうかがえる。そこではユダヤ人は金持ちだが強欲で無慈悲で邪悪なものとして描かれ、キリスト教徒は清廉で知恵に満ち愛に溢れていて、最後のどんでん返しでキリスト教徒がユダや人の鼻をあかすという筋書きになっている。

近い過去における反ユダヤ主義の生んだ最も不幸な出来事は、ヒットラーの率いるナチスによるホロコースト(絶滅収容所における大量虐殺)だった。その犠牲者の数600万人とも言われる。

 

アウシュヴィッツ強制収容所の正面に向かって伸びる鉄路

 

ホロコーストで民族存亡の危機を経験したユダヤ人は、数次の中東戦争を経て、パレスチナにイスラエル国を強引に建設し、多くのパレスチナ難民を生み出した。IS(イスラム国)がやっていることと大差ないやり方で国を作った。違いは、国際ユダヤ資本とアメリカやイギリスを味方につけたか、それらを敵にまわし、なおかつ野蛮なえげつないやり方に走ったかだ。然し、神の名において他人の土地を奪った点では同じではないだろうか。 

この不幸な歴史に、決定的な転換をもたらしたのが、聖教皇ヨハネパウロ2世とキコの二人の存在だった。

ヨハネ・パウロ2世は1979年、教皇として初めてアウシュヴィッツ強制収容所を訪問。1983年には教皇として初めてローマの大シナゴーグ(ユダヤ教に会堂)を訪れ、2000年3月(ミレニアム)には聖地を訪問し、「ユダヤ教徒は我々の兄である」と宣言し、キリスト教の歴史におけるユダヤ教徒への対応への反省を公式に発表した。

キコは、カトリックのミサの中に、ユダヤ教の過ぎ越し祭の要素を再発見し、ユダヤ教の祭りの歌のメロディーとヘブライ語の歌詞を豊かに取り入れて、たくさんの聖歌を作曲してカトリック典礼をより豊かなものにした。さらに、ガリレア湖のほとりの丘の上にドームスガリレアというコンヴェンション施設を建設し、ユダヤ人との交流の場を開いた。この施設には年間10万人以上のユダヤ人が訪れている。さらにシンフォニー「罪のない人々の苦しみ」を世界中で演奏し、多くのユダヤ人たちを招いてホロコーストの犠牲者を悼んだ。

キコは、去る5月の4日から7日まで、キリスト教2000年の歴史で初めて、世界中のユダヤ教のラビ(教師)たちを招待して、シンフォニーを聴かせ、ユダヤ教とカトリックの宗教交流のコンヴェンションを開催した。世界中から120人のラビたちがその招きに応え、日本からは東京のユダヤ教会堂のラビ夫妻が参加してドームスガリレアで一堂に会した。

 

ドームスガリレアの入り口前の芝生に立つ聖教皇ヨハネパウロ2世像

 

開催に先立って、180人ほどの演奏家が、スペインとイタリアからやってきた。私もキコに呼ばれて参加した。5月2日から指揮者トーマス・ハヌスの念入りの特訓が始った。

 

コンヴェンションホールでの合同リハーサル風景

 

汗ビッショリになって棒を振り続ける指揮者トーマス・ハヌス

 

キコのコーラスの最大の特徴は若い妊婦さんの多いことだ この2枚の写真の中に

明らかにそれと分かるのが少なくとも3人 他に目立たないのが何人いるか 知っているのは神様だけ

 

彼ら ただ音楽を演奏するだけではない 時間には祈り ミサにもあずかり

ミサの終わりには 祭壇を囲んで みんな輪になって踊る ユダヤ人たちのように

準備は急ピッチで進んだ ユダヤ人の心情に配慮して 食堂の大きなキリストの十字架像も 聖母マリア像も取り除かれた 

ホールのガラスドアの握り手も 急遽斜め線を加えて4の字型にして ユダヤ人の手が十字架に触れたことにならないように工夫が凝らされた

あらゆるキリスト教のシンボルを消したのは ユダヤ人の心情に配慮してのことだ

 

 

ユダヤ人たちが 自分たちの固有の祈りを奉げることができるよう 特別の部屋も用意された

ユダヤ人ラビたちは ここでユダヤ教の礼拝を奉げることだろう

あと3日もすれば 世界中からユダヤ教の指導者たちが集まってきて

カトリックの枢機卿や 司教たちとここで歴史的な対話をすることになっている

世界史の転換点となり得る重大なイヴェントの前夜の姿だ

(つづく)

  

 

 

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