バーンサック村ソーイ・タップタワン;津波被災モーケン
(「海の民」)コミュニティー
CODI資料2005/2/14
http://www.codi.or.th/tsunami/next_140248_01.htm
パンガー県、タクワパー郡、バーンムアン行政区バーンサック村ムー7のソーイ・
タップタワン・コミュニティーは、モーケンもしくは新タイ人が住むコミュニティー
で、先祖の代からこの公共の土地に暮らしていた。津波が起きると、村人は約3km離
れたゴム園に逃げ込み、プラスティック製の屋根の粗末な小屋を立て暮らしていた。
当初はどの援助も入ってこなかった。数日して、食料や飲料水、生活物資などを寄付
する人々は入って来たが、大きな非難キャンプと比べると少ないものであった。国境
巡視警察がバーンムアン非難キャンプに仮設住宅を建設したことで、バーンムアン近
くに移り住むことができ、南部コミュニティー生活計画ネットワークと繋がるように
なった。バーンムアンキャンプからの建築資材の分配、もとのコミュニティー近くの
私有地の空き地に避難キャンプを建設した。また、タイ医療基金から建築資材費用の
援助があり、国境巡回警察、コミュニティー生活計画ネットワーク、大学生なども建
設を手伝った。
避難キャンプ建設が実施された2005年1月4日から10日の期間に、タイ(Tai)コミュ
ニティー基金、コミュニティー計画ネットワークの有志によって、合計74世帯の被災
民に関する調査が実施され、CODIはそれらの結果を編集し、以下のように要約した。
○居住状況
81.08%(60世帯)は、この地で生まれ育ってきた。他地域からの移住者はわずか
18.92%(14世帯)のみで、住民は全てモーケンもしくは新タイ人である。大部分の人の
名字は海にちなんだもので、一般的な名字の人はほとんどいない。
○コミュニティーでの居住期間
大部分の世帯は生まれた時からこの地に住み、20年以上居住している世帯が56世帯
で、居住期間が10年未満の世帯はわずか3世帯(4.05%)でしかない。
○土地の管理
91.98%(68世帯)は、自ら住居を建造しており、簡素なモーケン式の家屋である。漁
業の道具を置く床下があり、壁は木、もしくはトタン板、竹でできている。住居は海
岸近くに建設してあり、津波がくると大部分の世帯の住居は破壊されてしまい、他所
の空き地にコミュニティーを立てる必要がある。モーケンは前述のように長くこの土
地で暮らしているにも関わらず、半分の37世帯のみしか土地の権利を発行していな
い。残りの土地の権利を持っていないものは、長期間居住しているが、調査を知らな
かったか、親から継承した土地なので、土地の権利に関して特に関心がなかった。
○村民
村民合計は314人で、内訳は、死亡・行方不明者が25人、有職者193人、無職23人、
児童83人、老人15人である。
○職業と収入
49.7%(96人)は雇用労働に従事し、一般的な雇用労働としては、建設業、バイク・
タクシー、リゾートの清掃人などである。25.8%(24人)が漁業に携わり、残りの他の
仕事に従事するものが6.2%である。村の月収合計は1,156,990Bahtで、世帯平均
15,635Bahtである。
(津波被害;死亡者13人、行方不明者12人、負傷者13人)
○家屋;81.08%(60世帯)は全壊し、被害総額は9,013,400Bahtで、世帯平均では
121,803Bahtである。
○仕事道具の損失;重要なものでは、漁船14隻、バイク7台などで被害総額は村で
1,527,500Bahtである。
○生活品の損失;雑多な生活品は合計4,909,400Baht、財産は総額3,893,400Bahtで、
それ以外にも住居登録証、国民携帯証、土地権利書、会計簿などをなくした人が多
く、世帯単位での仕事道具と財産の損失額は135,598Bahtである。
(要求)
○居住;87.84%(65世帯)は、もとの場所に住みたいと考えており、4.05%は新しい土
地に住みたい。
○仕事;77.02%の世帯がもとの仕事に就きたいと考えており、20.27%は新しい仕事を
希望。
○外部からの援助への要求;損失した仕事道具が欲しい人が7人、仕事の資金が欲し
い人が26人、漁船が欲しい世帯が2世帯、仕事場の紹介をしてもらいたい人が20人、
その他に1世帯である。
○健康面;15世帯が病気の治療を求めており、23世帯は心のケアを求めている。
○児童の世話;小さい子供は24人おり、孤児は2人いる。
○児童の教育;保育園10人、小学校32人、中学校13人で、合計29人が、教育費を求め
ている。
避難キャンプの建設が完了し、新タイ人は1月17日にキャンプに移り住むことがで
きた。同時に、恒久的な居住地について計画を立てた。はじめにドイツからの団体が
土地の権利を持つ37世帯の土地に恒久的な住居の建設を支援してくれるのだが、既に
建設する住居のモデルを設計していたために、もとの住居を望むモーケンが異議を唱
え、設計者との協議の結果、床下があり、竹製の壁というもとの住居に近い住居を建
設することになった。1月終わりにまず12棟を建設。
1月26日には、コミュニティーは居住する近辺の土地の所有者の請願を受けて、県
の社会開発・社会福祉[正式組織名不明]から、建設を阻止する告知が送られてきた。
コミュニティーは、彼らの土地が先祖から受け継いでいる土地であることを証明し、
海に即したモーケンの生活に一致した元の土地で暮らしたいことを伝えた。