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C型肝炎の基礎知識

2015年01月19日 09時16分58秒 | その他
国立国際医療研究センター、肝炎・免疫研究センター長 溝上雅史の静岡肝友会28回医療講演で、彼は次のように話している。
「実はHCVの感染力は弱いのです。日常生活で感染することはほとんどありません。
同じようなB型肝炎ウイルス(HBV)は感染力が強いですからよく間違えられるのですが、HCV性感染は1%もありません。
私は名古屋で結婚して20年たっているパートナーの奥さんや御主人を100人くらい調べましたが、夫婦間で感染していたのは1例のみで、99%ありませんでした。
それくらい感染力は弱いのです。またHBV感染はアジアでは母子感染が主体なのですが(中略)HCVの母子感染はせいぜい5%位しかありません。
感染した赤ちゃんは3才くらいまでの間に自然に治るものが約3割もあると報告されています。
それから医療による針刺し事故、これもほとんど感染しません。
我々のところで200例くらいの針刺し事故の人を1年間フォローアップしましたけれど、これも1例も感染しませんでした。
しかし、刺青や輸血や注射器や針を交換しない静脈注射では簡単に感染します。これはどういうことかというと日常生活で血液に触れる位では間単に感染しない。日常生活でお風呂とかお茶碗とか箸とかをまったく別にする必要がないと言うことを意味します。
感染するのは血管の中にHCVが入ると初めて感染するとことを意味します。 
したがってHCVは輸血なり注射器なりで血管の中に入れない限り、感染しないということです。だから日常生活はごく普通にしてもらえば良いのです。(中略)なぜ日本に肝がんが多いのかを明らかにするには時間という因子が非常に大きく、そのことを頭に入れておかなければなりません。
その時間を計算するのに分子進化学という学問があります。
特に分子時計(C型肝炎ウイルス分子系統樹分析)という手法を使ってHCVの広がりを研究しました。日本には1880年頃HCVは入ってきて、1990年頃から広がり始めました。
1950(昭和25)年には急速に広がり、1990(平成2)年頃からその拡散は止まったことが解ります。HCVの感染は血液を介する要因がないとほぼ感染しません。
それではその要因とは何でしょうか?
1880(明治13)年のHCV感染要因は何でしょうか?それは西洋医学が一番考えられます。
それまでの漢方医学は草の根を煎じて飲む医学でした。ところが1860年代にかけて西洋医学が入ってきました。その中には外科的手術があるわけです。
血液を介する感染で尚且つ血管に入らないと感染しないわけです。
西洋医学がHCVの侵入を許した要因と思われます。
その次には、1920(大正9)年代の頃からHCVは広がりました、実は1920(大正9)年頃に注射を使用したのは日本住血吸虫症に対する特効薬が作られ使用され始めたのです。(強めようさらなる絆を、静岡肝友会10年史、p162-167、2012)。
更に放送大学公開シンポジウムの席上(2014年11月1日)、溝上雅史氏は「なぜ佐賀に肝がんが多いのか?」と題して講演し、日本住血吸虫症に対する治療で、1本の注射器・針で何人にも注射したのが佐賀で肝がんが多い原因と述べています。
日本住血吸虫症の特効薬とは1922(大正11)年3月伝染病研究所(現医科学研究所)の宮川米次の依頼を受けて萬有製薬が製造したもので、商品名をスチブナールといいます(萬有製薬五十年のあゆみ、p31、1964)。
同年11月から山梨県の開業医、三上三朗が300例治験を行い、特に危険な副作用はなかったと報告した(スチブナールによる日本住血吸虫症の治療実験、9:1330-1339、1923、実験医報)。
溝上雅史の分子時計の方法が合っているとすれば、この三上三朗の治験の頃から注射器と針は連続使用されていたと容易に推測できます。
そして1931(昭和6)年寄生虫病予防法(法律第56号)ができ、日本住血吸虫病に対して静脈注射(スチブナール)の強制接種が行われるようになった。
佐賀県によると「住民検診で判明した有卵者は直ちに治療の措置をとるものとし治療は研究所、保健所及び医師会とし、集団治療等の徹底的な措置的な方途を講ずる、という方針が出された(佐賀県の日本住血病―安全宣言―、p67、1991)。
かくして日本住血吸虫症の流行地は肝がんの多発地域なった。




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