自燈明・法燈明の考察

成仏とか宿命転換とか

 今朝方の関東方面は結構荒れた天候でしたね。朝から土砂降りで、用事のために早朝から車で出掛けてたのですが、結構な降り方でした。私の親は父親は既に鬼籍に入っていますが、母親がまだ存命中です。しかし高齢者になっていて介護が必要となっています。

 創価学会に限らず、日蓮正宗やその他、多くの宗教では信心する事で幸福になる事を謳っています。私は創価学会をやっていましたが、今は生きているのか、死んでいるのかわからない池田氏なんかは「生きている事が楽しくて仕方がない境涯になる」「絶対的幸福境涯になる」と教え、この人生で創価学会に尽くしぬけば、その福運で「生生世々、幸福な境涯に生まれる事が出来る」という事を、各種会合で指導していました。

 しかしその一方では「功徳は求めるものではない」という様な指導なんかもしてまして、要は求めなくても功徳(ご利益)は付いてくると教えていたのかと思います。

 そもそも仏教の功徳とは「六根清浄」とも言われているので、今の私の理解では物事を曇りない眼(まなこ)で見る事が出来る様になる事だと思っています。
 過去に私は部員を励ます際には「祈って問題を解決しよう!」なんて事を言っていた事もありますが、創価学会から距離を置き、改めて仏教を学んてみると、「祈りを叶える」なんて事はどこにも目的として書かれていない事を知りました。そこらか考えると創価学会の言う「功徳」というのは「ご利益」という事だったと理解できました。

 この仏教の「功徳」に対する誤解というのも、恐らく国内の各仏教宗派の中にもあると思いますが、こと日蓮正宗関係ではその淵源は堅樹院日寛師の教学にあったと思うのです。そこには大御本尊を「功徳聚」と呼び、「罪として滅せさるなく、祈りとして叶わざるなし」と定義していますが、それが淵源になっているのではないかと考えているのです。

 確かに日蓮の遺した御書には、以下の言葉はあります。

「大地はささばはづるるとも虚空をつなぐ者はありとも潮のみちひぬ事はありとも日は西より出づるとも法華経の行者の祈りのかなはぬ事はあるべからず」
(祈祷抄)

 しかしここにあるのは「法華経の行者の祈り」とある様に、単なるご利益を求める事とは異なる事だというのが解ります。

 恐らく堅樹院日寛師は、富士山の麓の山寺であった大石寺の再興の為に、ご利益信仰を全面に出す為に、この様な説を唱えたとか言う事はないでしょうか。江戸時代は太平の世の中でしたから、人々はより豊かに生きたいという願望もあったでしょう。当時はやりの「お伊勢参り」等にもそんな風潮があり、それに乗ったのかもしれないな。私は日寛師の言葉に対してその様に思う事があります。

 創価学会が急速に拡大した時期、それは日本国内は戦後の混乱期から復興期にあたります。当時の戸田会長の唱えた日寛教学に基づく「功徳(ご利益)信仰」は、どん底にあった日本社会の中のニーズにマッチして、急速に組織は拡大しました。
 確かに人間の欲望というのは、先ず生きる事の基本である身体的な欲望の充足に向かいます。日蓮が言う処の「身の宝」ですね。これは主に衣食住という基本的な「モノ」に対する欲望です。そしてそれが充足すると財産を求めます。これは社会の中での自由を求めるもので、これは「蔵の宝」にあたります。そしてそれが充足して始めて「精神的な欲望」へと移行します。これは「心の宝」ですね。
 しかしこの「心の宝」と言っても様々なものがあります。それは地位や名誉と言った、社会の中での承認欲求を求める事から、近年よく言われる「QOL(人生の質)」、これはより良く生きたいという願望です。
 仏教では天界を三つに分類し、欲会・色界・無色界とこれらの事を呼んでいますが、一方では「天界は六衰を受く」と呼び、それら欲望の充足を求める事は、結果として心が衰弱するという事になると説いています。

 つまる処、様々な事を書きましたが、「祈りを叶えよう!」「幸せになろう!」「絶対的な幸福境涯を目指そう!」なんて言い続け、求め続ける事は、結果として人生を生きる心の疲弊を招くのではないかと思うのです。
 
 私自身、二十代には叶えたい事は沢山ありました。三十代では、その為に必死にもがいて来ました。そして四十代になると、そうやって生きてきた人生の形が見え始め、悩み、焦りを感じる事も多くありました。ただ五十代も半ばに来てみて、漸く人生について見え始めてきた事があります。そしてそこから顧みると、創価学会で教えられて来た「宿命転換」なんていう言葉の底の浅さを感じています。そして仏教がいう「成仏」という言葉も、創価学会で教えられた事とは違うと感じています。

 この辺りについては、残りの人生の中でキッチリと、決着をして行きたいですね。



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