オーストリアが大連立政権樹立に向かう見通しだ。
http://www.ft.com/cms/s/862e4772-527b-11db-bce6-0000779e2340.html
1日実施されたオーストリアの国民議会(下院、定数183)選挙で辛勝の結果第1党となったオーストリア社会民主党(グーゼンバウワー党首)は、シュッセル首相率いる国民党との大連立組むこととなる見通しだ。得票率は社民党が35.7%、国民党が34.2%、極右・自由党(11.2%)、緑の党(10.3%)、極右・未来同盟(4.2%)
FT紙(3日電子版)は社民党は北欧モデルの社会・福祉政策に向かうだろうという。次期首相となるグーゼンバウワー・社民党党首は18機のユーロファイター軍用機の発注をとりやめること、大学授業料の導入を撤回する見通しであることを確約している。また、年金受給者への配慮と、教師増員、少人数教育の実施などの教育改革を行うと述べた。これは国民党が年金削減や企業優遇税導入などの政策を打ち出したのと対照的である。
結局、極右・未来同盟も4%のハードルを超えたため、議席保有が可能となった。もしこれらの政党が議席を保有しなければ社民党には緑の党(10.3%)のみとの連立政権ということも可能であった。国民党との連立の中で、政権から離脱していた間の経験をいかにカバーしていくのかが課題とされている。
というのもグーゼンバウワーは中央・地方レベルともに行政執行権者の地位にいたことはないからで、経験不足は社民党顧問で元財務相のアンドロッシュも認めるところだという。また、カリスマ性の乏しさについても指摘されている。
現財務相のグラセール氏は昨年の結婚によりクリスタル工芸企業のスワロフスキーの後継者となったことから企業経営に専念する旨言明しており、この後継者が問題となるようだ。また、極右勢力は15.6%に伸び、中東を中心とした移民政策の重要性は増していることから内務相の人選もキーポイントとなる模様だ。
外相は現在のプラスニック氏がシュッセル氏の信任も厚く残留する見通しもあるが、首相と別の党では問題が生じるとの一般的観測もあり流動的だという。
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一時期、極右に流れたオーストリアだが、ここに来て社民勢力の復興がみられるようだ。しかし、これも社会福祉的な観点からのもので、移民問題が依然として大きな問題であることは間違いなく、それは極右勢力の5割アップという事実からも窺える。こうした事実を我々は「対岸の火事」として見るのではなく、差し迫った仮想的未来と見なければならないのかもしれない。
http://www.ft.com/cms/s/862e4772-527b-11db-bce6-0000779e2340.html
1日実施されたオーストリアの国民議会(下院、定数183)選挙で辛勝の結果第1党となったオーストリア社会民主党(グーゼンバウワー党首)は、シュッセル首相率いる国民党との大連立組むこととなる見通しだ。得票率は社民党が35.7%、国民党が34.2%、極右・自由党(11.2%)、緑の党(10.3%)、極右・未来同盟(4.2%)
FT紙(3日電子版)は社民党は北欧モデルの社会・福祉政策に向かうだろうという。次期首相となるグーゼンバウワー・社民党党首は18機のユーロファイター軍用機の発注をとりやめること、大学授業料の導入を撤回する見通しであることを確約している。また、年金受給者への配慮と、教師増員、少人数教育の実施などの教育改革を行うと述べた。これは国民党が年金削減や企業優遇税導入などの政策を打ち出したのと対照的である。
結局、極右・未来同盟も4%のハードルを超えたため、議席保有が可能となった。もしこれらの政党が議席を保有しなければ社民党には緑の党(10.3%)のみとの連立政権ということも可能であった。国民党との連立の中で、政権から離脱していた間の経験をいかにカバーしていくのかが課題とされている。
というのもグーゼンバウワーは中央・地方レベルともに行政執行権者の地位にいたことはないからで、経験不足は社民党顧問で元財務相のアンドロッシュも認めるところだという。また、カリスマ性の乏しさについても指摘されている。
現財務相のグラセール氏は昨年の結婚によりクリスタル工芸企業のスワロフスキーの後継者となったことから企業経営に専念する旨言明しており、この後継者が問題となるようだ。また、極右勢力は15.6%に伸び、中東を中心とした移民政策の重要性は増していることから内務相の人選もキーポイントとなる模様だ。
外相は現在のプラスニック氏がシュッセル氏の信任も厚く残留する見通しもあるが、首相と別の党では問題が生じるとの一般的観測もあり流動的だという。
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一時期、極右に流れたオーストリアだが、ここに来て社民勢力の復興がみられるようだ。しかし、これも社会福祉的な観点からのもので、移民問題が依然として大きな問題であることは間違いなく、それは極右勢力の5割アップという事実からも窺える。こうした事実を我々は「対岸の火事」として見るのではなく、差し迫った仮想的未来と見なければならないのかもしれない。