次世代総合研究所・政治経済局

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月刊現代11月号を読む

2006年10月02日 12時13分03秒 | Weblog
『現代』最新(11月)号が面白い。
http://moura.jp/scoop-e/mgendai/

 まず保坂正康氏による「安倍晋三「忘却史観」の無知と傲慢」はノンフィクション作家としては昭和史の第一人者といえる保坂氏によって安倍氏の著書が徹底的に批判されている。全般的な評価にとどまる点が悔やまれるが、歴史的事実についても逐一具体的な批評がほしかった。

 保坂氏は『政治家と回想録』(講談社文庫)のなかで「「国民のために尽くして二十年」といった安易な記述が目につく政治家の自伝や回想録は「公」がなくて「私」がない。」と記している。私のように「政治家とは議員バッジをつけた芸能人」と思っている者にとってはまさに至言と思える。

 さらに国平修身氏の「安倍晋三「大勝」の裏の脆弱」では、安倍が麻生、谷垣ら他候補との討論での劣勢が予想されるため、世耕弘成ら側近の勧めにより、NHKと民放の総裁候補者討論番組の「ドタキャン」をしていたことや、月に10回以上鍼を打っているなど健康に不安があることが暴露されている。

 政治関係ではこのほか、村上正邦×平野貞夫「参院大改革試案」を語っている。いわく、①総理の指名権を持たず大臣には就任しない、②任期6年で一括選挙とする、③政府の審議会を廃止し参議院にその役割を持たせる等々

 また、各界の人物による「本音の皇室論」も論者の幅広さでユニークだ。「東宮家「新たなる苦悩」」(原武史・明治学院大教授)もバランスのとれた新たな指摘もあり刺激を受けた。

 
 最近、壊れたレコードのように同じ論者による同じ理屈をタレ流したり、右向け右式の大勢迎合的な安直な編集方針の雑誌やが目立つ中、同誌の今月号の編集方針には拍手を送りたい。