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『小泉官邸秘録』を読む

2007年02月19日 23時07分22秒 | Weblog
『小泉官邸秘録』(飯島勲・日本経済新聞社)を読んだ。
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/31815621

 ブログを読むと本書に対する評価は二分されているようだ。いわく、「秘録」の名に値せず。いわく、指導力に関する素晴しい本だ。云々。

 私は、飯島氏のみが知りえた部分に注目すれば一読の価値ありといえると思う。それは①小泉総理がリーダーシップを発揮し、かつ側近しか語りえない出来事についてのエピソード、②官僚組織を活用するに当たってのノウハウ、の2点に集約できるだろう。

 ①については、医療保険改革に及び腰な厚労省に対し、総理が直接厚労相事務次官を本人人事にも言及して叱責した話、②については、特命チームとしての連絡室参事官の起用と外遊への同行、元建設事務次官の牧野轍氏の総理秘書官への起用などが挙げられるだろう。

 全般に(外務省を除き)著者は官僚組織と官僚の能力には信頼を置いており、官僚組織の不文律には配慮ていたことが分かる。たとえば郵政民営化準備室長に前農水次官を起用した際、各省次官より高い地位とするため内閣補佐官に併任した話などは役人的視点からも興味深い話だろう。全般的に外務省の前例踏襲主義に対しては批判的な論調となっていた。

 このほか、よく知られた話として田中真紀子外相の罷免、郵政民営化解散での候補者擁立の経緯なども書かれているが、この部分の舞台裏や経緯をもっと詳細に知りたいと思ったのは私だけではないだろう。

 著者の、各国大使は官僚でなくその国について造詣の深い(例えばイタリアについて塩野七生を挙げていた)人物にしては、との提案は大いに同意できた。


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