悪性脳腫瘍に対するレーザー治療

悪性脳腫瘍で苦しんでおられる患者様、および御家族に、私が開発したレーザー治療の有効性、安全性を紹介します。

日本レーザー医学会誌総説

2020-06-09 14:08:44 | 日記
日本レーザー医学会誌の特集号に脳腫瘍PDTの総説を記し、J-STAGEの早期公開に掲載されました。PDTの歴史をまとめ、今後の展望につき私見を述べています。ご興味のある方は、ぜひ、日本レーザー医学会誌のJSTAGEの早期公開でPDFがフリーダウンロードされますので、ご利用ください。 今回の特集では、PDTのみならず超音波を利用したSonodynamic therapyや、光感受性物質が放射線治療の感受性を高めるというRadiodynamic therapyなどの脳外科領域の第一人者が総説を書いており、非常に充実しています。PDTに関しても、長年基礎研究を続けている筑波大学から素晴らしい内容の総説が示されました。私も著者に早速連絡をとり、その内容につき議論しております。ぜひ、脳腫瘍治療に関するレーザー治療の温故知新、そして新しいビジョンにつきお楽しみください。 

COVID-19にPDTを

2020-05-09 08:27:21 | 日記
GWが明け、徐々に日常の業務に戻ってきていますが、まだまだCOVID-19への対策を緩和することは時期尚早と思われます。東京都の感染者数は徐々に減少してきていますが、北海道の様な第二波が来ないことを祈るばかりです。 さて、世界のPDT研究の流れとして、メインは癌治療なのですが、近年では感染症に対する有効性が多く示されています。最も有効とされているのは、皮膚感染症、口腔内感染症などであり、菌体が作るバイオフィルムをレーザーが破り、菌のRNA/DNAを損傷して静菌・殺菌効果をもたらすという機序の様です。私はCOVID-19禍が日本に襲来して以来、PDTでcorona virusを叩けるのではないか?と考えておりました。きっとどこかのPDT研究者が基礎実験に着手してくれているだろうと期待を持っていたのですが、とうとう愛読しているジャーナルの掲載前の論文にCOVID-19への応用の可能性を示したものを発見しました。 ブラジルのサンパウロのグループですが、細菌性咽頭喉頭炎に罹患したラットの実験で、インドシアニングリーンを噴霧した後に、780nmの近赤外線を体外照射することにより、60%の個体に有効性を示しています。実際の臨床例では92%の症例で症状の緩和を得たのです。ただ、この論文は決してcorona virus感染症に対しての成果ではなく、この方法論でcovid-19に立ち向かえるのではないかという期待を寄せるものでありました。タイトルは大袈裟なのですがーー。 " COVID-19: Beyond the virus. The use of photodynamic therapy fot the treatment of infections in the respiratory taract. "というものです。雑誌は Photodiag Photodyn Ther 誌です。世界に広がったこの人類の敵に対して、対抗できる武器はいくつあっても良いと思います。レーザー治療にはその可能性があることが示されただけでも興味深いものでした。1日も早く、coronaに対する有効性を示した論文が出ることを期待したいと思います。

昨年手術させていただいた患者様のyoutubeへの投稿です

2020-03-28 23:31:14 | 日記
私は34歳、悪性脳腫瘍患者です。



個人名で全てをyoutubeに公表しております。個人情報満載であり、悪用されないことを祈るばかりですが、同じ病に苦しむ患者様に少しでも闘病の様子を伝えたいという気持ちが伝わって来ます。ご本人も非常に素晴らしい方です。お時間がありましたら、一度ご覧ください。

PDTのDPC枠新設!!

2020-03-23 17:26:00 | 日記
2014年1月に保険償還されて2年間はPDT は出来高算定で行うことができました。しかし、2016年4月から2020年3月までの4年間は、包括診療枠内に組み込まれ、高額の薬剤費やレーザー機器の減価償却費などは、一切医療経費として請求できなくなったのです。つまり、PDT を行うためには、これらの薬剤費を含めた追加すべき医療経費を、施行施設が自腹で賄うことが必要になったのです。この様な状況下であってもPDTの有効性・安全性を重視してくれて、施行いただいた施設もありましたが、やはりこの医療経済的な問題は、PDT普及の足枷となってしまっていました。学会で如何に良い発表をしても、この問題を聞かれると、口籠もってしまうしかなく、2020年の改訂に期待してください、としか言えなかったのです! そんな中、本日、3月23日に厚生労働大臣名で公布された令和2年度保険改訂において、PDT がついにDPCの新枠を獲得したことを確認できました。これで悪性脳腫瘍に対してPDTを行う上で必要な経費を含めた追加医療経費を、しっかりと獲得することができたのです。これで4年間の苦しみを解決することができました。以前、本ブログで記載いたしました、技術料の向上も加え、多くの施設がPDTの参入に前向きになっていただける足場を整えることができました。現在は国内26施設にとどまるPDT施行施設が、各県に最低でも一施設ある様な状況に持って行きたく、1−2年後に達成していきたいと思っております。今後とも多くの方々に支援いただきたく存じます。とりあえず、DPC新枠の獲得につき、報告させていただきました。

PDTの技術料向上

2020-02-10 14:37:30 | 日記
久しぶりの投稿です。このところ2020年医療保険改訂に関しての情報が急激に流布しています。未だ、厚生労働省の最終決定版はまだ出ておりませんが、2/7に中医協の上申書が公開されました。私は日本脳神経外科学会、日本レーザー医学会の各学会の保険委員会を務め、さらに日本外科系学会連合の複数の委員を務めており、外科系(手術や処置など )の医療行為に対する、適正な医療保険価格の設定に貢献してまいりました。この数年は、自分が開発した悪性脳腫瘍に対するPDTの保険価格設定における、厚生労働省への情報提供などを行ってきました。PDT は悪性脳腫瘍の治療に用いられる保険適応治療の中で、現在最先端の技術であり、その治療効果、安全性は世界で最高のもの(初発悪性グリオーマのデータ)であることが示されておリます。しかしながら、PDT を開発した本邦においても、この治療が普及しているとは言い切れない現状があります。治療成績が飛び抜けて良好でありながら、多くの医療機関がその施行に二の足を踏むのは、この保険価格の問題があるのです。簡単に記すのは難しいのですが、現行の保険制度では、PDTをしようがしまいが、医療機関が国に請求できる治療費は同じであり、手術手技料としてPDTを行なった場合の方が12万円を追加請求できますというものなのです。本ブログをご覧になっている方でしたらご存知と思いますが、PDTを行うためには、レザフィリンという薬剤(光感受性物質)を用いる必要があり、さらにレーザーを発振するPDレーザーBTを購入する必要があるのです。正直、12万円のみの加算では、薬代もレーザ機器(減価償却5年)もとても賄えません。PDTを行うたびに医療機関は自腹で薬剤を購入し、高額なレーザ機器を用いなければならなかったのです。つまり国産の世界一の治療を行う上で、毎回病院は赤字の医療を行わなければならない状況があり、とてもPDTを開始しようと思ってくれる医療機関が増える状況では無かったのです。そこで、PDT の技術料の向上と、PDTを行う症例を、通常の悪性脳腫瘍の手術枠(DPC枠)と一線を画し、独自の保険点数を定めて欲しいと、この2年間活動を続けてきました。平日の午後に、一生懸命資料を作成し、たった5分間のプレゼンテーションを30代前半の若い厚生省審議官の前で行う。時には、予定手術の時間をずらしてまで、プレゼンテーションに出掛けておりました。そして、今回の中医協の情報公開を拝見し、技術料の5割アップが成されたことを確認しました。私の2年間の活動は、中医協-厚労省委員の心に少しは響いたことが確認できたのです。あとはDPC新枠の設定がどうなるかです。もしPDT枠が新設されるならば、PDTの施行に手を上げてくれる医療機関が一気に増えることが予想されます。今月末には公表されるとの噂を得ております。何とか、悪性脳腫瘍に苦しむ日本の患者様に、一筋の光を届けたく、今後も活動を続けてまいります。