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月想記

戯言日記

<美女劇>奴婢訓

2018-03-11 | 芝居
本日、東京芸術劇場シアターウエストでProject Nyxの<美女劇>奴婢訓を観た。

この作品は幾つかの劇団で観てるけど、また全然違った演出でとても面白かった。舞台セットや衣装など
随所に宇野さんの美意識が散りばめられてて、寺山さんと宇野さんの世界が見事に融合してた。
Nyxの舞台は宇野さんの芸術作品の一つだと思う。

Nyxは美女揃いでいつも皆さまとても麗しいのだけれど、今回思わず目が行く一際足が長くてお尻が綺麗な
方がいて、遠目でお顔はよく見えないのだけれどエアリアルされてたのでわかみほさんだ〜とすぐにわかった。
もう本当に美しくてまるで天女が舞っているかのよう。身体能力の高さが半端じゃない。

美女劇シリーズなんだけれど一人男性かな?と思う方がいて、でもすごく良い声で歌が上手くて、アフター
トークでANGELA=林 勇輔さんだという事がわかった。あのあみ太さんとも共演してる林さんだったなんて!
全然わからず観てたよ〜。そういえばANGELA名義でも活動されてるって言ってたな。
いやぁ素敵だった。感激。

黒色すみれのお二人の演奏がまた舞台にぴったりで、その美しさと臨場感を高めてくれていた。
ユカさんの歌うアヴェ・マリアは鳥肌ものです。眩しいほどに麗しくてキラキラしていたなぁ。

終演後のアフタートークがまた、時間をオーバーしての熱の入った楽しい内容で聞けて良かった。流山児の舞台
しばらく観れていないので、伊藤弘子さんが出られていたのも嬉しい。姐御の中の姐御。
家庭と女優業を両立して好きな事を諦めずいつまでも輝いてる皆さま、すごく格好良いと思った。

今回原作を知らない人が観たら話わかるのかな?って思いつつ、でもそれぞれのシーンを捉えてそこから感じる
テーマを何となくでも受信すれば良いのかな・・・とも思った。説明立てて意味をこじつける必要はないと
いうか。ただ感じるままに。
以前より舞台を観る回数が減っているけれど、やはりライブとはまた違った良さがある。寺山さんの作品は
歌も多いから少し共通しているところもあるのかもしれないけど、作品の世界に入り込んで自分もその一部に
なるような感覚が好きだ。寺山と三島は自分の原点というか根幹だって改めて思う。


パンフとTシャツとバッチを買ってご機嫌で帰宅(笑)


青森県のせむし男

2017-11-26 | 芝居
11月26日(土)ザムザ阿佐ヶ谷にてB機関 第弐回公演『青森県のせむし男』を観た。

舞踏家の点滅氏主催のこの劇団は、演劇と舞踏が融合したこれまでに観たどの寺山作品とも
また違った舞台。点滅氏の肉体の鬼気迫る存在感は圧巻である。美しくも切ない場面の数々、
額縁のセットの中で繰り広げられた芸術作品。

寺山作品の永遠のテーマ、母と子の愛憎劇。憎んでも疎んでもそれでも母恋し。されども
我が子忘れ難し。葛たか喜代さんはどこまでも母であり女であり、本当に子供産んだ事
あるんじゃないかと思うほど。
劇中マツが女浪曲師の女学生に向かって「子供を産んだら分かるよ。」というような台詞を
言うシーンがあるのだけど、あの方にはわかっているような実感があった。
マツと松吉の大田怜治さんとのラストシーンは、壮絶に尊くて美しかった。
松吉のせむしのコブが白鳥の羽になっているのを見た時には、涙が溢れて止まらなかった。
まだ脳裏に白い羽が舞い散っている。

美少女役の辻真梨乃さん、観るたびに美しくなるなぁ。数年前に同じザムザでAPBの舞台に
出る彼女を観たのが初めてだけれど、しみじみと魅入ってしまった。今回台詞は余りない役
だったものの、その動きの美しさとお尻の見事さに見惚れてしまった。
家令の高田那由太さんは前作に続きキュートすぎてズルい!
かの子さんの耳に心地良い抜群の歌声。松吉と女学生が一緒にダンスするシーンの甘酸っぱい
切なさ。

息子を持つ母としては、寺山作品は色々とシンクロしてしまう部分も大きい。
演じる劇団によってその表現方法は様々だけれど、B機関の舞台はかなり好きである。
次回も絶対行く。カーテンコールで拍手しながら、涙がポロポロ流れ落ちた。
舞台観てこんなに泣いたのは久しぶりだ。
素晴らしい作品に出逢えて嬉しい。

Q

2017-11-21 | 芝居
11月18日(土)万有引力の「Q」を観てきた。

今回体験参加型というのは事前にわかっていたものの、それだけで場所も渋谷某所・・となっていて
初日の朝までわからず。
参加者は届いた招待状にあるQRコードを読み取って行く先を紐解いていくという・・・。
全公演が終わるまで内容は口外ならなかった為、やっとここに記す(笑)

集合場所は金王八幡宮。渡された地図も読めない程の暗がりの中開演を待つ。
劇が始まると照明と音楽。境内を進みながら胸の高まりを抑えきれない。
神社と白塗りは似合いすぎる!
序章の後地図とQRコードを頼りに天井桟敷ゆかりの地を巡って、最終目的地の「Q」へ。
方向音痴の私は金王八幡宮へ辿り着いただけで一仕事だったので、一人で参加だったのもありこれには
心底不安になった。もう皆様の後を付いていくしかないと思った!(笑)
劇団の方もナビゲーターで何人か先導してくれるので、その集団に必死に付いていった。





目的地へ着いたら招待状に書かれたマークで観客は二手に分かれて座らされる。その後も一緒に観る部分と
別々の部屋で観る部分とがあり、反対側で繰り広げていた劇が気になる。日によっても内容が違ったそう
なので今回何通りの世界があったのか?私は夜の回を観たけれど、昼間だとまた違う顔だったはず。
後で他の方のツイートで知ったけれど、演じられていたのは「ガリガリ博士」との事。

こういう舞台は初めてだったので戸惑いつつ新たな世界を垣間見た想い。街を空気を人を飲み込んで、そこに
展開する未知の空間。その時間に自分もその場に居られた事を嬉しく思う。劇の一部になれたようで。
緊張の中街を歩き回ったのもとても刺激的だった。

終わった時には駅がどちらの方向なのかもよくわからず街へ放り出された気分だったけれど、勘で歩くと
いつも失敗するので、ひたすらに来た道を記憶の限り戻った(笑)
万有引力の舞台はいつも拍手させてくれない幕切れだけれど、そのまま夢の余韻を心地良く引きずって
現実との境を漂える。
天井桟敷を観る事は出来なかったけど、万有引力に出逢えて良かった。寺山さんはそこに居る。

レミング

2017-06-28 | 芝居
6月27日(火)座・高円寺にて万有引力のレミングを観劇。

見える壁、見えない壁、虚構と現実。狂人と常人の境目。高田さんのお母さんが素敵すぎてこれはもう反則。
影山影子は森ようこさんしか考えられない嵌まり役。今回飛永さんと今村さんの声が好きだと改めて思ったり。
私達は壁に守られ、また遮られてもいるのだろう。すり抜けた向こう側にあるものは?

数年前に松本雄吉演出のレミングを観た時は、出演者すごい豪華なのに自分にはピンと来なかった。
初レミングだったので正直がっかりしたほど。でも今日の万有の舞台は正に寺山さんを感じた。
これが本物なんだって。

万有の舞台はぜひとも開場と同時に入りたい。開演前から演じられる役者のパフォーマンスで物語に引き込まれる。
段々人数が増えてきてあちら側とこちら側の境界線が曖昧になったところで、静かに物語は始まりを告げる。
その瞬間の鳥肌たるや毎回変わらぬ。

今回アフタートークのゲストが事前に発表されておらず「天井棧敷と万有引力の歴史を誰よりも刻んだ人物」と
だけあったので一体誰なのだろう?と思っていたら、なんとJ・A・シーザーだった!もう大当たり!!
そしてトーク終わりにまさかのシーザーの「観客みんな舞台に上がって見ていいよ。」発言でいきなりバック
ステージツアーの様相に。写真もOK。意図的に傾斜して作ってあるセットを見て~との事で、皆でワクワク
しながら舞台へ上がった。もう最高か。









寺山さんが紡ぐ言葉の世界がすごく好きだと、しみじみ思ったそんな夜。

身毒丸

2017-03-19 | 芝居
3月18日(土)世田谷パブリックシアターで万有引力の身毒丸を観た。

これが最後と思い、五感の全てで感じようと見つめてきた。2年前に観た時より更に母と子の
愛憎が胸に響いて、今気持ちが緋色に染まっている。瞼に残る赤、赤、赤。
人は皆血にまみれて生まれてくるのだ。愛と共に。

バンドの生演奏の臨場感と舞台上の物語の緊迫感と、鳥肌立ちっぱなしで心臓が苦しいままの
2時間弱。でもあっという間に終わってしまう。もっとあの空間に浸っていたかった。
今後もうその場に居られないという、刹那の時間に心奪われ乱される。
限りがあるからこそ余計に愛おしい。

蜂谷眞末さんの撫子は、とても怖いけれど美しく母性愛溢れる存在。母として理解出来てしまう、
真っ直ぐすぎるが故に歪んでもいる狂気の愛。
卒都婆のシーンは鬼気迫っていてものすごく凄みがあった。憎んでも憎みきれない。
愛と憎しみが表裏一体な感覚。

印象に残っているのが卒都婆シーンのしんとくと撫子、撫子に化けて現れたしんとくがせんさくを
蹂躙するシーン(ここでの高橋さんの姿の妖艶な事!)、ラストのしんとくと撫子の抱擁。
特にラストの二人が抱き合った時には、なんとも言えない感情に包まれた。
撫子が白髪になるのも含めて。

今回舞台の端々まで細かいところも観たいと思って意識して注目していたのだけれど、中央以外で
繰り広げられている小さな動きも素晴らしくて、どこまでも手を抜いていない全てが一体となって
作り上げられている世界観に、たまらなく魅了された。本当に伝説となる舞台。

ちゃんとした見世物小屋をまだ見た事がないのだけれど、子供の頃に見ていたらきっとすごく影響が
あったように思う。リアルじゃなくともこんなに響いているのだから。身毒丸での今村博さんの呼び
込み素晴らしかったなぁ。お代は後で結構です〜って、あんなの絶対入っちゃうよ。

そして今回会場の端に展示されていたマリアの心臓の人形スペース。撮影禁止で撮れなかったけれど、
天野可淡さんの撫子に清水真理さんのしんとく人形という豪華な展示に、思わず足を止めて見入って
しまった。

ずっと触れていたかった美しくも残酷な世界。余韻冷めやらず。