月想記

戯言日記

リア王

2014-05-25 | 芝居
座・高円寺にて万有引力の「リア王」を観劇。

万有引力の舞台はいつも役者達の鍛え上げられた見事な肉体とその動きの躍動感に
魅了されるのだけれど、今回も美術、衣装、音楽と共に全てが素晴らしかった!
あの俊敏さと美しさは何なんだ。
全体の調和の美もさる事ながら、一人一人の個性がまた際立っている。
とにかく荘厳で重厚な舞台。圧巻の一言。

リア王高田恵篤さんの鬼気迫る存在感、オズワルドの高橋優太さんのコミカルな切れ味、
長女ゴネリルを男性の工藤丈輝さんが演じていたのも最高。
赤い月を背にして立つエドマンドの飛永聖さんは痺れる程カッコ良かったし、エドガーの
曽田明宏さんの悲哀に涙。
コーディリアの村田弘美さんは可憐で儚く可愛らしかったし、道化の阿呆の森ようこさんが
ものすごく印象的だった。メイクとマスクであの美しいお顔がほとんど見えないのだけれど、
シニカルな語り口としぐさが何とも良かった。
グロースター伯爵の井内俊一さんの崖から飛び降りるシーンは、10cmぐらいしかない高さ
なのに本当に断崖絶壁から飛んだかのような迫力。
あれは相当受け身を練習したのではないか?他にも一歩間違ったら大怪我じゃないのか・・
というようなシーンが沢山あったけれど、そこを紙一重でやってのける役者達の気合いと
凄さにひどく圧倒された。
一瞬たりとも気の抜けない、計算しつくされ、鍛え上げられ、練習に練習を重ねたものから
放たれる瞬間の芸術。
そして私の記憶の中で彼等は永遠となった。

これまで観た万有の舞台の中で一番好きかもしれない。複数回チケットとっておけば良かった
と激しく後悔。
再演を切に切に願う!!

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疫病流行記

2014-05-19 | 芝居
月蝕歌劇団の連続公演、2本目は寺山の「疫病流行記」。

この作品は観るのが初めてだったので、これもすごく楽しみだった。
ドグラ・マグラと違い歌や踊りが一杯で、今回は歌姫三上ナミ嬢も参加。(楽日のみ
若松真夢さんで私が観たのは三上さんの回。)
次々と目まぐるしく変わる展開に目を奪われつつ、ドレスや赤襦袢・黒眼帯に短パン
サスペンダー・兵隊服・日本刀に拳銃に吹き出す血飛沫・・・といつもの月蝕ワールド。
期待を裏切らない怒濤のアングラ感!
マッチの炎揺らめく名乗りに震え、皆で歌う終わりの歌に心和みながらの拍手喝采。
あの最後の名乗りはAPBでもやっているけれど、何度観てもグッとくるものがある。

疫病では倉敷あみさん高田ゆかさんの男装は今回も安定の男前で、ドグラマグラですごい
イケメンだったまたか涼さんの母親役にかなりの演技力を感じた!
國崎馨さんの美しさに改めて見惚れ、支配人やトレンチコートで寺山の言葉を語る男装姿も
凛々しかった。この作品では國崎さんの出番が一杯で嬉しい限り。
湖原芽生さんはドグラマグラでの千世子の時の儚さと哀しさと違い、妖艶でサディスティック
な魔痢子がカッコ良かった。女優ってすごい・・と改めて思う。
黒木桃子さんも大きな瞳が印象的で、とてもキュートなお方。
そしてやはり一番は柴奏花さんの存在感。彼女の暗黒令嬢ぶりはとても魅惑的。あの声と目線
には殺られてしまう。
「私はあなたの病気です。」・・なんて素敵なその言葉。

最後の方で米男役の倉敷あみさんが服をガバッと脱ぎ捨て、黒いブラにTバックに網タイツ・・
という下着姿に早変わりするのだけれど、米男なのになぜ?とちょっと面食らう。
目の保養だし個人的には非常に嬉しいんですがねww
この辺の高取さんの意図を知るには、演出ノートを買いなさい・・って事なのかw

名乗りの時に高田ゆかさんが「九條今日子さん、さようなら!」と叫んでいたのを聞いて、
ちょっと胸が熱くなってしまった。
月蝕は9月にまたひつじ座でカリガリ博士と邪宗門を上演との事で、邪宗門は「九條今日子氏
追悼」となっている。
これはまたもや、ぜひ行かねばなるまい。

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ドグラ・マグラ

2014-05-18 | 芝居
南阿佐ヶ谷ひつじ座にて、月蝕歌劇団の「ドグラ・マグラ」を観た。

原作が好きなので、あの難解な話をどう舞台化するのかとかなり興味津々ですごく
楽しみだったのだけれど、これがもうかなり秀逸!
原作を見事に解体し、月蝕ワールドに再構築。想像を越える面白さだった。

まず前説のアナウンスが流れる中、一人二人と狂人が舞台に現れそれぞれが勝手な
言動をしているところで、舞台もそのまま始まって行く。
記憶喪失の青年倉敷あみさんと呉一郎の高田ゆかさんの麗しい男装と鏡面性、呉モヨ子
を演じた若松真夢さんの透き通るような美しさ。
彼女の「お兄様~。」という声は原作のイメージそのものだった。
呉千世子の湖原芽生さんは儚くて物悲しくて、薄倖の母を熱演。千世子が哀れで愛おしくて
仕方なかった。
開演前のおみくじ売りでのぽわ~んとした甘い雰囲気とは打って変わって、めちゃめちゃ
男装が凛々しかった呉青秀のまたか涼さん。彼女は今回初めて観たけれどすごく気になる
役者さんだった。
久々の登場柴奏花さんは楊貴妃がピッタリで、白衣と黒衣のナースのどちらも安定の
アングラ感。個人的には黒い彼女がより好きだ~w
こちらも久々の國崎馨さんは、白衣にメガネという超萌えキャラでの登場。
出番が少なめだったので、もっと國崎さんが観たかった~~!
そしてアングラ女子高生の藤乃玲華さんも久々の復活で、うつろな瞳で舞台を往復する
狂少女が良かった。彼女は今後の活躍がとても楽しみな人。
ぜひ学業と舞台をうまく両立して、これからも役者を続けて行って欲しい。
月蝕は男優陣も実はすごく頑張っているのだけれど、特に正木教授役の新大久保鷹さんが
巨体から繰り出されるものすごいパワーと狂気で異様な存在感を放っていた。
褒め言葉として「怪優」と呼びたい。

こんな魅惑的な役者達の演じる世界に引き込まれつつ、気付けばすっかり自分もキチガイ
地獄の住人に。
どう終わりにするんだ?と思いながら観ていたけれど、高取さんの演出は見事だった。
原作読んで理解出来なかった人は、この舞台を観たらきっとよくわかるのでは。
余りに面白かったので、ぜひまた観たい作品である。

ラストは客出しのアナウンスが流れる中また狂少女玲華さんとあみさん演じる青年が出て
きて、観客が出て行くまで演技を続けているという終わり方だった。
あみさんが「演出の都合上今回はお見送りが出来ません。」と言っていたのは、こういう
事だったのだ。
ずっと観ていたかったけどこれは出ないといけないんだろうな・・と思ったので、後ろ髪を
引かれつつ外へ。
夢と現実の狭間を浮遊し、何が狂気で何が正常かその境目を体感する、そんな舞台。

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百合子、ダスヴィダーニヤ

2014-05-14 | 映画
レインボー・アクション映像祭にてもう1本観たのが「百合子、ダスヴィダーニヤ」。
翻訳家・湯浅芳子と小説家・中條(宮本)百合子との、実話に基づいた愛と別れの物語。

まだ同性愛という言葉すらなかった、女性自身が仕事を持ち自由に生きる事も認められて
いなかった時代に出逢った二人。
初めての出逢いから惹かれ合い関係は深まって行くのだけれど、生粋のビアンである芳子と
違いヘテロの百合子は夫との間を行ったり来たり、どっちつかずで不安定で見ていてちょっと
イライラするぐらい。
これまでにも辛い恋愛をしてきた芳子をどうかこれ以上傷つけないで欲しい・・とハラハラ
した想いで見守ってしまったw
大正時代のお話の為全体にレトロな雰囲気でラブシーン等も控えめだけれど、抑えた表現の
中に内に秘めた情熱を感じさせた。

最終的に百合子は男性の元へ走り、あぁ~やっぱりという展開。
芳子の凛々しさと潔さが印象的なれど、しかし百合子の行動もまたリアルで妙に納得もして
しまったり。
女性同士が愛を貫くのは今よりずっと難しかった時代。
それでも芳子が生涯で一番愛した女は百合子で、その愛は永遠なのだ。
百合子が去っても二人が愛し合った時間は残る。記憶は無くならない。

百合子の夫荒木役の大杉漣が、ダメダメで情けないどうしようもない男を超熱演。
思わず「キモい!」と言いたくなる程見事ww
吉行 和子や洞口依子等、脇を固める役者さん達も豪華で見応えあり。



監督の浜野 佐知さんは日本ピンク映画界の数少ない女性監督でありその草分け的存在だそうで、
アフタートークでこちらもご本人がお話してくれたのだけれど、すごく颯爽としていてサバサバ
とした感じのカッコイイ女性だった。
監督がなぜ二人の話に惹かれこの愛と生き方を撮りたいと思ったのか、短い時間の中で語って
くれた。
これまで失礼ながら浜野さんの事を知らなかった私だけれど、彼女のピンク映画や他の作品も
ぜひ観てみたいと思った。



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女として生きる

2014-05-12 | 映画
GWに開催されていた「第1回レインボー・アクション映像祭」にて「女として生きる」
を観賞。
以前からずっと観たかった映画なのだけれどなかなかタイミングが合わなくて、今回
やっと観る事が出来た。

監督の江畠さんいわく、テレビやドラマで病気として扱われる性同一性障害者の周囲との
葛藤や「私は頑張って生きています!」みたいなのではなく、メディアに登場しない日常の
トランスジェンダーの姿を描きたかったとの事で、4人の人物を通して現代の若い当事者の
生活と心情が語られている。
それは世間一般から見れば特殊であるが実にリアル。
この映画が出来たのは2011年なので、今はまた当事者の生活も周囲の捉え方も当時とはまた
変わっているとは思うのだけれど、それを差し引いてもこれまで余り描かれていなかった
視点から表現をしている作品で興味深い。
江畠監督自身がMTF当事者という事なので、それもまた作品の空気に大きく関係している
ように思う。
撮る側の気持ちも、撮られる側の気持ちも。

出演していた4人それぞれがしっかりした考えを持っていて、本人達もきっと色々悩んだり
葛藤しながらの日々なのだろうけれど、情報に流されて安易な道を選んでしまいがちな自分
よりも若い世代の子達を、逆に心配していたのが印象的だった。
その後の活躍をネットで目にする事が多い人もいるけれど、皆が今どうしているのか後日談
的な続編も可能であれば観てみたい。

上映後に監督のトークショーもあったのだけれど、江畠さんが余りにナチュラルで可愛らしい
方だったので驚いた。
この作品の後はまだ何も撮っていないそうで、クラインフェルター等の性分化疾患についての
作品も作ってみたいとのお話だったので、ぜひ今後も彼女ならではの視点で現状に切り込んだ
リアルな作品を撮って欲しい。




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