きょうの日本民話 gooブログ編

47都道府県の日本民話をイラスト付きで毎日配信。

2月19日の日本民話 トラのあぶら

2008-02-19 05:38:32 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月19日の日本民話

トラのあぶら

トラのあぶら
高知県の民話高知県情報

 むかしむかし、土佐の国(とさのくに→高知県)に是市(これいち)という、とんちの上手な若者がいました。
 ある日の事、となりの村へ出かけた是市は、にわか雨にふられて、ずぶぬれになってしまいました。
 服がビショビショで、寒くてかないません。
「はやく着物をかわかさねば、かぜをひいてしまうわ」
 しばらくいくと一軒の家があって、いろりに火をたいています。
「ちょいと、ごめんよ」
 是市はその家に入り込んで、いろりの火にあたらせてもらったのですが、火が弱くて思うように着物がかわきません。
 そこで、
「おらの村では、かたいタケを食べるが、このあたりでも食べるのかね?」
と、いろりばたのおじいさんに話しかけました。
「かたいタケ? タケノコではなく、かたいタケが食べられるじゃと!? そりゃあ初耳(はつみみ→はじめて聞いたこと)じゃ。ぜひとも食べ方を教えてくれ」
 おじいさんが、そう言うと、
「まずタケを輪切りにして、ナベに入れて、どんどん火をたいて、グラグラと煮込むのよ」
「よし。さっそくためしてみよう」
 おじいさんは大きなタケを切ってきて、いろりにナベをかけました。
「そんな弱い火じゃダメだ。わしも手伝ってやる」
 是市はいろりにまきをドンドン放り込んで、火を大きくしました。
 そのおかげで、たちまち着物がかわいてきました。
 それと、雨もあがってきました。
 おじいさんは、はやくタケが食べたくて、ウズウズしています。
「まだか。まだ食えんのか?」
「もう少しだ。ここでトラのあぶらを入れれば、すぐに食えるぞ。さあ、トラのあぶらを出してくれ」
 是市がいうと、おじいさんは不思議そうな顔で言いました。
「トラのあぶら? そんなものはないぞ」
「そりゃあ、残念な事じゃ。おらの村じゃあ、どこの家にもおいてあるんだが。こまったなあ。これがないと竹は食えんからのう」
 是市はそういうと、さっさと帰っていきました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → プロレスの日
きょうの誕生花 → すみれ
きょうの誕生日 → 1966年 薬丸裕英 (歌手)

きょうの日本昔話 → ふたをとらず
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きょうの日本民話 → トラのあぶら
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2月18日の日本民話 炭やき長者

2008-02-18 05:21:53 | Weblog

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2月18日の日本民話

炭やき長者

炭やき長者
山形県の民話山形県情報

 むかしむかし、ある村に、大金持ちの長者(ちょうじゃ)が住んでいました。
 ところがこの長者はひどいけちんぼうで、人のためにお金を出したことがありません。
 そのくせただとわかると、何でももらっていきます。
 そして長者は夜になると、土蔵(どぞう→そうこ)の中で大判小判(おおばんこばん→お金)のつまったはこを開け、一枚一枚数えるのが大好きでした。
 ところがある日、いつものようにお金を数えていた長者が首をかしげました。
「おかしいぞ」
 一枚も使ったことがないのに、数がたりません。
 次の日になると、またお金がへっています。
「もしかして、ドロボウかもしれない」
 そこで長者は、土蔵を見はることにしました。
 ジッと待っていますが、だれもやってきません。
 ところが、ま夜中になったころ、土蔵の中からヒソヒソと話す声が聞こえてきます。
「おや? 土蔵にはだれもいないはずだが」
 長者は、土蔵の中をそっとのぞいてビックリ。
 お金のはこの中から、大判小判が次々と飛び出して、
「おら、もうこの家にいるのはいやだ。ここのだんなは、人にお金をめぐむということを知らない」
「そうだ、そうだ。ためるばかりで使うことをしない。こんな家、はやく逃げだしてしまおう」
と、話し合っているではありませんか。
 長者はあわてて、土蔵の中に飛び込みました。
「待て! お前たちはわしのものだ。どこへも行かさんぞ!」
 すると大判小判はいっせいに動きだし、ジャラジャラと外へ出ていきました。
 長者はあわてて追いかけましたが、大判小判はあっというまに姿を消したのです。
 さて、山のおくまでにげてきた大判小判は、
「逃げてきたのはいいが、どこへ落ち着こうか?」
と、立ち止まりました。
 すると、小判が言いました。
「この山に、炭やきの藤太(とうた)という男がいる。たいへんな働き者で、お金がなくてもこまった人のめんどうをよくみるという話だ」
「そういえばこの間も、いっしょうけんめい炭をやいてためたお金を、病気でねているおじいさんにそっくりあげたそうな」
と、大判も言いました。
「よし、きまった。みんなで藤太のところへ行こう」
 そんな事とは知らない藤太が、つぎの朝、起きてみるとどうでしょう。
 炭小屋の前に、大判小判が山のようにつみかさなっているではありませんか。
 藤太は大喜びで大判小判をひろい集めると、さっそく山をおりて、こまっている人たちみんなに分けてあげました。
 それからのこったお金で家をたて、お嫁さんをもらいました。
 気前のいい藤太は町で評判になり、藤太の売る炭が飛ぶように売れました。
 やがて藤太は村一番のお金持ちになり、みんなから炭やき長者とよばれるようになったという事です。

おしまい

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2月17日の日本民話 ウナギ釣り

2008-02-17 07:31:10 | Weblog

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2月17日の日本民話

ウナギ釣り

ウナギ釣り
兵庫県の民話兵庫県情報

 むかしむかし、川の中に腰まで入って、ウナギ釣りをしている人がいました。
 ミミズをつけた釣り針をさし込んで、ウナギのかかるのをジッと待っています。
 でも、三十分たっても一時間たっても、ウナギは釣れそうにありません。
 それを岸に立って、さっきからジッと見ていた人が、イライラして言いました。
「いっぺんあげてみたらどうだね。もしかしてエサがなくなっているかもしれないよ」
 おせっかいなその言葉に、
(ふん、なにを言いやがる。お前なんぞにウナギの釣り方がわかってたまるもんか)
と、ウナギ釣りをしている人は、心の中でそう言いましたが、でももしかすると、本当にミミズがなくなっているかもしれません。
 そこで思いきって、釣り針をあげてみました。
 しかしミミズは、ちゃんと釣り針についたままです。
「なんだ、まるでくってないじゃないか」
 ウナギ釣りをしている人ではなく、岸の上の人がガッカリして言いました。
(よけいなお世話だ。だまって見ていろ)
 ウナギ釣りをしている人はそう思って、少し腹を立てましたが、もう一度、釣り針を川の中にさしこみました。
 ところがいくら待っても、ウナギのかかったようすはありません。
 それでもジッとがまんして、ウナギのかかるのを待っていました。
 やがて岸の上の人が、がまんできずに言いました。
「お前さん、そんなにのんびりかまえていて、ウナギなんか釣れるもんかね。わたしゃさっきから見ているが、じれったいたらありゃしない。よくもまあ、あきずに立っていられるもんだ」
 それを聞くと川の中の人は、腹を立てて岸の上に向かって大声で言いました。
「そっちこそなんだよ。釣れもしないのにいつまでも見ていて。じれったいたらありゃしない。よくもまあ、あきずに立っていられるもんだ」
 そう言われて岸の上の人も、ハッと気がつきました。
 ウナギ釣りに気をとられていて、仕事にいくのをすっかり忘れていたのです。
 岸の上の人は大あわてで荷物をかつぎなおし、あわてて仕事に行ったという事です。

おしまい

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きょうの記念日 → ツタンカーメン王墓発掘の日
きょうの誕生花 → しゅろちく
きょうの誕生日 → 1963年 マイケル・ジョーダン (バスケットボール)

きょうの日本昔話 → ハマグリ姫
きょうの世界昔話 → はたらくことをおぼえた人間
きょうの日本民話 → ウナギ釣り
きょうのイソップ童話 → ネズミの会議
きょうの江戸小話 → 水、おのぞみしだい

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2月16日の日本民話 丸岡城の人柱

2008-02-16 05:44:22 | Weblog

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2月16日の日本民話

丸岡城の人柱

丸岡城の人柱
福井県の民話福井県情報

 むかしむかし、丸岡城(まるおかじょう)が築城(ちくじょう→城を建てること)された時のお話です。
 どうしたことか、丸岡城は何度建てかけても、城がくずれてしまって建ちませんでした。
 お城を建てる責任者は、最後の方法として人柱(ひとばしら)を立てることを考えました。
 そして、人柱の希望者をつのりました。
 でも、自分から命を犠牲(ぎせい)にして、城の下に入る者などいるはずがありません。
 ですから希望者が見つかるまで、築城は中断することになりました。
 さてその頃、丸岡の城下町(じょうかまち)に、片目の女が息子と住んでいました。
 女は片目のうえ体も悪いので、とてもまずしい生活をしていました。
 その片日の女は、人柱のことを聞いて、
(どうせ自分は長生きできない。このまま自分が死んでしまったら、かわいい自分の息子はどうなってしまうのだろう? もし息子が幸せになるならば)
と、自分が人柱になってもよいと、奉行(ぶぎょう)に願いでました。
「私は人柱になります。そのかわりどうか、息子を武士(ぶし)に取り立ててください」
「うむ、約束しよう」
 片日の女は奉行との約束を信じて、人柱になりました。
 城は無事に完成しましたが、どういうわけか、息子は武士に取り立ててもらえませんでした。
 それからは夏になるたびに、お城の堀(ほり)の水面いっぱいにもがしげり、毎年一回は、もをからなければなりません。
 そしてその日はきまって、小雨がしとしとと降りだすのです。
「あら、いとし、片日の女の涙雨」
と、町の人々は母心をいとおしみました。
 また、お城には片目の蛇が住んでいたのですが、それは片日の女の怨霊(おんりょう)だといわれています。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 天気図記念日
きょうの誕生花 → ふきのとう
きょうの誕生日 → 1975年 相川七瀬 (歌手)

きょうの日本昔話 → もちのまと
きょうの世界昔話 → 赤い靴
きょうの日本民話 → 丸岡城の人柱
きょうのイソップ童話 → ライオンとヒツジ飼い
きょうの江戸小話 → 井戸ほり

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2月15日の日本民話 寝太郎物語

2008-02-15 05:48:50 | Weblog

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2月15日の日本民話

寝太郎物語

寝太郎物語
山口県の民話山口県情報

 むかしから、佐渡ヶ島(さどがしま)は金(きん)が取れることで有名でしたが、勝手に金を持ち出すこと、いえ、たとえひとにぎりの砂を持ち出すことも禁じられていました。
 さて、ある庄屋(しょうや)の息子に、寝太郎(ねたろう)と呼ばれる男がいました。
 この寝太郎は、名前のように、毎日毎日寝てばかりいるのです。
 ところがあるとき、この寝太郎が突然起き上がり、父親である庄屋に言いました。
「お父さん、千石船(せんごくぶね)を二そうつくってください」
「よしよし、さっそく船大工を呼び寄せよう」
 父親が千石船をつくってやると、今度は、
わらじを、千石船いっぱいに用意してください」
と、いいました。
 庄屋がその通りにしてやると、今度は、
「あの千石船にわらじを積みこんで、船乗りを七、八人やとってください」
と、いいました。
 父親がその通りにしてやると、寝太郎は喜んで船に乗り込み、行く先も告げずに出発しました。
 船は西へ西へと向かい、玄海(げんかい)の荒海(あらなみ)に出ると、まっすぐ日本海の大海原(おおうなばら)を進んで行きました。
 こうしてたどり着いたのは、佐渡ヶ島でした。
 港に船を着けると、寝太郎はさっそく島の人々を呼び集め、
「はき古しのわらじを、新しいのとかえてあげよう。しかもただじゃ。はき古しのわらじは、古いのほどええんじゃ」
と、言って、はき古したわらじと新しいわらじをとりかえました。
 はき古したわらじが、船いっぱいになると、
「さあ、用事はすんだ。村へかえろう」
と、船を出しました。
 はき古しのわらじを船いっぱいに積みこんで帰ってきた寝太郎は、今度は大きな桶(おけ)を父親にねだりました。
 父親はさっそく、桶職人をやとって桶をつくらせました。
 桶が出来上がると、寝太郎は桶に水をいっぱいはり、船乗りたちにその中でわらじを洗わせました。
 この仕事は何日も何日も続けられ、やっと全部のわらじを洗い終わると、こんどは桶の水を上の方からそっとくみ出させました。
 そうして水がだんだん減ってきて、桶の底が見えてきました。
 よく見ると、桶のそこには金色に光るものが見えます。
 手にすくってみると、それは金の砂でした。
「金じゃ。金じゃ。金の砂じゃ」
 船乗りたちの喜びの声は、すぐに村中に伝わりました。
 寝太郎は、ひとにぎりの砂も持ち出すことを禁じられていた佐渡の土を、どうやって持ち出そうかと、寝ながら考えていたのです。
 寝太郎はこの金を使って開作地を作り、かんがい水路を通して千町田という広い水田を作り、村人に分けあたえました。
 村人は大変感謝して、寝太郎を寝太郎大明神(ねたろうだいみょうじん)として、まつるようになりました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → お菓子の日
きょうの誕生花 → ひなぎく(デージー)
きょうの誕生日 → 1967年 堀ちえみ (歌手)

きょうの日本昔話 → ネズミのよめいり
きょうの世界昔話 → 魔法のボウシ
きょうの日本民話 → 寝太郎物語
きょうのイソップ童話 → 毛をかられるヒツジ
きょうの江戸小話 → 新しい

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