きょうの日本民話 gooブログ編

47都道府県の日本民話をイラスト付きで毎日配信。

2月24日の日本民話 爺婆かぼちゃ

2008-02-24 08:16:04 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話

2月24日の日本民話

爺婆かぼちゃ

爺婆かぼちゃ
三重県の民話三重県情報

 むかしむかし、ある村にうつくしい娘が一人で住んでいました。
「ああ、おじいさんとおばあさんが欲しいなあ」
と、いつも思っていました。
 ある日の事、娘がカボチャ畑に立っていると、裏山からガラガラドスン! と、一匹のが落ちてきました。
 鬼は頭や腰を強く打ったので、
「痛い、痛い」
と、泣いていましたが、村人たちはこわくて、だれも鬼のそばへ寄りません。
 でも、ただ娘だけが赤い帯(おび)をビリビリとさいて、痛いところに巻いてあげたのです。
 それから家へ連れていき、鬼にごちそうをたくさん食べさせてあげました。
 すると鬼は、
「これはうまい、うまい」
と、腹いっぱい食べてから、
「お前はなかなか親切なよい娘じゃ。このこづちをお前にやるから、これでかぼちゃをたたいてみるがよい」
と、いったのです。
「ありがとう」
 娘は鬼にお礼をいうと、急いでかぼちゃ畑へ行って、鬼のいったように一番大きなかぼちゃをそっとたたくと、
 ボコン!
と、音がしてかぼちゃが二つに割れて、なんと中からおじいさんとおばあさんがニコニコ笑いながら出てきたのです。
 そして、
「すまないが、わしらをお前の家においてくれんかのう?」
と、いいました。
 もちろん、娘は大喜びです。
 それからは、おじいさんとおばあさんと三人仲よく暮したという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 月光仮面の日
きょうの誕生花 → クロッカス
きょうの誕生日 → 1967年 コージー冨田 (タレント)

きょうの日本昔話 → よっぱらいのばけものたいじ
きょうの世界昔話 → 橋の上の幸福
きょうの日本民話 → 爺婆かぼちゃ
きょうのイソップ童話 → よっぱらいとおかみさん
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2月23日の日本民話 黒ギツネの霊カ

2008-02-23 04:47:15 | Weblog

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2月23日の日本民話

黒ギツネの霊カ

黒ギツネの霊カ
北海道の民話北海道情報

 むかしむかし、ある漁村では、何年間もニシンがまったくとれないことがありました。
 人びとの生活は苦しくなるばかりで、殿さまも心を痛めていました。
 そんなとき、大昌院(だいしょういん)という、大変な霊力(れいりょく)をもった山伏(やまぶし)がこの近くにきているという話が殿さまの耳の入りました。
 殿さまはさっそく大昌院に、豊漁(ほうりょう)の祈りをたのみました。
「わかりました。では本日より豊漁をねがって、百日間の行(ぎょう)をはじめましょう」
 大昌院は雪の中、百日間のきびしい行をはじめました。
 そして満願(まんがん→日数を限って神仏に祈願し、その日数が満ちること)の前の日の、九十九日目の夜のことです。
 大昌院の耳に、ふしぎな声がきこえてきたのです。
「大昌院、お前にたのみたいことがあって、お前が行を始めた日の夜からわれもこのお堂の床下にこもっておるのじゃ。お前は、われの願いをきいてくれるか?」
 大昌院はビックリして、ただだまっていましたが、相手はそれを了解(りょうかい)してくれたのだと受け取り、話しを続けました。
「われは、この地の者ではない。京の都のある稲荷(いなり)につかえる黒毛のキツネである。ここの殿さまのところへ、はるばる都から津軽(つがる)の海をわたってお嫁入りをしてきた初姫(はつひめ)さまをお守りするよう命じられて、たくさんのキツネたちと一緒にこの地へやってきた。初姫さまは不幸にも、こちらへきてまもなくなくなられたので、ほかのキツネたちは都へ帰っていったが、われは北海道のキツネと恋仲になり、夫婦となって子どもまでもうけたので、この地にとどまることにしたのじゃ。ところが六年前、殿さまが猟(りょう)にでたとき、われは道のわきにかくれて行列(ぎょうれつ)を見ていた。そこを殿さまに見つけられてしまったのじゃ。殿さまは、『めずらしい黒毛のキツネなるぞ。逃がすな。はよ、うちとれ』と、命じたので、われは命をうばわれた。それからいまなお、たましいはうかばれずにおるのじゃ。もし社(やしろ)をつくってわれの霊(れい)をまつってくれたら、うらみを忘れ、黒ギツネのこのわれが、長くこの地を守ってやろう。むろん、ニシンの不漁もおわらせてやろう」
 長い話は、そこでとだえました。
 大昌院はこの話を、さっそく殿さまに語りました。
 殿さまは六年前のことをおぼえていて、さっそく黒ギツネのために社をつくり、その名を玄狐稲荷神社(げんこいなりじんじゃ)とつけたのです。
 すると翌年から、またニシンの豊漁がつづいたということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 税理士の日
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きょうの誕生日 → 1956年 野口五郎 (歌手)

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きょうの日本民話 → 黒ギツネの霊カ
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2月22日の日本民話 イノシシを退治した侍

2008-02-22 06:16:03 | Weblog

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2月22日の日本民話

イノシシを退治した侍

イノシシを退治した侍
静岡県の民話静岡県情報

 むかしむかし、伊豆(いず→静岡県の東部、伊豆半島および東京都伊豆諸島)の小さな村の竹やぶに、(さむらい)のお墓(はか)がありました。
 お墓のある竹やぶは、おいしいタケノコがとれるところですが、この季節(きせつ)になるといつもイノシシたちが先にやってきて、タケノコを食いあらしてしまうのです。
 楽しみにしていたタケノコをほとんどイノシシに食われてしまったので、お寺のお坊さんはくやしくてたまりません。
 そこでつい、侍のお墓にむかって、
「聞くところによると、むかしあんたは、いっぺんに何人もの悪人をやっつけたので、その勇敢(ゆうかん)な行いでほうびをもらったというが、死んでしまったらイノシシさえ追い払うことが出来んのか? わしの寺はまずしいので、ここのタケノコを売ってなんとかくらしておるのに、このざまではどうにもならん。そなえもののお茶も、もう出せぬ。今度こんなことがあったら、このお墓をこわしてしまうぞ!」
 坊さんは、墓をたたきながらいいました。
 その言葉をお墓の中の侍が聞いていたのか、次の日の朝、お坊さんが新しいタケノコを探しに竹やぶへいってみると、あの侍のお墓の前に、大きなイノシシが死んでいたのです。
 それからというもの、イノシシはこの竹やぶに近づかなくなりました。
 そして次の年の春からは、おいしいタケノコがたくさんとれるようになったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 猫の日
きょうの誕生花 → アフェランドラ
きょうの誕生日 → 1948年 都はるみ (歌手)

きょうの日本昔話 → つめときばをとられたネコ
きょうの世界昔話 → おばあさんと山のヤギ
きょうの日本民話 → イノシシを退治した侍
きょうのイソップ童話 → トビとヘビ
きょうの江戸小話 → 外からエヘンエヘン

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2月21日の日本民話 おかしな手紙

2008-02-21 05:15:36 | Weblog

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2月21日の日本民話

おかしな手紙

おかしな手紙

福岡県の民話福岡県情報

 むかしむかし、山道でタヌキとキツネが遊んでいると、むこうから風呂敷づつみをかかえた男の子がやってきました。
 それを見つけたタヌキが言いました。
「おいキツネどん、あの風呂敷づつみの中には、何が入っていると思う?」
「そうだな。おもちか、おはぎだと思う」
「どうだい。あれをいただいては」
「よしきた。そんなら、ちょっとおどかしてみるか」
 キツネは頭の上に葉っぱをのせると、クルリと飛んで、たちまち大入道に化けました。
「やい、そこの子ども! その風呂敷づつみをおいていけ! いうことをきかないと、お前を食べてしまうぞ!」
 いきなり飛び出してきた大入道を見て、男の子はビックリ。
 風呂敷づつみを投げ捨てて、ころがるように山道をおりていきました。
「あははは。だらしのない子どもだ」
 キツネはもとの姿にもどると、その風呂敷づつみをひらきました。
 中には、まっ白のおもちがどっさりと入っています。
 それを見たタヌキが言いました。
「こりゃ、うまそうだ。二人で食べよう」
 でもキツネは、タヌキにおもちをやるのがおしくなりました。
 うまいぐあいに、おもちの横に手紙があります。
「まてまて、何やら書いてあるぞ」
 キツネは、手紙を取りあげました。
「そうか、なるほど、なるほど」
「キツネどん、なんて書いてあるんだ?」
「自分で読んでみろよ」
 キツネは、タヌキに手紙を渡しましたが、タヌキは字が読めません。
「キツネどん、すまんが読んでくれないか」
「いいとも」
 キツネは自分も字が読めないくせに、すました顔で読むふりをしました。
「このおもちはタヌキが一つ食べ、残りは全部キツネが食べること」
「ええっ、そんなことが書いてあるのか?」
「気の毒だが、あきらめてくれ」
 キツネはガッカリしているタヌキにおもちを一つ渡すと、残り全部を一人で食べてしまいました。

おしまい

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きょうの日本民話 → おかしな手紙
きょうのイソップ童話 → カラスと白鳥
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2月20日の日本民話 おぶさりてえ

2008-02-20 05:29:05 | Weblog

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2月20日の日本民話

おぶさりてえ

おぶさりてえ
岐阜県の民話岐阜県情報

 むかしむかし、八幡(やはた)さまの奥の院にある高い高い杉の木のてっぺんに、バケモノがすんでいました。
 そのバケモノは、毎日ひぐれになると、
「おぶさりてえー、おぶさりてえー」
と、さけぴ、木の下をとおる人がいると、木をスルスルとおりてきて、
「おぶさりてえー、おぶさりてえー」
と、追いかけてくるのです。
 こんなわけで、夜になるとだれ一人、八幡さまのあたりをとおる者はいませんでした。
 さて、ある晩の事。
 (さむらい)が三人あつまって茶のみ話をしていると、一人の侍がいいだしました。
「どうじゃ。われら三人で碁(ご)をうって、負けたものはバケモノをおぶってくる事にしようではないか」
「うん、それはおもしろかろう」
「さんせい」
 そこで三人は、さっそく碁をうちはじめました。
 ところがなんと、負けたのは三人の中で一番こわがりの侍でした。
 弱虫の侍は、しょんぼりと自分の家にかえって、嫁さんに別れのあいさつをしました。
「これで、お前の顔も見おさめじゃ。わしはもう、生きてはかえれんかもしれん。お前も体に気をつけてくらせよ」
 そう言って、八幡さまへでかけていきました。
 最初の鳥居(とりい)をくぐり、次に二の鳥居(とりい)、三の鳥居と進んでいきましたが、体がブルブルとふるえてしまい、今にも気絶してしまいそうです。
 それをどうにかがまんして、なんとか八幡さまの拝殿(はいでん)までたどりつきました。
 ガラン、ガラン、ガラン
 鈴のひもをひくと、
「どうぞ八幡さま。ぶじで約束がはたせますように。バケモノをおぶってかえれますように」
と、両手をあわせながら、いっしんにおがみました。
 さて、おそろしいのはこれからで、奥の院までいかなくてはなりません。
 弱虫の侍は、もう死んだ気で走り出しました。
 奥の院の杉の木の下までくると、高い杉の木のてっぺんを見あげて、思いっきりわめきました。
「やいバケモノ! おぶさりてえなら、さあ、このおれにおぶされい!」
 すると上の暗やみから、ガリガリッと、つめで木の幹(みき)をひっかきながら、何かが降りてきました。
 そして侍の背中に、ズッシリとおぶさったのです。
 その重たい事といったら、いまにも腰がおれてしまいそうです。
 でも弱虫の侍は、死にものぐるいでふらつく足をふんばり、なんとか家までたどり着きました。
「そら、ここへ降りろ」
 玄関(げんかん)の土間(どま)に降ろそうとしましたが、バケモノはしっかりとしがみついて、降りようとはしません。
 弱虫の侍はしかたなく、茶の間にあがって、
「さあ、ここへ降りろ」
と、いいましたが、ここでも降りてくれません。
 それで今度は奥の座敷に入って、床の間のほうへ背中をむけると、
「そんなら、お前。ここへ降りろ」
と、いうと、今度はあっさりと降りてくれました。
 さあ、降ろしたのはいいのですが、弱虫の侍はそのバケモノを見る勇気もなく、そのままとなりの部屋へかけこんで、ふとんを頭からかぶって一晩中、ブルブルとふるえていました。
 さて、あくる朝です。
 嫁さんが座敷のそうじにいって、おどろいた声をあげました。
「お前さん、お前さん。大変だよ」
 朝になっても、まだふとんの中でブルブルとふるえていた弱虫の侍は、嫁さんに引っ張られるように座敷に連れて行かれました。
「お前さん、何をふるえながら目をつぶっているんだい。はやくこれを見てごらん」
 嫁さんにいわれて、弱虫の侍がおそるおそる目を開けてみると、昨日おぶってきたバケモノはおらず、そのかわりに大判小判の入った大きなツボが、座敷の真ん中においてあったという事です。

おしまい

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