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1月25日の日本民話 もちのなる木

2010-01-25 07:32:50 | Weblog

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1月25日の日本民話


もちのなる木



もちのなる木
長崎県の民話長崎県情報


 むかしむかし、あるところに、お金持ちの兄さんと貧乏な弟がいました。
 弟は朝から晩まで一生懸命に働くのですが、それでも貧乏なのです。
 そこで、兄さんのところへ行って、
「兄さん、お金を貸して下さい」
と、頼みました。
 でも、けちん坊な兄さんは、
「ふん! お前なんぞに貸す金はないわ!」
と、弟を追い返してしまうのです。
 弟は、くやしくてたまりません。
(何とか、兄さんをやっつける方法はないだろうか)
 あれこれ考えているうちに、良い事を思いつきました。

 弟は山へ行って形の良い木を見つけると、根から掘り起こして家に持って帰りました。
 そしてそれを家の庭に植えると、家に残っている全ての米を蒸して、もちをつきました。
(ああ、うまそうだな)
 お腹が空いていたので、弟は思わず食べそうになりましたが、
(駄目だ、駄目だ。兄さんをやっつける為に、我慢しないと)
と、何とか我慢して、そのもちを山から持ってきた木の枝にくっつけました。
 そして兄さんに聞こえる様に、わざと大きな声で言ったのです。
「すごいすごい。これはすごいぞ! 木に、もちがなったぞ!」
「何? 木にもちだと?!」
 弟の声を聞いた兄さんが、すぐにやって来ました。
 兄さんが見てみると、何と木にはたくさんのもちがなっています。
「これはすごい、本当にもちがなる木だ」
 兄さんはもちのなる木が欲しくなり、弟にたくさんのお金を渡すと、奪う様にもちのなる木を持って帰りました。
 家に帰った兄さんは、さっそく木についているもちを焼いて食べました。
 そのうちに、もちはすっかりなくなりました。
「まあいい、そのうちに、またもちがなるだろう」
 そして何日も何日も、木にもちが出来るのを待っていたのですが、もちはいっこうに出来ません。
 兄さんはとうとう腹を立てて、弟のところへ怒鳴り込んで来ました。
「このうそつきめ! もちはあれっきりで、後はただの一つもならないじゃないか!」
 すると弟は、すました顔で言いました。
「兄さんは、あの木になっていたもちをみんな食べたのかい? もしかして、一番てっぺんになっていた一番大きなもちも」
「当たり前だ」
「ああ、それじゃ駄目だよ。その一番大きいもちは、親もちだよ。その親もちさえ食わなかったら、どんどん子どもを産んで、たくさんのもちがなったのに」
「・・・そう、そうだったのか」
 兄さんはガッカリして、とぼとぼと家に帰っていきました。


おしまい


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