ただの映画好き日記

観た映画と読んだ本の自分用メモ。

のぼうの城 / 和田竜 著

2012-11-26 | 本 男性作家


  のぼうの城

  和田 竜 著     小学館文庫 / 2010.10




  戦国期、天下統一を目前に控えた豊臣秀吉は関東の雄・北条家に大軍を投じた。
  そのなかに支城、武州・忍城があった。周囲を湖で取り囲まれた「浮城」の異名を持つ難攻不落の城である。
  秀吉方約二万の大軍を指揮した石田三成の軍勢に対して、その数、僅か五百。
  城代・成田長親は、領民たちに木偶の坊から取った「のぼう様」などと呼ばれても泰然としている御仁。
  武・智・仁で統率する、従来の武将とはおよそ異なるが、なぜか領民の人心を掌握していた。





映画を観てから原作を読みました。
読んで正解!しかも、映画を観てからの方がお話がより膨らみ奥行きが感じられて感慨深さに浸ってしまいました。
更に、映像を思い浮かべることができるので、更に楽しめると思いました。

歴史小説は漢字が多くて苦手なのですが、こちらは読みやすかったです。
かなりクダケていて、要所要所では、何々に書いてあったという説明などがあり、ふと現代に戻れたり、また戦国時代に戻ったりと、しかも、肝心なところで注釈的なものが書かれているのが良かったと思いました。

いやぁ~~、成田長親、やっぱりスゴイお方です。
本当のところは判りませんし、描かれ方も決して優れているとは言えないですが、でも、肝心なところで決められるし、その決めたことに皆が賛同するというのはある意味本物だと思われます。
そんな長親を好きになった甲斐姫も確かな女性だったんだろうなと思いました。

ただ、戦のシーンは、想像をするととても暗い気持ちになりました。
“戦”とは、つまりは殺し合いなワケで、お屋形違えど同じ国に住んでいて殺し合わなければならなかった現実に言い難いものがあります。
今、「選挙は戦だ」という言葉を毎日のように耳にしますが、いとも簡単に使われている“戦”という言葉に思わず眉をひそめてしまいます。
実際に血を流し、命を亡くした先祖たちの行いを軽んじても忘れてもいけないはずで、威勢や真剣を表現しているのは判っていても言い方次第によってどうしても違和感を感じます。

でもって、改めて、野村萬斎さんの素晴らしさにも感動してしまいました。
このお方は本当に素晴らしい演者です。
大男ではありませんが、見事な“のぼう様”だったと思いました。

文庫解説に松田哲夫さん!哲ちゃんですよ!
“のぼう様”を細かく分析していました。
でも、ちょっと違和感が…。
そもそも、実在の人物であり、著者もかなりの参考文献を読まれていますが、本当のところは判らないはずだと思います。
この『のぼうの城』はあくまで和田竜さんが描いたものなワケだから、松田さんの分析は必要なことなのかな?と思ってしまいました。
もっと哲ちゃんの個人的な感想を聞きたかったな~と思いました。


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