古川市長殿!
青少年ホームは、全国に150以上 が残っています。 税金の使い道を考えて、森の家をこわさず残してください!
社会福祉士・精神保健福祉士 加藤 寬治
1,私は、30年近く前から「勤労青少年ホーム」(現在の森の家)二階の「音楽室」を安い料金でずっと利用させてもらっています。
私には、障害を持つ女の子がいて、朝から晩までとても面倒がかかります。
現在も、森の家の二階の防音装置のある「音楽室」で、地元の音楽療法士に来てもらい、私どもはじめ数名の障害児が家族に付き添われてやってきて「音楽療法」を受けています。
これを受けた後、娘の心は癒されて表情が穏やかになります。
今でこそ「音楽療法」は障害者・高齢者を問わず一般化していますが、「こけいざん森の家」は、東濃地方・多治見市での音楽療法・文化発祥の地(メッカ)であります。
私にとって『森の家』は、勤労青少年ホーム時代から、幼い娘と30年の人生を苦労して共に歩んできた象徴的な文化遺産といえるものです。
私のグループとは違いますが、(今は先生の病気で休会中ですが)体に障害のある人々が、名古屋の先生から油絵の指導をうけてここで活動しています。
「野鳥の会」の皆さんには無料で休息所を提供しています。先の大戦の戦死者、「遺族会」のかたがたも虎渓公園の「平和観音像」を守りながらここで活動されています。
こういう森の家が、多治見市によって壊されようとしていることは本当に無慈悲、耐え難いことです。
2,(多治見市長さん、議員さん・・・)皆さん大変誤解されておりますが、勤労青少年ホームは、多治見市だけに作られたものではありません!
多治見市には、建築当時の昭和40年代前後、九州方面からの陶器、タイル工場への中卒集団就職者が多くいて利用したというだけのことです。
「国の指導」があって、主に中小企業等で働く若者の福祉の増進を図り、健全な職業人としての育成に資するため、各種の相談、必要な指導、レクリエーション、クラブ活動その他の勤労の余暇活動の為の便宜に供するなど、勤労青少年の福祉に関する事業を総合的に行うことを目的として補助金が出され、(昭和32年愛知県をかわきりに)全国各地に条例が作られ、文化施設の「勤労青少年ホーム」が建設されたのです。
多治見市と同時期に作られた「青少年ホーム」は、現在でも全国になんと150以上が残り、各市町村の補助をうけて現役施設として運営されています。
近隣では、岐阜県内に7か所(美濃市、羽島市、中津川市、高山市、関市、垂井町、本巣郡北方町)、
愛知県内に6か所(春日井市、犬山市、瀬戸市、豊田市、稲沢市、新城市)が廃止される
ことなく市町村の「現役施設」として残り、市から年1000万円以上の補助金を受けて、青少年以外も対象として公民館と同じ活動をつづけています。
埼玉県和光市の青少年ホーム
今、森の家は多治見市から、おなさけで建物だけを無償で借りていますが、(他の公民館
は年に1500万円以上もらっているのに)一円の援助も受けられません。
運営のほとんどを無償ボランテア活動で支え、部屋の利用料・年250万円ほどのわずか
な収入、お恵みの寄付金などをいただき、やっています。
多治見市は、
① 「九州方面からの集団就職者が来なくなって、施設運営の使命を終えた」
「行政目的がなくなった」
② 「建物が古くなってきて、耐震にやや難がある」
と、年間延べ2万人もの利用者があるのに、“多治見市まるごと元気”のスローガンの市長さんはじめ産業観光課の担当者が、(上から目線で)「行政目的がなくなった」という理屈をつけて、この令和3年3月末で森の家を壊そうと躍起になっておられます。
「超大地震が来て倒れるおそれ」と言えば、私達の家・全国どんな建物、青少年ホームでも同じです。森の家は、吉川組が今よりもコンクリート素材が良かった時期に建設した特に頑丈な鉄筋コンクリート作りです。
「わかりやすい政治」をモットーとして掲げられる市長さんの方針から・・・青少年ホームは全国各地に存命して活動しているのに、多治見市だけ「行政目的がなくなった」などといわれることが理解できません。
この4月に、森の家の建物を改良して、多治見市がここをコロナ患者の「緊急宿泊施設」にしなければならないとかの「緊急の必要」目的があればともかく、市は2000万円以上の費用〔税金〕をかけてわざわざこわし、土地を地主の永保寺に返そうとしているだけです。
土地は荒れ地になるか山林にもどるだけです。
ここは多治見市有数の自然の宝庫「風致(ふうち)地区(ちく)」〈指定〉ですから、壊せばもう新たな建物はつくれません。
3,『文化施設』はアート・文化活動が触媒(しょくばい)となり、化学反応を起こして地域の繋がりを生み育て「心を回復させる」施設です。利害にとらわれない、多様な人を結び付けて共感性を育む力を持っていますが、文化活動には文化施設が必要で活動の中心となります。
「こけいざん森の家」は、音楽活動では必須のピアノが3台もあり、演奏、合唱、ダンス、空手体操、ジャズ体操、卓球など室内運動も出来ます。太鼓、トランペット、バンドなど大きな音は出し放題でも、町のなかにある公民館と違って近隣に迷惑は及びません。
アメリカとも交流して大勢の子供達が参加している「少林寺(しょうりんじ)拳法(けんぽう)」は、宗教色があるとして、公民館では敬遠されますが、民間運営の森の家ではのびのびと活動しています。
「こけいざん森の家」は、市長さんの選挙用当選マニフエスト “共につくる・まるごと元気!多治見” や「音楽が自然と聞こえるまち」を正に具現しています。
脳科学者は「感情の老化が起こると頭も身体も使わなくなり老化につながる」と言っています。文化・運動活動をすると、頭も体も使い「感情の老化」は起こりにくくなります。
老いも若きも楽しく元気であれば地域経済も良くなり、経済界にも理解がえられるでしょう。使い心地のよい公共文化施設は市民には必須です。
4,森の家の地主は永保寺であり、森の家の皆さんは、市民一般参加のかたと一緒に春、
秋に70名以上が参加し永保寺の清掃に力をいれています。(昨年秋には100名以上があつまり永保寺は感謝、感謝!です)
永保寺と森の家の関係は良好です。
永保寺には、「森の家を壊して、土地を返してほしい」と言う気はありません。
多治見市だけが「こういうお荷物の公共施設は早く建物をこわして地主に返したい!」
と言っているだけです。
① “まるごと元気” な多治見市は、平成27年に、「30億円」かけて【多治見駅北庁舎】を “元気” に新築しました。
② 同時に平成27年、1億2000万円もかけて多治見市日ノ出町にある【本庁舎】の「耐震工事」をやりました。そうであるのにこの【本庁舎】を、
今般2億8000万円もかけてぶち壊し・・・「52億円」もの税金を使って新たに多治見駅北に立て直そうとしています。
(市役所建設費用は実に合計82億円余となります。10万市民にはひとり8万円、4人家族なら32万円の負担計算です)
耐震工事の終わった多治見市本庁舎
③ 多治見市は前記のとおり【本庁舎】に、平成27年1億2000万円もかけて耐震(たいしん)IS(IS)値(ち)を0・3から0・6以上になる「耐震かさあげ工事」を施しました。
その為、駅前に新しく立て直すための52億円予算の本庁舎に『国からの補助金』は出されません。
全部が我々の税金にかかってきます。ここが他の市町村の庁舎建てかえと違うところです
(今の日ノ出町・本庁舎は、経年劣化で古くなってきた所を少しづつ内部補修していけば20年は使えます。私たちの家の修理とおなじことです)
④ 更に多治見市は現在、【駅前の再整備】で、見た目立派な29階建ての巨大タワーを建設し富裕層に高額マンションを分譲するなど、「33億円」ものカネを投入しようとしています。
一方、文化施設、(お金のない)森の家には、「耐震工事は自前(じまえ)の費用で作ってやれ」と言って、一円の『運営補助金』も出さず、
あろうことかこれを税金2500万円かけて壊し、更地にしてしまうというその理由がわかりません。
我々市民のこんな税金の使われ方はとうてい理解できません!(多治見の市民税、固定資産税などは高いのです)
多治見市と議会は9年も前に、「青少年ホームは使命を終えた。 朽廃(きゅうはい)した建物だ。壊す!」と引導を渡しましたが、あれから9年たった青少年ホーム・森の家・建物の固定資産評価は、今でもなんと1500万円、こんなにも価値があるのです。
森の家は、「公民館」と同じ利用状況なのに、作られた経緯がちがうだけで多治見市から
認知(にんち)されていない「ままこ」「捨て子」扱いされ、こわされようとしています。
(同じ昭和の時代ですが)日ノ出町の【本庁舎】(IS値0・3だった)より、数倍も、う
んと頑丈にがっしりと建設されており、部分的に古くなった所を内部補修していけば、今後20年は使える建物です。
市長さんが「多治見市ホームページ」動画にて崩壊(ほうかい)写真(しゃしん)を紹介されている、熊本地震で
こわれた熊本県「宇土市(うとし)」の市庁舎は、耐震IS値が0・3くらいで特殊な建物(バルコニーとアウトフレームの柱が林立する)という
構造上、補修耐震工事が出来なかったもので、そこを熊本大地震に襲われました。
くわえて宇土市のある「宇土(うと)半島(はんとう)」は、大岳(おおだけ)を中心とする噴火の「火山灰」が積もった
大地で、表層地盤がゆるい所です。(地盤がゆるければ建物は当然壊れやすいのです)
地震学会では、まだ地盤と建物崩壊の関係までは究明されていませんが、耐震は単に「IS
値」だけでなく、常識的に考えれば地盤の硬さも当然加味されて検討されなければなりません。
修道院、永保寺のある虎渓山一帯は、昔からいわれるように岩盤大地で、地盤はがっし
りしており「修道院はドイツのモール神父がここを探し当てて建てた」といわれています。
二階建て・森の家は建物「平均IS値」が1・0くらいある頑丈な鉄筋コンクリート作り
で、耐震は、問題がありません。(一階、卓球室北側、中央の東西の壁のごく一部に、斜交(はすか)いを少し補強すれば足り・より万全(ばんぜん)になるという程度です)
〔多治見市ホームページ、森の家が危険であるかのごとき耐震発表は、一方的なもの
で正確ではありません〕
ついでに言いますが本庁の建っている多治見市日の出町の土地は、熊本県の宇土市のような軟弱「土石流(どせきりゅう)堆積(たいせき)地」と違い、
地盤はしっかりしている「谷底(たにそこ)低地(ていち)」です。
◆◆以上の事情を斟酌されたうえ「こけいざん森の家」の存続をお願いする次第であります。