暑中見舞いをかねて、山形県での芭蕉の名句を少し紹介します。
(山形県は、暑さで有名、平成になって多治見市などの40,9度に越されるまで、昭和時代から60年間ほど酒田市は40,8度の日本最高記録を保持していました。
小学校の頃・愛読書・野バラ社の「児童年鑑」でおなじみ。その頃アメリカでは、4人に一台の自動車があると書かれていて驚いたものです。多治見市内には自家用車が一台しかなかった頃です。
今の日本の都市は自然開発がすすみコンクリートが多すぎ気温が上がるのは当たり前)
“ 暑き日を 海にいれたり 最上川 ”
なんせ俳句はたった十七文字しかないから、作者の意図するところは正確にはわからない。
鑑賞する人の感性におまかせとなる。
〈私の解説〉
「暑き日」というのは長かった「夏の暑い一日」である。
その暑い一日を「海に入れる」とは・・・・・
夕日が海にしずんで、暑い一日が海の中に入れこまれてしまうさま。
最上川がとうとうと流れて海に至り、海のかなたに夕陽が沈んでいく。
やがて夕やみがせまり涼しい夕風が吹きわたってくるだろう。
最上川が流れ、暑かった一日を海にいれ、一日を終らせてくれる。
“暑き日を海にいれる”とはなんという雄大な表現であろうか。
かんたん、平易な言葉を使い、色んな意味あいをもたせる句である。
まさに芭蕉ならではのもので、現代俳句でもこれを超えるものはないと思う。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
“ 五月雨を 集めてはやし 最上川 ”
これも芭蕉であるが、この句の方が有名。
小学生でも作れそうな全く簡単な言葉の構成であるが、その意味はだれにでもわかって、うまいなあと思わせる。
そこがこの句のすばらしいところ。
これは芭蕉が最上川で舟に乗りこんで作ったか? 岸辺で川の流れを見て作ったか? の論争があるが、そんなことはどうでもいい。
◆ 最上川は山形県を流れ、全長二二九キロもあり、なんとわが “木曽のなー”「中乗(なかのり)さん」の木曽川より長い川である。
一つの県のみを流れる川としては日本で最長。
私は高校生の頃、芭蕉の「奥の細道」を読み、これらの句が出てくる最上川を地図でさがすまで、この川がどこにあるかも知らなかった。
芭蕉は奥の細道(二四〇〇キロメートル)の全行程(江戸から大垣)の中で1/4をなぜか「山形県」に立ち寄るという謎(なぞ)を残している。
宝珠山(ほうしゅやま)の 立(りっ)石寺(しゃく))に立ち寄り有名な
“ 閑さや 岩にしみいる 蝉の声 ”
を詠み、羽黒山、月山、湯殿山の「出羽三山」に向かった。
「奥の細道」の旅はまだ半分ほどの所である。
★ これから、酒田、象潟(秋田)、新潟へと 奥の細道は続く
(きさがたや あめにせいしが ねぶのはな)
“象潟や 雨に西施が ねぶの花 ”
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