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最近はフィギュアスケートと歌舞伎鑑賞記録が主流でござります

錦秋演舞場祭り

2007年10月22日 | 歌舞伎
行ってきました。勘三郎奮闘公演!
とにかく感動したし楽しかった~!!
一番観たかったのは、もちろん中村屋親子による三人連獅子なんですが、あんまり好きじゃなかった「俊寛」に感動して涙してしまいました。

「俊寛」とは平家の世の頃、鬼界ヶ島に流罪となった、俊寛、丹波少将成経、平判官康頼が、清盛の娘徳子の懐妊により大赦が行われ、3人は都へ帰ることを許され、赦免船が迎えくるお話。
しかし、成経が島で恋仲となった海女の千鳥は船に乗ることを許されず、千鳥は嘆き死のうとするのを俊寛が自分の代わりに船に乗れと言う。俊寛は都に残した妻を、赦免の使者としてやってきた瀬尾太郎兼康に殺されており、都に戻る意味がもう無くなったと告げる。そして、女が乗船することを許さない瀬尾太郎を俊寛は斬り殺し、その罪で再びこの島に囚われることになる。
康頼、成経、そして千鳥の乗った船をいつまでも見送る俊寛。独り残された悲しみに嘆きながらも、俊寛は満足げな笑みをひっそりと浮かべるのだった。

勘三郎さんの「俊寛」は最後の解釈がちょっと違うのですよね。
先代が生きてらっしゃった頃、この微笑む解釈でやったら反対されて、自分が死んでからやってくれと言われたそうですが、私はこの勘三郎さんの解釈は好きです。
というのも、今回、成経を勘太郎君、千鳥を七之助君が演じたことで、俊寛が親代わりとして、二人の婚礼を祝ってやるシーンで、本当の親子ですから当然なんですが、本当に二人に対しての俊寛の温かい眼差しを感じたんですよね。だからこそ、この二人のために自分が島に残る決意をし、遠ざかる御赦免船を見送る俊寛に満足するような笑みが浮かぶという流れが、とても自然に感じられました。

連獅子はただただ圧巻。今回、奮発して1階の花道真横の席だったおかげもあり、迫力も凄かったです。ものすごく緊張して固まって観てたせいか、見終わった後、しばらく椅子から動けなくなるほどでした。
獅子になってからももちろん凄く良いんだけど、その前に狂言師として踊るところも素晴らしかったですね。勘三郎さんの柔らかい踊りが本当に綺麗。勘ちゃんはとにかく全身がバネのようで、跳躍力が一人だけズバ抜けてました。なので、着地のタイミングがいつも七之助君とズレちゃうんですけどね。でもそれ以外は兄弟息もぴったり合ってたなあ。
毛振りの時は途中まで数えてたんだけど、50回は回してましたね。凄い! 最後のほう勘ちゃんがとてもスピードアップしてましたが、ほとんどずっと3人揃ってたと思います。あと足を踏みならす音は完璧に揃ってて怖いほどでした。音も3倍になるから迫力が凄いんですよね。花道でそれをやられた時には、ビリビリと空気の振動が感じられましたよ。
印象的だったのは、狂言師が一度揚げ幕へ引っ込む時、先に息子達が引っ込むんですが、その時勘三郎さんがなんだか嬉しそうに微笑みながら見送って自分も引っ込んでいくんですよね。先代が親獅子をやってた映像を観た時は、そんな表情で勘三郎さんを見送ってなかったから、これもまた勘三郎さん独自の解釈なんでしょうか。
あと、獅子で出てきた時、これも一度揚げ幕へ引っ込みますが、子獅子だけで引っ込むのかと思ったら、親子3人で同時に引っ込むんですね。あの引っ込み方は誰か転んだら非常に危険なんですけど、3人の息の合い方は本当に見事でした。
三人の連獅子を観ちゃうと、今後、二人でやる連獅子が物足りなくなってしまいそうです(^^;

最後は「文七元結」。歌舞伎座の「牡丹灯籠」に続き、今月は演舞場でも円朝作品がかかってます。今回は山田洋次監督がシネマ歌舞伎を撮るということで、監督の手が加わってるそうですが、この演目初めてなので、違いはわかりませんでした(^^;

左官屋の長兵衛(勘三郎)は博打三昧の日々で、生活は枯渇して、家の物全て質に入れてやっとこさ暮らしている有り様。見かねた娘のお久(芝のぶ)が自ら吉原へ出向き、自分の身を売り、その金を元に父親に性根を入れ替えて欲しいと願います。店の女房お駒(芝翫)らは健気なお久に同情し、お久を商売女としては店に出さない代わりに、来年の大晦日までに返すことを前提に長兵衛に50両を貸します。
その帰り道、長兵衛は大川へ身投げしようとしている手代文七(勘太郎)に遭遇し、訳を聞くと50両を紛失した責任を取ろうとしていたとのこと。悩んだあげく、人の命を金に替えられないと長兵衛は50両を文七にあげてしまいます。
帰ってから女房のお兼(扇雀)に全てを話しても聞き入れては貰えず、夫婦げんかに。そこへ、文七とともに、小物問屋の主人(弥十郎)がやってきて、紛失した50両が見つかり、長兵衛にお礼とともに50両を返しに来たという。さらにお久を50両で身請けして、文七の嫁に迎えたいと告げる。長兵衛はいろんなことが一度に起きたあまり、状況をなかなか理解できずにいたが、やっとこさ全てを理解し、美しい姿になって帰ってきた娘の幸せを喜ぶのであった。

とにかく笑えて面白かったですね。
まず、長兵衛とお兼のやりとりは絶品でした。ちょっと吉原へ行くにも、着物が無く、女房の着物をぶん取って着ていったり、丸裸にされた女房はしかたなく長兵衛の法被をずっと着ていたり。夫婦喧嘩の場面から、小物問屋の主人がやってきて、屏風の陰に隠れてるとこなんて、お兼はかなりおいしい役どころでした。
それから芝のぶちゃんのお久は本当に可愛らしかった。もう40になろうという人が17歳の娘と言われても全く違和感無いんだもの。涙ながらにお父ちゃんにお母ちゃんと仲良くしてねと頼むところとか、健気で可愛いんですよ。そしてピンクの綺麗な着物を着て帰って来た時に、お父ちゃんに髪飾りを直してもらったりしてるとことか、本当に親子しててほほ笑ましくなりました。
勘ちゃんの文七は、お金無くして死のうとしてるとこなんて、吉三の十三郎とかぶるところありますね(笑)こっちはハッピーエンドでしたけども。大川端での長兵衛とのやりとりがこちらも絶品でした。
あとは鶴松君の娘役も可愛かったし、小山三さんが売れ残る女郎役で出てて、まだまだお元気そうで良かったです。

時代物、舞踊、世話物と、昼の部だけでも勘三郎さん出ずっぱり。でも、全然疲れてるような感じなんて微塵も見せず、本当に満足度も完成度も高い演舞場祭りでした。

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2 コメント

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Unknown (mame)
2007-10-26 12:09:28
この間は本当にスイマセンでした。
先週の変わりに今日がお休みですよ。
こんな日にお休みくれたって嬉しくない!
錦秋よかったみたいで、こんどパンフレットみせてくださいね~。

医龍見てますか?サダヲがかっこよすぎです。普通のサダヲもいいけどいっちゃった目のサダヲはいいな~。
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こちらこそ (isako)
2007-10-28 01:58:44
錦秋行かれなくて本当に残念でしたね
あれは次の機会には是非!本当に中村屋の連獅子は凄いですから!!

医龍は前作観てないので、今回も観てないんですよ。でもこの前たまたまチラッと観たら、佐藤二朗さんがモップガールとは違って凄いクールな役でびっくりでした。二朗さん、3クール連続で木10に出てるんだなあ(笑)
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