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最近はフィギュアスケートと歌舞伎鑑賞記録が主流でござります

京都南座顔見世興行

2006年12月16日 | 歌舞伎
京都南座へ行って参りました!京都は去年のトークショー以来、ちょうど1年ぶりです。そういえばあの時も愛之助さんはこの顔見世の休憩時間にトークショーやってたんだよなあ。その一年後に自分が顔見世を観に京都まで行くことになるとは(笑)

顔見世というのは、江戸時代から続く興行で、本来はその劇場で契約をした専属役者達が今年一年は私たちがやりますよ~という顔見世をするという意味らしいんですが、現在では、役者がひとつの劇場に出ずっぱりということはないので、東西の有名役者が集う年の瀬の大イベントとなってるようです。
歌舞伎好きになってから一年半、一度この京都の南座で観劇してみたいと思っていたのですが、今年は昨年の3月から始まった勘三郎さんの襲名興行の終着となるということで、是が非でもと会社休んでまで頑張ってチケットを取り(笑)念願達成となりました。歌舞伎好きになったきっかけが、この長い襲名興行のスタートであった3月の歌舞伎座公演だったので、その締めを観られたことが嬉しかったです。

しかし南座顔見世は開演時間が10時半と、普段の歌舞伎座よりも30分早くて、おかげでこちらが家を出たのは朝の5時半でしたよ(笑)去年は名古屋や京都がちょうど大雪に見舞われた後で、割高ののぞみ号で行ったのに、結局ひかり号と同じ時間がかかってしまい、なんかガッカリだったんですけど、去年はともかく今年は開演に間に合わないと本当に泣きをみる結果になってしまうので、その辺りは冷や冷やしていたんですけど、きっちり定刻通りに新幹線が京都へ着いてホッ。
それから四条大宮のホテルに荷物を預けて、そこから四条通りをひたすら歩いてみましたが、20分ぐらいで歩けると思っていたのに、十字路で必ず赤信号に当たってしまいまして、30分ぐらいかかりました(笑)本当に見計らったように赤になりやがるんだよっ!
いやー寝不足のくせに朝からものすごいイイ運動になりましたよ。寒かったけど四条大橋にたどり着くころにはすっかり暑かった(^-^; 途中油小路を横切ったりして、なんかどきどきしたり(笑)現場は七条だからもっと先だけどね。

それから関西の友人達と高島屋で待ちあわせて、地下でお弁当を買い、いざ南座!
初めて来た南座は歌舞伎座よりもとても小さかったです。幅が全然違います。歌舞伎座はけっこう横幅長いですからね。中に入っても狭っ!と思いましたね。江戸時代から造りが変わってないのかも。昔の人間は小さかったし。
席は4人で1階と3階を2席ずつとって、途中交代という作戦を取りました。なぜならこのほうが安く一等席を味わえるから(笑)だって顔見世の1等ってハンパなく高いんですもん。プラス今回は歌舞伎初観劇の友人が2人居たので、初めてだからこそなるべくいい席で観て欲しいなと思っていたので。やっぱりね、臨場感違いますもんね。
でも南座の3階って歌舞伎座と違って、花道が半分まで観えるんです!歌舞伎座だと3階は1~2列目がかろうじて身を乗りだせば花道が観られる程度なんですけど、南座の3階はものすごく傾斜がきつくて(おかげで階段とかはちょっと怖いんだけど)5列目からでも身をのりださずともよく見えました。前の人の頭も邪魔にならないし、あれは良いですね!舞台も凄く近くて双眼鏡いらないぐらいでした。

最初の演目は勘太郎君主演の「猿若江戸の初櫓」。中村屋の創始者である猿若が江戸に中村座を創設するお話という、勘三郎襲名興行の幕開けにこれ以上ないくらい相応しい演目です。
これは去年の3月の襲名興行でも私は観たんですが、あの時は七之助君が例の傷害事件で出られなくなっていて、兄弟共演が叶わなかったんです。なので今回はリベンジ! やっと念願かない、晴れて二人で父上の襲名をお祝いできたんですよね。
勘ちゃんは怪我も本当に心配だったけど、先月の兄弟公演の時以上に、もう本当に怪我したの!?というぐらい、軽快に踊ってました。良かった♪
猿若の舞いってオレンジのほっかむりや、黄色い足袋履いて、衣装も可愛いし踊りも可愛いんですよ。だから大好きな演目なんです。
この演目自体はまだ新しくて、現勘三郎さんと勘太郎君の2代しか演じていないんですが、もうこれは勘太郎君が完全にモノにしたと言ってもいいですね。まあ中村屋の演目だから中村屋以外はやらなそうですけど。
七之助君の阿国も綺麗でした。前回は福助さんだったので、勘ちゃんと並ぶとどう観ても母と子に見えて仕方なかったんだけど(福助さんは母親視線で見守ってましたからね~笑)今回は若さが溢れてました。
愛之助さんは昼の部ではこの演目にしか出てなくて、ちょっと物足りなさもあったんですが、勘ちゃんとの共演がやっと観られたので満足です。

2 幕目は西の俳優達がメインとなった「寿曽我対面」。これは歌舞伎らしい様式美満載でとにかく華々しかったですね。東の役者からは橋之助さんが出てましたけど、橋之助さんの荒事は初めて観たかも。わりと静かな演目やキャストの中、一人だけ血気盛んで物凄いテンション高くて、凄い体力使いそうって思いました。

3幕目でようやく今回の主役の勘三郎さんが登場した「義経千本桜~道行初音の旅」。義経千本桜って歌舞伎では有名な演目だけど、肝心の義経は主役じゃないんですよね(笑)
今回上演された段の主役は、義経の家来である佐藤忠信。でもこの忠信は本物の忠信ではなく実は狐というちょっとややこしい設定。この狐忠信が、法眼館に匿われている義経を追ってその道中の吉野山へやってきた静御前のお供をしている場面です。
もちろん静御前は本物の忠信だと思っているんだけど、実は狐の忠信は神出鬼没で、お供についているのに何故か居なくなってたりする。でも静が義経から賜った鼓をポンと鳴らすとどこからともなく現われる。そういう不思議な場面を二人の踊りで現しているんですね。
ここでの静御前は昨年、西の大名跡を231年ぶりに復活襲名した坂田藤十郎さん(奥様は扇千景元大臣ですね)息子の扇雀さんは歌舞伎座等で何度も拝見してたけど、藤十郎さんを観たのは今回初めてでした。御年75歳だというのに、一緒に観ていた友人が息子と間違えたほど本当に若々しかった!
TVや雑誌で普段のお姿を拝見したことは何度もありましたけど、その時はそんなに若いとは思わなかったのに、舞台の上だと変わりますね~。歌舞伎役者は70だろうが 80だろうが90だろうが、娘の役をやったりしますけど、本当に年齢なんて関係ないですね。年をいくつ取っても演技力さえあればいくらでも若い役ができるんですよ。年取りたくないなんて言ってられないな~と思いました。
そして、勘三郎さんは焦らしに焦らして(笑)花道のすっぽんからズンズンとせり上がって登場。3階から双眼鏡で観ていたんですが、なんかものすごい端正な顔立ちメイクで「かぁ~っこいいっ♪」と思わず声に出しそうになりました。だって本当にかっこいいんだもん!
勘三郎さんは大好きですけど、二枚目…ではないじゃないですか。でもこの忠信はすごいイケメンだった! 役者ってすげええ! 阿呆な役もこなす三枚目の勘三郎さんも大好きだけど、こんな二枚目のお姿も観られるなんて、やっぱりいろんな役をこなせてこそ、魅力的な役者ですよね~♪ ますます惚れました(^- ^) 
それにやっぱり華があるんですよね。圧倒的な存在感というか、場を引き締めますね。

あ、そうそうお弁当の話を忘れていましたが、合間に食べたお弁当。美味しかったんですけど、やっぱり京都らしく薄味で、塩気が足りないな~なんて思ってたんだけど、関西の友人はそうでもなかったらしく、日頃の塩分過多をちょっと反省しました(^-^; 醤油や塩とかドバドバかけるもん。やばいよね~。

さて、4幕目からは1等席に移動です。うふふ、13列目だったけれど、取れたお席は花道の真横でございました。
4幕目は先ほどの3幕目の続き「義経千本桜~川連法眼館」の段。
義経のいる法眼館に本物の忠信がやってきて、義経から静はどうした?と聞かれますが、本物の忠信は静のお供なんて頼まれていなかったわけで、はて何のことやら?状態。当然、義経の怒りを買います。そこで静が忠信と一緒に到着。忠信が二人いる頃に驚く義経と本物忠信と静。そこで静が道中で忠信の様子がおかしかったことを告げ、義経から忠信を詮議し、場合によっては殺してもかまわないと命令されます。
ここの静御前は先ほどの段から50歳も若返って(笑)勘ちゃんが演じます。早速、すぐそばの花道から艶やかに真っ赤な着物で登場するんですけど、本当に一瞬見えた顔が七之助君にそっくりだったんです。一瞬だけね。あ~やっぱり兄弟なんだーって思いました。
義経役は仁左衛門さん。かっこいいです♪ 仁左衛門さんも若々しくて年齢不詳だと思います。さらにその仁左衛門さんを見つめる勘ちゃんの瞳がいいんですよ。本当に静は義経を愛してるんだなというのが伝わってきます。
そして本物の忠信を演じる勘三郎さん。狐忠信とはちょっとだけ髪形も変えて、二枚目な感じは変わらずですが、先ほどの忠信よりやはり堂々としていて武士っぽい。この演じ分け流石です。
橋之助さんが家来亀井六郎役で、またも顔を真っ赤に塗った血気盛んな役で、荒事までは行きませんが、またテンション高くて血圧が心配になりました(笑)でも花道をドドドドッと駆けてくところは、間近な分、さっきよりも数倍迫力がありました。

義経と本物忠信が退場し、一人になった静が鼓を鳴らすと、狐の忠信が登場。神出鬼没で何処からともなくというのを演出するために、わざと花道のシャリンという音(花道から出ますよという合図)を鳴らすんです。イヤホンガイドでも「花道から登場」って言うので、お客が皆花道に注目したところで、実は舞台中央にいる静御前の足下というか階段の中からごろんと出てくるんです。ビックリ(^-^;
すでに狐っぽいしぐさをしていますが、まだ着物は人間のもの。ここで静に殺されかけ、ついに自分が狐であること、そしてその静の持つ鼓の皮が自分の両親の皮であることを告げます。そしてまた床下へと消える狐忠信。今度は何処から出てくるんだろう?なんて思うと、また花道に灯がついて、「出があるよ!」という花道登場を意味する掛け声までかかり、今度こそ花道なのかと皆やっぱり騙されます。はい私もその一人…素直なんですよ、もう(笑)
今度はなんと静の頭上、天井からくるりんと一回転して登場です。すご~いっ!しかももう着物姿ではなく、ふさふさの毛をまとった狐の出で立ち。見事な早変りです。
正体を現した狐忠信は、鼓を返して欲しいと泣く泣く訴えます。もうその演技が素晴らしかった!狐姿の忠信は、勘三郎さんの愛嬌も加わって子狐らしく可愛らしくて、本当に子供のような勘三郎さんが泣きながら親を想う姿に、舞台上の静共々、泣かされるんですよ~。
一部始終を聞いていた義経が狐の想いに同情して、鼓を忠信に返してやります。喜ぶ忠信が鼓に頬擦りしたりじゃれついたりする姿が本当に可愛らしい。最後は鼓を抱えた忠信が花道を飛び跳ねるように駆けて行って幕。ほのぼのとするハッピーエンドで良かったです♪
この狐忠信の演目は大晦日に教育テレビで早速放送されますんで、良かったら観てみてください。勘ちゃんの静は綺麗だし、勘三郎さんの忠信には本当にほろりとさせられますから!

ラストの5幕目は勘ちゃんの祖父である芝翫さんと、橋之助さん、七之助君による舞
踊演目「お染久松 浮塒鴎」。
芝翫さんの踊りは前にTVで「藤娘」を観たことがありましたが、素晴らしくて今回も楽しみだったんですけど、なんかいい感じに睡魔が…(爆)うわ~ん、だって三味線や唄がまったりとしていて、心地よかったんですよ。それでも頑張って目を開けてましたけど、あまり内容覚えてない(T-T) 今まで歌舞伎で寝たことなかったのになあ…。流石に遠征+10時半~15時半という長丁場は疲れましたわ。
でも本当に楽しかったです。奮発して京都まではせ参じた甲斐ありました!

その後はちょっとお散歩がてら八坂神社を通り抜け、洛匠のわらび餅を頂き、清水寺へ。もう陽が落ちて薄暗い清水の舞台はちょっと怖かった(笑)さらに今年を表す字って毎年清水寺で書かれるじゃないですか。あれが飾ってあったんですけど、暗がりの中にぼーっと浮かぶ「命」の文字は、本当に怖かったです(笑)
は~でも京都はちょっと歩くだけでいろんな物が観られていいですね。気づくと足がものすごく痛くなってるんですけどね(^-^;


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