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最近はフィギュアスケートと歌舞伎鑑賞記録が主流でござります

スウィーニー・トッド

2007年01月25日 | 舞台・コンサート
市村正親さんと大竹しのぶさん、そして宮本亜門氏が演出のミュージカル「スウィーニー・トッド」を観てきました!昨日の浅草から連日の芝居観賞になっちゃいましたが、いやぁ楽しかったです。
けっこう猟奇的な話だと聞いていたので、あんまりホラー物が好きじゃないからどうしよう?と思ってたんですけど、ミュージカルなので、そういうグロさも歌で緩和されてたかな。殺人シーンなんてそのやり口ややってることはスゴイのにちょっとコミカルに描かれてて殺されるたびにちょっと笑ってしまいましたし(^^;


妻を町の権力者である判事に強奪されたあげく、その判事に濡れ衣着せられて15年も島流しにされちゃった理髪師が、町に帰ってきたところから舞台は始まります。名前をスウィーニー・トッドと改めた彼の目的はその判事への復讐。昔住んでた家の1階には不味いパイを売る女主人ラヴェットが居て、妻は服毒自殺したことを知ります。彼女にも復讐に協力してもらうことになり、昔のように2階に理髪店を開業したトッドは、そこに判事に髭を剃りに来てもらい、かみそりで一息に殺してしまおうと考えていました。しかし、判事を殺す前に、トッドを利用しようとしていたインチキ理髪師の男を殺してしまいます。その死体をどこへ隠すべきかラヴェットと相談したところ、ラヴェットがその死体の肉でパイを作ろうというむちゃくちゃなアイデアを思いつきますが、予想に反して人肉パイは「こんなパイ食べたことない!」と大ヒット。お店は一気に人気店になります。
材料の人肉を得るために、来る客来る客を片っ端から殺していくトッド。しかし、パイ店を手伝ってくれている青年トバイアスにパイの肉の秘密を知られ、その上、もうすぐここに判事がやってくることになり、焦っていたトッドは、以前から近所をうろついていた女乞食が部屋に現われたので、彼女も殺してしまいます。しかし、その彼女こそが死んだと思ってた妻の憐れな姿でした。ようやく判事に復讐を果たしたものの、乞食の正体を知ったトッドは激しく慟哭し、全てを知りながらトッドを愛するあまりに黙っていたラヴェットをパイ焼き窯に放り込み、自分もトバイアスが持っていたかみそりで自害します。残されたのは判事の元で育てられていた娘のジョアンナとその恋人アンソニー。トッドはずっとアンソニーの恋の相談に乗り、その相手が自分の娘であることも知っていたのに、水夫に変装していたジョアンナに会っただけで、結局、美しく成長した娘に会うことなく死んでしまったのでした。

復讐が結局空回りして更なる悲劇を呼んでしまったという、ものすごーく切ない話でした。
市村さんのトッドは圧巻でした。やはり歌も芝居も素晴らしかった。特に1幕のラストで、一度目の判事への復讐の機会を逃してしまった時の嘆きややるせなさを歌う場面は、ぶわーっと鳥肌が立ってしまうほどでした。2幕ラストの妻を抱きかかえて泣き叫ぶところも凄かったし。せっかく判事の魔の手から逃れてきた娘を水夫の変装をしていたがために、娘とわからず殺してしまおうとしたところなんて、本当に恐ろしいほどの迫力がありましたね。市村さんはやっぱり凄い人だー!
大竹さんのラヴェットは、この舞台の中で唯一といっていいぐらいのコメディエンヌで、重苦しい復讐劇と殺戮が繰り広げられているのに、彼女の賑やかな性格とテンポのよい喋りやジョークが、この舞台の嫌な空気を浄化していた気がします。ラヴェットも残酷なことをやっているはずなんですけどね(^^; 人骨洗いながら夢を語ったりして、やってることと言ってることがかなりズレてるんですけど、ラヴェットと大竹さんの可愛らしさによって許されてました(笑)
トッドの娘ジョアンナをやったソニンはビックリするぐらい歌が上手かったですね。ちょっとビブラートがやりすぎな感じはあったんですが、高音がめちゃめちゃ綺麗な音で出ていて、芝居も良かったし、すごく可愛らしくて良かったです。恋人アンソニーの城田君は初めて観ましたが、カッコイイ♪ 日本人離れしてるなあと思ったらスペイン人とのハーフなんですね。背も高くて歌も上手かったし。ちゃんとソニンとハモれてたのが私的にポイント高いです♪ ひどい歌手だと片方おきざりにされちゃいますからね(笑)そういう意味でもジョアンナとアンソニーは舞台上でのお互いへの愛情がちゃんと感じられました。

トッドとラヴェットの人肉についての言葉遊びのやりとりが結構面白くて、どんな職業の人間の肉が美味いかというやりとりなんですが、「ケーキ屋」→「賞味期限切れ」という、もう今渦中のネタがでてきて拍手するほどの場内大爆笑でした。あと、理髪店でかみそりで首を切られた後、その死体は2階の床から1階にある調理場へダストシュート方式で送られるんですけど、なんかそれが可笑しくて、凄い陰惨な場面のはずなのに面白かったです。死体が飛び出てくるところはちょっとビックリしましたけどね(^^;
宮本亜門演出は初めて観ましたが、テンポもよくて良かったです。後半は本当にあっという間だったし。2階席だったんですけど、メインのセットが2階建ての建物で、理髪店は2階にあるので、重要な殺しの場面は2階からよく見ることができました。
音も生オケの迫力があって良かったです。ちょうどよく音が反響してくれる席でしたし。あれ1階の前のほうだと、逆に生オケの音が煩くて、聞き取りにくいんじゃないかな…?

スウィーニー・トッドはティム・バートンとジョニー・デップが映画化するそうですね!このコンビ好きなので楽しみ♪ そういえば劇中の登場人物達のメイクは、すでにいかにもバートンの世界に出てきそうな雰囲気だったわ(笑)

この2週間で舞台4本観賞とかなりハードでしたが、どれもそれぞれ異なる魅力があって面白かったです。しかし舞台観賞が続くと疲れますね~(^^;ゞ ただ座って観てるだけなんですけどね。やっぱり舞台は生物だから、客として観ながらもいろいろ衝撃受けたり、迫力を感じたり、役者のパワーを受け止めたり、観終わった後もその内容についていろいろ考えたりすると、やっぱり疲れます。でもそれは心地の良い疲れですけどね。
むしろ、すごくつまらない芝居を高い値段で観てしまった時のほうが、ガックリきちゃって、本当にどっと疲れがでます(苦笑)何でこんな舞台観ちゃったんだろうって、やりきれなくなりますもん。せっかく舞台観に来たのに、何も感じずに終わった時の喪失感ときたらひどいもんですよ。
今月はどれも面白くて良かった~♪

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