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最近はフィギュアスケートと歌舞伎鑑賞記録が主流でござります

新春浅草歌舞伎・夜の部

2007年01月24日 | 歌舞伎
観てきました!
今日のお年玉は勘太郎君。前回の男女蔵さんと違ってすごーく真面目なご挨拶でした(笑)勘ちゃんらしいといえばらしいですね。丁寧な挨拶で何度も頭を下げて、でもパンフレットの宣伝を忘れなかったり…(^^;

夜の部の演目は「義経千本桜 渡海屋・大物浦」。この段の主役は平知盛で、すでに壇ノ浦の戦で平家は滅亡、この知盛も史実では死んでいるはずなのですが、この物語の中では生き残り、船問屋の渡海屋の主人として生活しています。渡海屋には宿敵である義経が、これまた都落ちして来たところを、頼朝の追っ手から逃れるために匿われていて、知盛は義経に恩を売って信じ込ませておきながら、仇を討つ機会を狙っていました。また、この家の娘は実は安徳天皇で(史実では男だけど女の設定)、その乳母も渡海屋の女房に身をやつして生活していました。
しかし、義経はこの渡海屋は怪しいとハナから踏んでいて、スキを狙って攻めてきた知盛を返り討ちにして追いつめます。乳母の典侍の局も安徳天皇を連れ自害しようとしますが、寸でのところで義経の主従に助けられます。安徳天皇は幼いながら義経の情けを仇と思うなと知盛を諌め、典侍の局は安徳天皇を義経に託して自害、そして知盛も碇綱を巻きつけて海へと落ち自害するのでした。

この「渡海屋・大物浦」の見せ場は何といっても知盛の迫力。義経に攻められ、髪を振り乱し血まみれになりながらの壮絶な大立ち回りは素晴らしかった。獅童君はこういう荒事は本当に似合うと思います。ラストの碇綱を巻いて後ろ向きで崖の下に落ちるとこも凄かったですね。昔あれをやって大怪我をした役者さんも居たとか。後ろ向きで落ちるのって怖いですもんね…。
七之助君の典侍の局も凄く良かった!今まで七之助君の女形といえば、私が観た中では活発な娘や姫君といった役割が多かったけど、安徳天皇を母のように見守り、美しい十二単を纏い安徳天皇を連れて気高く自害しようとするくだりなど、貫録があってすごくカッコ良かった。お祖父様の芝翫さんにマンツーマンで教わったそうですね。まだ若いのにこんなに貫録付いていいのだろうかと思ってしまいました。
勘ちゃんの義経は台詞も出番も少ないのだけど、気品があって懐大きい義経の人柄というのが凄く出てましたね。義経千本桜って、義経という名前を題名に付けながら主役は義経じゃないし、この段も敵の平家御大将知盛が主役だから義経はあまりよく描かれてないんじゃないかと思ってましたが、すごく判官贔屓の物語だなと思いました。
愛之助さんの入江丹蔵と亀鶴さんの相模五郎の魚づくしの掛け合いは、この物語の唯一の笑いどころでしたね。けっこう魚の名前出てきましたね~。よく考えたものだわ!この二人はお笑いキャラなだけなのかと思いきや、後には立ち回りも見事な自害シーンもあって良かったです。
男女蔵さんの弁慶は最初にちょいと出てきた途端、途中の戦の時にも全然居なくて、あれ?弁慶どこ行っちゃったの~?なんてずっと思ってたんですが、最後の最後に出てきて、しかも一番最後に引っ込むという、あれはあれで美味しかったのでしょうか(^^; 一瞬、この弁慶も飛び六法とかやるんだろうか?と思いましたが、普通に歩いて退場でした(笑)
しかし、面白かったけど、2時間は長かったです(^_^;

2幕目は昼と同じ「身替座禅」です。あらすじは昼の部のレポで書きましたので割愛。夜の部はキャストが主役の勘太郎君以外が変わり、奥方・玉ノ井は愛之助さん、太郎冠者が亀鶴さんでした。
愛之助さんの玉ノ井は綺麗な奥方になっちゃうんじゃないかと思ってましたが、眉毛をつぶしたメイクでけっこう怖い顔になってました(笑)でも獅童君は笑っていても常に怖い雰囲気だったけど、愛之助さんは笑うと穏やかで普段もすごく穏やかでなんか可愛らしい感じなんだけど、ここぞって時には男声でドスを効かせて一喝したり、緩急がありましたね。でも笑った顔が眼鏡を外した仲本工事さんに似てる!と思ってしまいました(^^; 客席の笑い度は獅童君のほうが凄かったかな。出てくるだけで皆がゲラゲラ笑ってたし、歌舞伎じゃなくコントなんじゃないかと思うほどでしたもん(笑)あの顔はズルイですよね~。
勘ちゃんの右京は4日に観た時よりも、なんか段違いに色気が出ていてビックリしました!終盤になって余裕が出てきたのでしょうか? 表情の幅が広がっていたと思います。花子との逢瀬の場面を踊りで表現するところなんて、花子を演じる時の煙草を点ける仕草や色っぽい眼差しとかにドキドキしてしまいましたもん。また朝帰りをした右京の乱れた髪とか、ふと想いを馳せてる顔とかも男らしくて艶っぽくて、あれは奥方から見たら、もう怒りどころじゃないですよね。悔しくてたまらんですよ(^^; そのせいか、玉ノ井が衾の中で夫の帰りを待ちわびながらしくしく泣いてるような表情をするところで、切なくなりました。そう、愛之助さんの玉ノ井はなんか切ない気持ちにさせられちゃうんですよ。獅童君の時はとにかく怖くて可笑しくて、右京のほうを応援したくなったんですけどね。それだけ愛之助さんの玉ノ井は繊細な女心を感じさせてくれたということでしょうか。

浅草のイヤホンガイドは結構面白くて、始まる前に獅童君が「携帯の電源はお切りください」とか注意事項を喋ってたり、幕間には出演者のインタビューが順番に流れてるんですけど、どうして勘太郎君と七之助君は愛之助さんだけ「様」を付けて呼んでいるんでしょう?(^^; 「あいのすけさま、あいのすけさま」と連呼してて、他は「さん」付けなんだもん。そしてこの兄弟だけ二人一緒にインタビュー受け手るんですよね。どこまでも仲良しさんだわ♪

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