続いて第2部の感想です。1部は泣ける話ばかりでしたが、2部はとにかくいろんな衝撃で笑いまくりでした。
一、「ゆうれい貸屋」
“納涼”ですからやっぱり幽霊モノがなくちゃ~。でも同じ幽霊モノでも「四谷怪談」や「かさね」とは全く違って、とにかく笑えるお話です。歌舞伎座内にあるポスターもなかなか良いです。福助さんの幽霊お染が艶っぽくてすごーいキレイ♪ でも舞台上では福助節満開なキャラクターでした(笑)
三津五郎さん演じる桶屋の弥六はたいそうな怠け者で、昼間からぐうたら三昧。代わりに女房のお兼が必死に働きなんとか食いつなぐ日々でしたが、このまま旦那を甘やかし続けていてはいけないと、いつか弥六の元に帰れることを信じながら、お兼は泣く泣く実家へ帰ります。
しかし弥六は相も変わらずぐうたら生活。大家にも愛想尽かされる始末。
そこへある夜、元は辰巳芸者の幽霊・お染がやってきて、弥六の家へ居着くようになります。幽霊といってもイメージとは違って、足もあり、人や物にも触れることのできるお染は、弥六のために、料亭から酒や肴をこっそり持ってきては弥六に馳走し、夫婦の契りまで交わしてしまいます。
夜だけ現れる女房となったお染によって、ぐうたら生活に輪をかけて極楽生活になった弥六は、ますます怠ける一方。弥六の最低限の生活のために、里へ帰ったお兼が大家さんに頼んで米や店賃を工面していたのですが、大家さんはいっこうに働く気のおきない弥六についに激怒、店賃をてめえで払えなきゃ長屋から追い出すと脅します。
そこで、お染が考え出したのは、人の恨みを晴らすために幽霊達を派遣する「ゆうれい貸屋」という商売。世の中、人を恨む人間がごろごろ居たおかげで、この商売が大繁盛。弥六はお染のおかげちっとも働かずして金持ちになります。ますます味をしめる弥六に、雇われ幽霊の又蔵(勘三郎)から、人間は生きているうちが幸せだ、あの世を頼みに歯を食いしばっていても、死んで救われることはないと教えられます。
さらにお染から危険な娘だと念を押されていた美人幽霊のお千代(七之助)に迫られて、その現場をお染に見られてしまいます。お染はたいへん嫉妬深い女で、かねてから弥六に浮気をしたら取り殺すと脅し、しかもすでに男を取り殺した前科持ち! 弥六の運命やいかに…。
というお話ですが、先にも書いたように福助さんがとにかくノリノリで、お染も福助さんのためのような役でしたね(笑)幽霊らしからぬ幽霊でしたが、最後に取り殺しにやって来るところはなかなか迫力があったかも。
「幽霊なのになんで足があるんだ」と聞かれ、「下手くそな絵書きが書き損じた」と答えたり、「地獄へ行ければまだマシ」とか、幽霊ならではの世知辛さとか屁理屈とか、三津五郎さんとのテンポのよいやりとりが面白かったです。去年の「吉原狐」に続いて、三津五郎&福助コンビ、今年も面白さ全快でした。
勘三郎さんの又蔵も、幽霊のくせに逆に人間にたんこぶをこさえられたり、なんとも情けない姿なのですが、悲哀があって良かったです。弥六にあの世の話を愚痴り、語ってきかせるところはしんみりしました。
七之助君のお千代ちゃん、1部の「磯異人館」では可憐で純な瑠璃を見ていただけに、こっちのキャラはエロエロでびっくり(笑)小さい子供も多い8月の納涼歌舞伎ですが、この演目は見せても大丈夫だったのかしらん(^^;
舞台観てから、山本周五郎氏の原作も読んだのですが、かなり忠実でしたね。
二、「新版 舌切雀」
渡辺えりこさんによる新作歌舞伎です。いやあ~これはいろんな意味で凄かった!歌舞伎…というか完全に俳優祭のノリですね(笑)役もいっぱい出てくるからそのうち俳優祭で再演できそう…。
日本のお伽話の「舌切雀」の大筋はほとんど変わらないですが、かなりファンタジー要素の強い内容で、鳥達の世界が出てくるので、雀だけじゃなくいろんな鳥の扮装が観られるのですよ。まず幕上がって最初に出てくるのが、雛壇に勢ぞろいした様々な鳥達。一番目についたのが、芝のぶちゃんの「鶴姫」!最上段にいる真っ白なお姫さまで、これが衣装も美しくて凄いキレイ~♪ しばし釘付けになっていたら、その斜め下にものすごい怪しい存在感のビジュアル系な鳥が(笑)亀蔵さんのフクロウでした。亀蔵さん…またアナタですか(笑)このフクロウ、セリフのあとに「ホーッ」とちゃんと鳴くし、夜になれば目が光るし、すげえインパクト。さらに祭りの場面で出てくるペンギン達が可愛いの! とくに子ペンギン達がものすごく可愛い! 頭が小坊主なのがさらに笑えたけど(なにげに歌舞伎の要素は外してないのが凄い)皆が歌舞伎座でペンギンダンスなんてありえねえ~!
そして海外からやってきたというフラミンゴの群れに、皆が目を丸くして口をポカーンと開けて観てたのが凄い可愛かった。あと、鳥の世界では三津五郎さん演じる「森の小人」で本当に小人になってて笑いました。最後に元の姿に戻るとこのギャップが素晴らしく良かったですね。あれはかっこ良すぎ。
いっぽう人間達の世界では、「舌切雀」に出てくる優しいおじいさんという役がなく、かわりに優しい夫婦が出てきます。それが勘ちゃんと七之助君コンビ。で、その姑の意地悪なお婆さんが勘三郎さんなんですが、もうこれまたビジュアルから強烈! 登場シーンも衝撃的だし、その悪婆ぶりもものすごいです。悪婆vs息子夫婦のバトルは、どこまで脚本でどこまでアドリブなのかわからないくらい(笑)勘三郎さんも息子達相手だから遠慮が無いよね~。そんな破天荒ぶりに息子達は意地悪に耐えながら半分笑いをこらえてましたよ。この場面は千秋楽ではどうなるのか楽しみ~!!
もうとにかくムチャクチャ!な印象の強い芝居なんですが 唯一(?)歌舞伎役者らしい見せ場だったのは、意地悪なお婆さんがお宝の葛を獲りに向かった鳥の世界のお祭りで、踊る小人(大きな姿でだけど)の三津五郎さんに「あたしのほうが上手いよ!」と二人で踊り合戦をするところでしょうか。ここだけは空気がガラリと変わって眼福。ビジュアルは悪婆と小人なのに、三社祭を踊る二人はなんともカッコ良かった!
あと忘れちゃいけないのが「蚊」の蚊ヨちゃんを演じた扇雀さんですよ(笑)なぜ「蚊」?と思ったけど、夏の嫌われ者だからかな。最期の場面も最高!あれはかの有名な○盛の最期のパロディですよね(笑)美味しい役だ~。
それから何故清太夫さんだけ、そんな奇抜な格好なの?と思ったら、ちゃんとオウム役になってました(笑)お囃子さん達もサンバ風やら白鳥の湖やら演奏しちゃうし、なんだか貴重なモノを観させて頂いた感じでした。この舞台はもう話そっちのけで、かなり異質なビジュアルや雰囲気を楽しんだもの勝ちかも
一、「ゆうれい貸屋」
“納涼”ですからやっぱり幽霊モノがなくちゃ~。でも同じ幽霊モノでも「四谷怪談」や「かさね」とは全く違って、とにかく笑えるお話です。歌舞伎座内にあるポスターもなかなか良いです。福助さんの幽霊お染が艶っぽくてすごーいキレイ♪ でも舞台上では福助節満開なキャラクターでした(笑)
三津五郎さん演じる桶屋の弥六はたいそうな怠け者で、昼間からぐうたら三昧。代わりに女房のお兼が必死に働きなんとか食いつなぐ日々でしたが、このまま旦那を甘やかし続けていてはいけないと、いつか弥六の元に帰れることを信じながら、お兼は泣く泣く実家へ帰ります。
しかし弥六は相も変わらずぐうたら生活。大家にも愛想尽かされる始末。
そこへある夜、元は辰巳芸者の幽霊・お染がやってきて、弥六の家へ居着くようになります。幽霊といってもイメージとは違って、足もあり、人や物にも触れることのできるお染は、弥六のために、料亭から酒や肴をこっそり持ってきては弥六に馳走し、夫婦の契りまで交わしてしまいます。
夜だけ現れる女房となったお染によって、ぐうたら生活に輪をかけて極楽生活になった弥六は、ますます怠ける一方。弥六の最低限の生活のために、里へ帰ったお兼が大家さんに頼んで米や店賃を工面していたのですが、大家さんはいっこうに働く気のおきない弥六についに激怒、店賃をてめえで払えなきゃ長屋から追い出すと脅します。
そこで、お染が考え出したのは、人の恨みを晴らすために幽霊達を派遣する「ゆうれい貸屋」という商売。世の中、人を恨む人間がごろごろ居たおかげで、この商売が大繁盛。弥六はお染のおかげちっとも働かずして金持ちになります。ますます味をしめる弥六に、雇われ幽霊の又蔵(勘三郎)から、人間は生きているうちが幸せだ、あの世を頼みに歯を食いしばっていても、死んで救われることはないと教えられます。
さらにお染から危険な娘だと念を押されていた美人幽霊のお千代(七之助)に迫られて、その現場をお染に見られてしまいます。お染はたいへん嫉妬深い女で、かねてから弥六に浮気をしたら取り殺すと脅し、しかもすでに男を取り殺した前科持ち! 弥六の運命やいかに…。
というお話ですが、先にも書いたように福助さんがとにかくノリノリで、お染も福助さんのためのような役でしたね(笑)幽霊らしからぬ幽霊でしたが、最後に取り殺しにやって来るところはなかなか迫力があったかも。
「幽霊なのになんで足があるんだ」と聞かれ、「下手くそな絵書きが書き損じた」と答えたり、「地獄へ行ければまだマシ」とか、幽霊ならではの世知辛さとか屁理屈とか、三津五郎さんとのテンポのよいやりとりが面白かったです。去年の「吉原狐」に続いて、三津五郎&福助コンビ、今年も面白さ全快でした。
勘三郎さんの又蔵も、幽霊のくせに逆に人間にたんこぶをこさえられたり、なんとも情けない姿なのですが、悲哀があって良かったです。弥六にあの世の話を愚痴り、語ってきかせるところはしんみりしました。
七之助君のお千代ちゃん、1部の「磯異人館」では可憐で純な瑠璃を見ていただけに、こっちのキャラはエロエロでびっくり(笑)小さい子供も多い8月の納涼歌舞伎ですが、この演目は見せても大丈夫だったのかしらん(^^;
舞台観てから、山本周五郎氏の原作も読んだのですが、かなり忠実でしたね。
二、「新版 舌切雀」
渡辺えりこさんによる新作歌舞伎です。いやあ~これはいろんな意味で凄かった!歌舞伎…というか完全に俳優祭のノリですね(笑)役もいっぱい出てくるからそのうち俳優祭で再演できそう…。
日本のお伽話の「舌切雀」の大筋はほとんど変わらないですが、かなりファンタジー要素の強い内容で、鳥達の世界が出てくるので、雀だけじゃなくいろんな鳥の扮装が観られるのですよ。まず幕上がって最初に出てくるのが、雛壇に勢ぞろいした様々な鳥達。一番目についたのが、芝のぶちゃんの「鶴姫」!最上段にいる真っ白なお姫さまで、これが衣装も美しくて凄いキレイ~♪ しばし釘付けになっていたら、その斜め下にものすごい怪しい存在感のビジュアル系な鳥が(笑)亀蔵さんのフクロウでした。亀蔵さん…またアナタですか(笑)このフクロウ、セリフのあとに「ホーッ」とちゃんと鳴くし、夜になれば目が光るし、すげえインパクト。さらに祭りの場面で出てくるペンギン達が可愛いの! とくに子ペンギン達がものすごく可愛い! 頭が小坊主なのがさらに笑えたけど(なにげに歌舞伎の要素は外してないのが凄い)皆が歌舞伎座でペンギンダンスなんてありえねえ~!
そして海外からやってきたというフラミンゴの群れに、皆が目を丸くして口をポカーンと開けて観てたのが凄い可愛かった。あと、鳥の世界では三津五郎さん演じる「森の小人」で本当に小人になってて笑いました。最後に元の姿に戻るとこのギャップが素晴らしく良かったですね。あれはかっこ良すぎ。
いっぽう人間達の世界では、「舌切雀」に出てくる優しいおじいさんという役がなく、かわりに優しい夫婦が出てきます。それが勘ちゃんと七之助君コンビ。で、その姑の意地悪なお婆さんが勘三郎さんなんですが、もうこれまたビジュアルから強烈! 登場シーンも衝撃的だし、その悪婆ぶりもものすごいです。悪婆vs息子夫婦のバトルは、どこまで脚本でどこまでアドリブなのかわからないくらい(笑)勘三郎さんも息子達相手だから遠慮が無いよね~。そんな破天荒ぶりに息子達は意地悪に耐えながら半分笑いをこらえてましたよ。この場面は千秋楽ではどうなるのか楽しみ~!!
もうとにかくムチャクチャ!な印象の強い芝居なんですが 唯一(?)歌舞伎役者らしい見せ場だったのは、意地悪なお婆さんがお宝の葛を獲りに向かった鳥の世界のお祭りで、踊る小人(大きな姿でだけど)の三津五郎さんに「あたしのほうが上手いよ!」と二人で踊り合戦をするところでしょうか。ここだけは空気がガラリと変わって眼福。ビジュアルは悪婆と小人なのに、三社祭を踊る二人はなんともカッコ良かった!
あと忘れちゃいけないのが「蚊」の蚊ヨちゃんを演じた扇雀さんですよ(笑)なぜ「蚊」?と思ったけど、夏の嫌われ者だからかな。最期の場面も最高!あれはかの有名な○盛の最期のパロディですよね(笑)美味しい役だ~。
それから何故清太夫さんだけ、そんな奇抜な格好なの?と思ったら、ちゃんとオウム役になってました(笑)お囃子さん達もサンバ風やら白鳥の湖やら演奏しちゃうし、なんだか貴重なモノを観させて頂いた感じでした。この舞台はもう話そっちのけで、かなり異質なビジュアルや雰囲気を楽しんだもの勝ちかも
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