GTO
あなたの免疫機構
危険なバクテリアやウイルスが体に入り込み,わたしたちの体内で増殖することがあります。ありがたいことに,わたしたちには対ゲリラ戦士の大部隊とも言えるものがあります。
それは,侵入した異物を捕らえて破壊する白血球細胞です。ところが,科学的な解明がいまだになされていない不思議な機構があって,一般に白血球は体の健康な細胞に害を与えません。
あなたもテレビで,この有能な戦士が働いているところを見たことがあるかもしれません。
白血球が老廃物を飲み込むのを見ても驚かされますが,白血球がウイルスに感染した仲間の体組織を検査し,同僚の助けを得て侵入者を殺す場面を見ると,それ以上に畏怖の念に打たれます。このようにして感染がとどめられるのです。
致死的なウイルスや侵入者である他の異物が初めて侵入して来たとき,あなたの免疫機構がそれらの物質を破壊するのに数日かかるかもしれません。
最初に,適切なリンパ球(特殊なタイプの白血球)を見つけなければなりません。体には,選択の対象となるリンパ球が無数にあるのです。リンパ球はそれぞれ,特定のウイルスに合う武器を1種類だけ作ることができます。
適切なリンパ球が見つかると,そのリンパ球は急激に増殖します。数日もしないうちに,血流の中にそれらの戦士が充満するようになります。
その戦士は敵を捕らえて殺すことも,敵を無力にさせて確実に死なせる抗体を作ることもできます。「人体という機械」と題する本は,「抗体は,鍵が鍵穴にはまるように,ウイルスの表面の分子に付着する」と述べています。
あなたの免疫機構にはもう一つの際立った力が備わっています。適切な武器が見つかるやいなや,その武器を記憶するのです。
これは,将来に同じ型の微生物が侵入して来たとき,抗体をただちに作ることができることを意味します。
科学の教科書である「微生物学の諸要素」という本は,「はしか,おたふく風邪,水ぼうそうなど,子供のころにかかる病気が治った人は,二度とその病気にかからないのが普通である」と説明しています。
医学はこの記憶の機構を利用して,良いことを多く成し遂げてきました。ワクチンは,人が一度もかかったことのない病気に対する抗体を免疫機構に作らせます。
子供たちはこの方法により,ある種の病気に対する免疫を得ることができます。しかし,人間が制御しようと努力しても,大胆な抵抗を試みる病気もあります。
「微生物学の諸要素」という本は,「抗体に関する理解が深まれば,ガンや花粉症のようなある種の病気をよりよく制御できるかもしれない」と述べてから,こう付記しています。
「将来の研究を待てば,免疫機能の活力を高齢時まで引き延ばして健康を増進させ,すべての人の寿命を延ばす方法に関するさらに深い洞察が得られるはずである」。
しかし,この科学の教科書が出版された1981年に,後天性免疫不全症候群(エイズ)が確認されました。その名が示しているように,エイズウイルスは体の免疫機構の一部を侵し,
特定の病気に対する患者の防御力をなくしてしまいます。
読者は矛盾を感じますか。人体はまさしく生き続けるように作られています。人体はすばらしい仕方で防御し,修理し,自力更新を行ないます。
それでも,欠けているものがあるのです。確かにエイズのようなある種の病気は,聖書にある種々の原則に従うことによって予防することができます。
「というのは,聖なる力によって私たちは,次の必要な事柄以外,皆さんに何の重荷も加えないのがよいと考えたからです。すなわち,偶像に犠牲として捧げられた物,血,絞め殺された動物,
性的不道徳を避けていることです。これらのものから注意深く身を守っていれば,皆さんは穏やかに暮らせます。健やかにお過ごしください」。
(使徒 15:28,29)
「それで,愛する皆さん,私たちにはこのような約束があるのですから,体と精神のあらゆる汚れを除き去って自分を清め,神への畏れを抱いて神聖さを完成させていきましょう」。
(コリント第二 7:1)