
きっとピクサーはずっとこういうのをやりたかったんだと思う。
ドリームワークスが手掛ける「シュレック2」の好調を横目に見ながら
「ふんっ、あれぐらい自分達にも出来るわい!」と爪を噛んでいたのではないか。
過去のディズニー×ピクサーではあり得なかったブラックなテイストを盛り込みつつ、
いつも通りファミリーでもきちんと楽しめる。
今回はピクサーの持ち込み企画ということなので外すわけにはいかなかったのだろう。
自らに課した高いハードルを見事にクリアした快作に仕上がった。
内容は、「スパイキッズ」を手本にしたようなキャラクター設定、
「スパイダーマン」などのアメコミ映画を思わせる勧善懲悪のストーリー、
「007」シリーズを思わせるアダルトな演出など、
アメリカ人好みの要素がたっぷり詰め込まれているので、
既に公開中のアメリカで「ファインディング・ニモ」を超える快進撃を続けているのも納得だ。
各キャラクターの特殊能力については
「サイボーグ009」や「ワンピース」から拝借したのではないかという気もするが、
「きっと偶然の一致だよね」ということで流しておこう。
今回最も活躍するのは、主役のMr.インクレディブルではなく、
元イラスティガールであるMrs.インクレディブルだ。
だらしない亭主の尻を叩き、長女ヴァイオレットの悩みに先輩として接する一方で、
暴れたい盛りの長男ダッシュの首根っこもしっかり掴んでいる。
中盤以降はゴムゴムの実を食べたに違いない伸縮自在の体を駆使して大活躍を見せる。
パッとしない図体のデカいパパより
小柄なママがテキパキと家族を束ねるのは世界共通なのかも知れない。
家族のピンチに誰よりも力を発揮するのはやっぱりママなのだ。
「ビックリすることが好き」な三輪車に乗った子供や、
エドナ・モードが「マントは使わない!」と断固として譲らない理由、
家族で唯一普通なジャック・ジャックなど、
伏線に対するオチの付け方もいちいちシャレが効いている。
唯一の難点は、スーパーヒーロー時代のインクレディブルの相棒である
フロゾンというキャラクターの存在意義がもうひとつ薄いことだ。
序盤と終盤に少しずつ出て来るのだが、どちらも単に賑やかしに出て来ただけに見えてしまう。
見た目も特殊能力もかなり目を引くキャラクターなので、
あの程度にしか活躍しないのは勿体ない。
インクレディブル以外の家族と絡むエピソードがひとつでもあれば
グッと魅力的なキャラクターになったと思うのだが。
破竹の勢いで拡大するドリームワークスのCGアニメに「待った」をかける傑作だとは思うが、
毒気0(ゼロ)のディズニー映画を期待して劇場に足を運んだ人の中には
「死ぬ」「殺す」という台詞に驚く人もいるだろう。
個人的にはディズニー×ピクサーの最高傑作だと思ったが、さて。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
タイトル:Mr.インクレディブル
配給:ブエナビスタ・インターナショナル
公開日:2004年12月4日
監督:ブラッド・バード
出演者:クレイグ・T・ネルソン、ホリー・ハンター 他
公式サイト:http://www.disney.co.jp/incredible/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
昔フィギュアに凝っていた友人が
持っていたような気がするが、
特殊技能までは知らなかった。
情報感謝。
ゴム人間の特徴を活かしたシーンがいくつもありましたよね。パラシュートになったり船になったり。
やはりMrs.が一番カッコ良かった。
ベラボーマンはHuカード版を持っている。
映画を構成する要素全てが過去の作品の借り物でありながらも
それら全てが元ネタを超える最高のパロディとして機能してますね
それでいて最高に王道を往く展開、素晴らしい
本当にいい仕事してます、いままで子供騙し映画屋と軽蔑していたピクサーを見直しました。
良く似たテーマのアメコミ原作映画『ウォッチメン』(やっと監督が決まったそうで)が
はたしてこの作品を超えられるのか、今から心配です
私的には「Cars」で契約が終了することの方が心配だ。
ピクサーよどこへ。
具体的にどこが、と言われると映画は余り見ないので上手くいえないのですが。
最近は映画館に行く事もほとんどないのですが、
こんな映画なら映画館まで足を運んでスクリーンで見てみたい、
そう思うような映画でした。