忍之閻魔帳

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Switch「ANGEL WHISPER」”その気”にさせる仕掛けがあと一歩欲しい

2023年10月03日 | 作品紹介(ゲーム)


▼Switch「ANGEL WHISPER」”その気”にさせる仕掛けがあと一歩欲しい



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「1999年7月に世界が終わる」とする、いわゆる終末思想に慄きながらも
熱中した経験があるなら、あなたは私と同世代だろう。
ノストラダムスの大予言は私も夢中で読んだし、VTRで予言内容を紹介するテレビ番組を見て眠れなくなったこともある。
東宝で公開された同名映画こそ見る勇気が出なかったが
その後もミレニアムを迎えるまでにノストラダムスの名前は幾度となくメディアを騒がせた。
「日本沈没」や「復活の日」といった人類の滅亡をテーマにした作品が多数制作されたのも
「1999年夏に何かが起こるに違いない」とする、正体不明の不安が巻き起こしたブームだったような気がする。


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【関連記事】たつき諒「私が見た未来 完全版」紹介

予言が外れて胸をなでおろした1999年夏に初版が発行されたコミック「私が見た未来」では
2011年の震災が予言されていたと話題になり、「完全版」と銘打った復刊が決まるや大ヒットとなった。
「完全版」では2025年7月に「本当の大災難がやってくる」とされており
2000年を迎えても消えなかった終末思想の残り火は、今も人々の心の中で小さく燃えている。

【関連記事】Switch「人形の傷跡」記憶を紐解くサスペンスホラーの佳作

さて、そんな終末思想をテーマにしたノベルゲーム「ANGEL WHISPER」が
9月28日にNintendo Switchにてリリースされた。
以前当BLOGで紹介した「人形の傷跡」を手がけた宮下英尚氏の作品で
「人形〜」と同様にインディーズでリリースされた作品を現代風にアレンジしてリメイクしたものとのこと。
オリジナル版の発売は1998年、翌年にはノストラダムスが予言する1999年がやってくるタイミングということで
当時は今とはまた違ったリアリティを感じながらプレイした方も多かったのではないかと思う。
リメイクにあたり、プレーヤーが行き詰まらないようにヒントを用意し
ストーリーへの没入度を優先した追加要素も盛り込まれている。

この度、宮下氏ご本人より製品版のコードをいただくという
光栄な機会を得たのでありがたくプレイさせていただいた。
クリアまでの時間は大体4、5時間といったところだろうか。
通常価格は1,500円だが、10月24日までは配信開始記念で34%OFFの990円で配信中。



冒頭から「ムー」を読んでいるような、怪しげなやり取りが続くシナリオ(褒めてます)は
「私が見た未来」がリバイバルヒットした現代にもマッチしそうな展開。
序盤から中盤ぐらいまでは「SFっぽく見せかけたミステリーだったのか」と錯覚させる
出来事が続き、終盤に向けて物語の背景が浮かび上がるという二重構造も上手い。
ホラー映画界でモキュメンタリーが隆盛を極めたのは2010年代以降の話で、
AIの発達や戦争にまで言及した「当時から見た未来の地球」も、現代の景色とマッチする部分は確かにある。
システム的にもシナリオ的にも、24年前に作られたと考えると
目の付け所の巧さに感心はするが、グラフィックとBGMが現代風にリファインされた以外は
骨子の部分でクラシカルなPCアドベンチャーの面影を残したままになっているのが惜しい。
クイズ形式の問い(テキスト入力)はいっそ無くしてしまっても良かったし、
何かにつけ有能過ぎる高見沢も、もう少し愛嬌ある人物像に寄せてみたり
キャラクター設定や会話の内容などにも手が加えられていれば
現代に蘇った予言書的アドベンチャーの復刻としてバズる要素は非常に高かったと思う。

例えば、ゲーム中で出てくるWebサイトや古い記事などは
2020年代が生んだ新世代のホラー作家・YouTuberである雨穴がそうしたように
(それなりの労力がかかることは理解しつつ欲張りな意見として)
現実世界にWebサイトを構築し、公開する(*後述)ぐらいのことをして欲しかった。
実在するWebサイト(の過去ログ)にヒントが仕込まれていれば
すぐ側で本当に起きていたことなのだと錯覚し、リアリティは跳ね上がっていたのではないか。
「終末思想に世の中が振り回されていた頃の小説や映画のひとつ」として
私の世代ならこのままでも懐かしさを加点要素にして十分楽しめるものに仕上がっているだけに
「そこからのもうひと味」のプラス要素が欲しかった。

「人形の傷跡」と同じく、短時間でサクッと読み終えることのできる佳作。
10月24日までの値引き価格ならお値段分は楽しめると思うので、
「ノストラダムスの大予言」にハマり、「私が見た未来」もつい手を出してしまった
私のようなタイプならお勧め。

Nintendo Switch「ANGEL WHISPER」は現在配信中。

おまけ。
「人形の傷跡」でも気になった場所移動の際のカーソルの合わせ辛さは本作でも見られたので
携帯モード+タッチ操作でのプレイ推奨。

*「七篠レン 心の日記」のこと。
雨穴の小説「変な絵」に登場するブログ。
Web上でも検索で引き当たり、2008年から2012年まで計26本の日記が上がっている。
敢えて古い日付で更新され、26本も執筆することで
七篠レンが架空の人物ではなく本当にいたと錯覚させるテクニックに多くの読者が戦慄した。



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