忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
*当サイトは商品やサービスへのリンクにアフィリエイトを使用しています。

羽を失くさなくても大人にはなれる「ネバーランド」

2005年01月15日 | 作品紹介(映画・ドラマ)

■DVD:「ネバーランド」



*バナーをクリックすると公式サイトへ直接飛ぶことが出来る。

本作「ネバーランド」は、
言わずと知れた「ピーターパン」の世界を舞台にしている。
いや、「ピーターパン」が生まれるまでの話、と言うべきか。
原作者バリが出会ったひとりの少年、ピーター。
彼の精神的な成長をバリの視点から描くことによって、
バリがどのようにして「ピーターパン」を書き上げたのかを知ることが出来る。

この映画で一貫して描かれているのは「信じ続けることの大切さ」だ。
文字にすると大事MANブラザーズバンドの歌のように陳腐だが、
陳腐さを嘲笑うことが出来なくなるほどに、この映画は純度が高い。
心の奥底でくすぶる夢見がちな自分に止めを刺し、
現実に目を向けることこそ「成長」であると思っていた私にとって、
この映画は例えようもなく優しい説教だった。
何かを諦めたり捨てたりしなくても大人にはなれるのだ。
大人はあくまでも子供の延長線であり、
子供でなくなることが大人になるということではないのだ。
言われてみれば当たり前のことなのだが、
無限と思われた時間に限りがあると知った時から、
人は日々の生活に追われ、様々な煤を身体に纏っていく。
そして、少しずつ少しずつ「ネバーランド」が見えなくなっていくのだろう。

題材が「ピーターパン」だからと言って子連れで行くような映画ではないが、
「俺もすっかり汚れちまったな」と自覚している大人は、
煤払いのつもりで観に行くことをお勧めする。
私は、観終えて少しだけ肩が軽くなった。
ピーリングもせず一皮剥けた、といったところか。

シカゴの精神科学者であるダン・カイリーなる人物が
「ピーターパン・シンドローム」という言葉を造ってからというもの、
「ピーターパン」に憧れる者の肩身はすっかり狭くなってしまった。
しかし、今なら自信を持って言える。
「ダン、あなたはとても可哀相な人だね」と。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:ネバーランド
    配給:東芝エンタテイメント
   公開日:2005年1月15日
    監督:マーク・フォスター
   出演者:ジョニー・デップ、ケイト・ウィンスレット
 公式サイト:http://www.neverland-movie.jp/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
コメント (13)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする