「トゥレット友の会」ブログ         ~トゥレット症(チック症)に関する情報発信と活動報告~

「トゥレット友の会」は、トゥレット症(チック症)の啓発と、  患者やその家族への支援を目的としたボランティア団体です。

「トゥレット症」という診断を得る必要はあるのでしょうか?

2021年09月18日 | Q & A コーナー

Q : かかりつけの小児科クリニックを受診したところ、「チックです。このまま様子をみてください」と言われました。トゥレット症でないかと思いますが、専門医に診てもらう必要はないのでしょうか?

(小4・男児:2年くらい前から咳払いや目を左右に動かす動きがあり、最近、鼻鳴らしや首振りが顕著になって来ました。)

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A :

■お医者様が「このまま様子をみてください」とおっしゃたのには、

2つ意味があると思います。

1つは、トゥレット症の診断基準が、

「複数の運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上継続する症状」であるため、

経過観察が必要だと考えられたのかもしれません。 

もう1つは、現在、生活に大きな支障がないのであれば、

治療の緊急性はないと判断され、様子をみたいと思われたのでしょう。

 

■一般的には、チックはピーク期を超えると緩和傾向にあります。

*DSM5によると、

成人期には6~9割の人が緩和、もしくは寛解していくと言われていますので、

生活に大きな支障が出ていないのであれば、自然緩和、自然寛解に期待したいところです。

(*DSM5=米国精神医学会による精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)

仮に、治療を考えた時、

薬物療法は抗精神病薬や抗うつ薬を使用することになりますので、

子どもへの投与は慎重になる必要があります。

 

■しかしながら、専門医を受診しないで経過観察するのと、

専門医を受診して経過観察するのとでは、

少し意味合いが違って来ます。

保護者様の気持ちとしては、

「チックなんだろうけど、治療の必要性はないのかしら?

「注意して生活することはないのかしら?」と

中途半端な状態で釈然としないのではないでしょうか。

「トゥレット症」と診断がつくことで、

色々なメリットが生まれて来ます。 
 
・子どもの症状について、周囲に医学的説明が出来る。
・個人差はあるものの、チック症状の経過の見通しがつく。
・トゥレット症の特徴を知ることで、息子さんの状態をより理解出来る。
・トゥレット症に併発する症状を知ることで、今後の息子さんの状態に対応しやすくなる。
・必要であれば、薬を処方してもらえる。

■多くの方がそうであったように、診断が下される際、

病気を受け入れなければいけない”辛さ”と同時に、

「ああ、やはりそうだったか・・・」と、

納得と言いましょうか、”安堵”に近い気持ちになられるようです。

それは、病名が判明することによって、

この疾患と向き合う覚悟を、どこかでしているからだと思います。

 

先ずは、

「正しい診断を得る」ところから、始めてみてはいかがでしょうか。

混沌とした気持ちから抜け出し、

一歩前に進んでいくことが出来るように思います。



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