Q : かかりつけの小児科クリニックを受診したところ、「チックです。このまま様子をみてください」と言われました。トゥレット症でないかと思いますが、専門医に診てもらう必要はないのでしょうか?
(小4・男児:2年くらい前から咳払いや目を左右に動かす動きがあり、最近、鼻鳴らしや首振りが顕著になって来ました。)
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A :
■お医者様が「このまま様子をみてください」とおっしゃたのには、
2つ意味があると思います。
1つは、トゥレット症の診断基準が、
「複数の運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上継続する症状」であるため、
経過観察が必要だと考えられたのかもしれません。
もう1つは、現在、生活に大きな支障がないのであれば、
治療の緊急性はないと判断され、様子をみたいと思われたのでしょう。
■一般的には、チックはピーク期を超えると緩和傾向にあります。
*DSM5によると、
成人期には6~9割の人が緩和、もしくは寛解していくと言われていますので、
生活に大きな支障が出ていないのであれば、自然緩和、自然寛解に期待したいところです。
(*DSM5=米国精神医学会による精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)
仮に、治療を考えた時、
薬物療法は抗精神病薬や抗うつ薬を使用することになりますので、
子どもへの投与は慎重になる必要があります。
■しかしながら、専門医を受診しないで経過観察するのと、
専門医を受診して経過観察するのとでは、
少し意味合いが違って来ます。
保護者様の気持ちとしては、
「チックなんだろうけど、治療の必要性はないのかしら?」
「注意して生活することはないのかしら?」と
中途半端な状態で釈然としないのではないでしょうか。
「トゥレット症」と診断がつくことで、
色々なメリットが生まれて来ます。
・子どもの症状について、周囲に医学的説明が出来る。
・個人差はあるものの、チック症状の経過の見通しがつく。
・トゥレット症の特徴を知ることで、息子さんの状態をより理解出来る。
・トゥレット症に併発する症状を知ることで、今後の息子さんの状態に対応しやすくなる。
・必要であれば、薬を処方してもらえる。
■多くの方がそうであったように、診断が下される際、
病気を受け入れなければいけない”辛さ”と同時に、
「ああ、やはりそうだったか・・・」と、
納得と言いましょうか、”安堵”に近い気持ちになられるようです。
それは、病名が判明することによって、
この疾患と向き合う覚悟を、どこかでしているからだと思います。
先ずは、
「正しい診断を得る」ところから、始めてみてはいかがでしょうか。
混沌とした気持ちから抜け出し、
一歩前に進んでいくことが出来るように思います。