「トゥレット友の会」ブログ         ~トゥレット症(チック症)に関する情報発信と活動報告~

「トゥレット友の会」は、トゥレット症(チック症)の啓発と、  患者やその家族への支援を目的としたボランティア団体です。

チックの治療法ーNo.8 その他の治療・民間療法

2018年09月30日 | トゥレット(チック)症の治療法

No.8 その他の治療法・民間療法

トゥレットの患者さんは、
自己コント―ル力を付けたり、リラックス効果でチックを緩和したりと、
色々、工夫しながら生活をされていらっしゃいます。
チックと長く共存していると、自分流の抑制や緩和の方法を会得できるようですね。

以下は、実際に効果が出たという患者さんの声を集めてみました。
民間療法だからといって、侮れないですよ~(^O^)


◆栄養療法:①不足しがちな栄養を補給する
◎トリプトファン
一般的には、トリプトファンの摂取が大切だと言われています。
それは、トリプトファンがチックの患者さんに不足しがちなセロトニンの
生成につながるからです。
このトリプトファンはたんぱく質を構成しているアミノ酸の一種で、
以下のような食品があります。
(1)豆製品:豆腐、納豆、大豆、味噌
(2)鶏肉のもも肉・豚肉のロース肉
(3)米・イモ・小松菜・しいたけ
(4)ひまわりの種、アーモンドなどのナッツ類、卵、バナナ

*意外にも、牛肉、乳製品、小麦は推奨されていません。
それは、トリプトファン以外のアミノ酸の含有量が多いため、
取り込み阻害が起こってしまうからだそうです。
勿論、食べ物に対するアレルギー性や消化・吸収は個人差がありますので、
個々に適した食事内容を探ってみてくださ~い。

◎ナイアシン

ナイアシンの摂取を推奨する医師もいます。
ナイアシンは、ビタミンB3 とも言われるもので、
トリプトファンの代謝に重要な役割りを果たし、
循環系、消化系、神経系の働きを促進する効果があると言われています。

◎腸内環境を整える
腸内環境が良くない方は、せっかく不足している栄養素を摂取しても、
実際、その栄養素が吸収されないため、効果が発揮されず、
悪循環を生んでいることがあります。

昨今、腸内環境の劣悪は、チックに限らず、
色々な病気の原因になっていると言われていますので、
下痢・便秘・腹痛が多い方は腸内環境を整えることで、
諸々が改善されてくるのかもしれませんね~💙


◆栄養療法②アレルギーのある食物の摂取を控える
例:朝のパン食(小麦粉使用)を、ご飯(お米)に変更したら、
 チックが緩和したとの報告もあります。
 逆に、白米がNGだったという人もいます。

こればかりは、食物に対するアレルギー検査をしてみないことには分かりません。
この栄養療法は奥が深いので、後日、追記いたします。


◆タッチケア、アロマセラピー
チックのある方は過敏性の傾向があり、
過緊張の状態で生活していることが多いです。
そのため、タッチケアやアロマセラピーで
気持ち(脳)や身体をほぐしてあげると、チックが緩和されます。

また、チック症の方は、脳が興奮していて
寝つきが悪い方も少なくありません。
そんな方は、寝る前にアロマオイルを炊いたり
アロマオイルとタッチケアのコラボもいいでしょう。
香りを優しく嗅ぎながら
タッチケアやマッサージをするとリラックス効果で
寝つきがよくなり、体調もいいようですよ~💙

本日、「秋の交流会 in 横浜」で、タッチケアの講習会を開催します。
機会がありましたら、その内容をブログで、ご報告させていただきま~す。


◆ヨガ、座禅、マインドフルネス
チックを抱える子どもさんが毎日、お寺に通って座禅に徹したところ、
チックが抑制された・・・と、お母様からお聞きしました。

座禅やヨガ、マインドフルネスの瞑想・呼吸は自律神経に作用するそうです。
続けることで、チックを抑制できたのかもしれませんね。


*・・・・・*・・・・・*・・・・・*・・・・・*
個々によって、効果は様々です。
興味のある方は、色々、お試しになってみてください。
また、「こんなことが、効果があったよ~!」という方は、教えてくださいね~💙


チックの治療法ーNo.7 自己免疫性溶連菌関連性精神神経障害(PANDAS)

2018年09月29日 | トゥレット(チック)症の治療法

No.7 自己免疫性溶連菌関連性精神神経障害(PANDAS)

チックは神経疾患ですが、
トゥレット症の患者の2割程度は
感染症による自己免疫のトラブルによって精神神経障害
発しているのではないかと言われています。

裏を返すと、感染症によるチックの発症であれば、
免疫システムを改善するような治療法でないと
効果が得られないということにもなります。

しかし、実際のところ、
チックは幾つかの要因が掛け合って発症しているケースもあり、
チックの原因を1つに確定することは難しく
海外でも、免疫治療神経系への投薬治療を並行して行っているのが現状のようです。

◆自己免疫システムのトラブルから生じた症状

①PANDAS
(Pediatric autoimmune neuropsychiatric disorders associated with streptococcal infection)
これは、「小児自己免疫性溶連菌感染関連性精神神経障害」と訳され、
溶連菌に感染した後、チックや強迫性神経障害を起こす症状です。
トゥレット症の患者の2割はこのPANDASだということが示唆されています。

交流会での会話で、
「私の子どもは、溶連菌にかかった後から、急にチックが出始めたんです。」と
おっしゃったお母様がいました。

②PANS
(Pediatric Acute-onset Neuropsychiatric Syndrome)
これは、「小児急性精神神経症候群」と訳され、
溶連菌以外の菌、例えばウイルス、バクテリア、真菌(ヘルペス、インフルエンザ、
手足口病となるコクサッキーウイルス、マイコプラズマ、ライム病、寄生虫等)など、
特定が出来ない場合の感染によって起こる自己免疫性脳神経障害のことです。

◆PANDASの特徴
1.OCD(強迫観念)又はチック症状がある
2.思春期以前に症状が起こる
3.溶連菌に感染した経緯があり、その後、突然症状が出る
(ゆっくりとではなく、ある日突然チックが始まるとか恐怖観念等が出る等)
4.A群溶血性レンサ球菌感染がある
5.神経障害(活動過多傾向や、舞踏病に見られる動き)が見られる
6.血液検査(IgG検査)で陽性が出る

*従って、このような特徴が複数あれば、
PANDASの可能性を疑ってみる必要があるでしょう。

◆治療法
海外では以下の治療がおこなわれています。

①血漿交換療法
血液中の血漿だけを交換するので血漿交換法と呼ばれます。
一般に、肝疾患、腎疾患、リウマチ、膠原病等の治療に適応されています。

②γグロブリン療法
γグロブリン療法は免疫グロブリン製剤を点滴静脈注射(静注)する方法です。
*免疫グロブリンは血液中の血漿に含まれているため、
 免疫グロブリン製剤は人の血液を原材料として作られます


血漿交換療法やγグロブリン療法の医療費に関しては、
癌治療等の場合、保険適用になりますが、
チックの治療法としては当然、保健適用外となり、かなり高額になると思われます。
1回の投与が何十万とかかり、また、投与を何回か繰り返す必要があります。

しかし、上記治療法は2010年頃、実際にアメリカで
ガンマーグロブリン療法を受けた方から得た情報です。
経年と共に自己免疫疾患に対する研究も進展しているはずですから、
現在は、もっと効果的な治療法が確立されているのではないでしょうか。

★以下のサイトでパンダス(PANDAS)の詳しい情報を得られます。
海外情報→

【Welcome to PANDAS Network】
http://pandasnetwork.org/


◆日本では未認可の治療ですが、・・・
免疫治療という観点では、日本でも20年以上前から、重症感染症の患者さんや
免疫グロブリンが生まれつき不足している患者さんの治療に使われているのですが、
チックの治療法としては厚労省の認可はありません。

しかし、日本でも、溶連菌の感染とチックの発症の関係性に注目し、
チックの症状を自己免疫疾患として捉え治療をされているドクターも
いるようですので、検索してみてください。


チックの治療法ーNo.6 ニューロ モデュレーション

2018年09月28日 | トゥレット(チック)症の治療法

No.6 ニューロ モデュレーション

ニューロ モデュレーションというのは、
脳神経に外的刺激を働きかける治療法で、外科的治療と言えます。
近年、以下の治療法が紹介されています。

1.経頭蓋磁気刺激治療(TMS)*TMS=Transcranial Magnetic Stimulation
 TMS=Transcranial Magnetic Stimulation

これは磁気の刺激を外部からかける方法の1つで
痙性対麻痺の症状に対しておこなわれている治療法です。
近年、脳のリハビリや精神疾患の治療としても注目を浴びており、
チックへの効果もあるとのことで、紹介されています。

磁気によって大脳を刺激して、間接的に脳を活性化させます。
痛みや傷などの苦痛はなく、
浸透性が低い方法での刺激のため、
リスクも低いとのことです。

TMSを受ける回数としては、1セット30回が目安だそうです。
そうすると、週に1~2回施術したとすると、
治療期間は半年前後と、比較的短期で効果が得られるかもしれません。
勿論、効果の有無は個人差がありますので、
治療を進めながら様子を見るといいのではないでしょうか。

但し、保険適用外の治療なので、治療費は高額になります。


2.脳深部刺激療法(DBS) *DBS=Deep Brain Stimulation

この治療法は、脳の深い部分に電気刺激を与えて
チックを緩和・消滅するという治療法で、
チックの難治症状に対して施術されています。

◆医療機関
実際の手術は脳神経外科での施術になりますが、
脳神経内科が窓口になることもあります。
日本では、東京都小平市にある国立精神・神経センター病院が中心になって、
チックに対するDBSの治療や研究をされています。
現在では、その施術を学ばれるお医者様も増えているようですので、
他の医療機関でも施術が可能になって来ているのではないでしょうか。

NPO法人日本トゥレット協会の公式サイトの【医療機関】で検索し、
直接、脳神経内科、脳神経外科のある医療機関にお尋ねになってみてください。

◆DBSの現在
DBSは、これまでにも難治性疼痛や不随意運動症(本態性振戦・パーキンソン病・
ジストニア)の治療法として施行されています。
世界中ではすでに125,000人以上の患者さんがこの治療を受けられています。
日本では、2000年4月に健康保険が適用されました。

しかし、チックの治療法としての歴史は浅く、
日本では1999年の成功例を皮切りに施術が増えてきました。
とは言え、海外でのDBS件数は多いですが、本邦は決して多いとは言えません。
(2010年2月の報告では4件。この5年間では7件と聞いています)

しかし、近年、厚労省からの助成も受け、
DBSの研究や治療が強化されてきたとの報告がありました。
また、「トゥレットのDBSは、これまで数多く行われてきたパーキンソン病の
DBS手術と比べて機器を埋め込む場所が少し違うだけなので、
パーキンソンのDBSに慣れている医師にとってはそれほど難しいものではない」
といった医師のコメントもあるそうです。
現在、DBSの治療を検討されている方には朗報ですね~💙

◆DBSの治療内容
ジストニアの治療におけるDBSについては、以下のように説明書きがあります。
「DBS装置は電極、連結ワイヤー、
バッテリーを含むパルス発生装置(脳のペースメーカー)からなり、
電極は脳の刺激目標点に留置され、
パルス装置は前局部鎖骨下あるいは腹部に埋め込まれます。
連結ワイヤーは頭部から耳の後方の皮下を通りパルス発生装置へつながります。
バッテリーは3年毎に交換しなければならず、定期的に手術が必要です」

トゥレット症の治療も同様の手術になりますが、
「電気刺激を与える部位としては、視床、淡蒼球、内包前脚、測座核」とのことです。
(*2010/02/11 トゥレット症候群の医療を考えるシンポジウム 於:国立精神神経センター病院 )

手術は頭蓋骨に50円玉くらいの穴をあけて電極を入れます。
また、電気刺激は1度与えれば終わりというものではなく、
上記のとおり、パルス発生装置を体に埋め込み、定期的に微電流を送信します。
このようにメンテナンスも必要になりますので、大きな治療と言えるでしょう。

◆治療効果とリスク
効果は高いのですが、リスクがゼロというわけではありません。
・脳内での出血
・脳付近での脳脊髄液の漏れ
・感染症
・植込み材料に対するアレルギー
・手術部位での痛み(リスクの解説:Medtronic)

また、脳を刺激することにより発生する副作用もあるようです。

効果もリスク(後遺症・副作用)も人様々であり、慎重な選択を要するでしょう。

◆手術開始までと入院期間
DBS手術の場合、適応となるか否かの判断を下すため、
半年間ほど外来受診をしていただき、様々な検査を行う必要があるそうです。

入院期間の目安は、 国立精神・神経研究センターでは約2週間とのことですが、
予後が良い場合、5日ほどで退院された患者さんもいらっしゃるとのことですので、
個人差があることもご了承ください。

◆手術費
費用に関しては、医療機関によって差があります。
DBSの手術自体は保険適用ですが、
チックの治療となると、どうなのでしょう?分かりません。
病院によっては、「ジストニア性チック」の手術として
保険適用になるとの情報もありますので、各医療機関にお尋ねください。

<高額療養費補助制度の適用>
DBSは高額医療になるため、高額療養費補助制度を利用することが出来ます。
所得区分や年齢によって、支払い額は違ってきますが、
現役並み所得者(年収370万円~約770万円)の場合ですと、
自己負担額は約8万円余り(80,100円+〔総医療費-267,000円〕×1%)です。
詳しくは→ http://hoken.kakaku.com/insurance/gma/select/high-cost/self-pay/

但し、高額療養補助制度は保険診療分に対する助成ですので、
個室の差額代や食事代は補助の対象となりませんのでご留意ください。

<高額療養費助成の申請先>

★社会保険(社保)→健康保険証に記載されている協会(もしくは組合)
・全国健康保険協会(協会けんぽ)
・組合管掌健康保険(組合健保)
・共済組合
★国民健康保険(国保)→住所のある市役所(もしくは区役所)

◆DBSの必要性
チックは軽症のものばかりではありません。
重度で難治性のチックのケースでは、
自傷他害の運動チックや、絶叫等、大音量のチックのため
社会生活が難しく、日常生活にも困難を来します。

そういった患者さんにとって、DBSは救いの一手となります。
術後は、生活の安穏を得ることが出来、将来に希望を持って
新たなスタートを切られている患者さんがいらっしゃいます。

今後、チックに対するDBS治療が出来る医療機関が増え、
手術へのハードルが低くなることを切に願うばかりです。


チックの治療法ーNo.5 ボツリヌス治療

2018年09月27日 | トゥレット(チック)症の治療法

No.5 ボツリヌス治療

ボツリヌス治療は、ボツリヌス菌が産み出す毒素を患部に注射し、
筋肉を弛緩させることで、チックの発現を緩和させます。

これまでにも、
眼瞼痙攀・片側顔面痙攀・痙性斜頸(頸部ジストニー)・痙縮など、
不随意運動や筋緊張の異常亢進状態を改善するために行われています。


しかし、注射の箇所や投与する量を慎重におこなう必要があり、
リスクがないわけではありません。
そのため、認定を受けた医師のみが行うことが出来き、
どの医療機関でも治療が出来るというわけではありません。
大学病院など、ボツリヌス治療外来のある神経内科などで治療を受けられます。
また、効果の持続期間があるため、
効果を持続させるために、投与を繰り返す必要が出てくるでしょう。


チックを治すというより、チックを一時的に緩和する治療法です。


チックの治療法ーNo.4 歯科学的治療

2018年09月27日 | トゥレット(チック)症の治療法

No.4 歯科学的治療

◆歯科学的治療とは、
マウスピースによる顎関節の調整技法(スプリント技法)になります。

チックの軽減や消滅・・・
それは、あたかも魔法のようなツールにも見えます。
<参考動画>
マウスピース装着によるチック症状の比較
https://www.youtube.com/watch?v=CpiGEO0ueME

◆効果はどうなの?
この治療法は、1980年頃、ヨーロッパで確立したもので、
その後、アメリカのDr.StackやDr.Sims が共同で
トゥレット患者への適用を考案しました。


日本からも実際、数人の患者さんが渡米し、Dr.Sims の治療を受け、効果が出ています。

彼の治療を受けた米国の患者さんの感想がFacebookにアップされていますので、ご覧ください。
Facebookページ「トゥレット友の会」2017年11月13日(翻訳版)
https://www.facebook.com/tourette.friends/posts/1678409785512974?__xts__[0]=68.ARBFZN_xgFY7ANlakbGXckGJ_BwQ_-SS6f4z2wrYLfZKrWPxGxVOz494BjgQm94IG4pHjf62VxNqmI1qG1Q9rdDgkC06zE5wKta-wWF85M6piEf8qHgEDgdd6IK9ZfC_-RA0mOfkeoy2JBXZkvfPEHPEhLVxRLTgolRbDfcPV5cjeRjb1a01cQ&__tn__=-R

2017年よりウイールコーネル薬科大学でその治療効果に関する研究がなされ、
昨今、エビデンスも得られつつあります。
この治療法が確立するのも近い将来だと思われます。

◆治療の内容について
「トゥレット友の会」のHPの<治療(歯科学的アプローチ)>のページに
掲載していますので、ご覧ください(写真付き)
https://www.tourette-friends.org/dental

*注意:治療用のマウスピースは、市販されているスポーツ用の物とは違います。
また、マウスピースの製作は、トゥレット症の治療技法の研修を受けたドクターのみに
限定されますので、一般の歯科クリニックでは治療は出来ません。

◆どこで治療を受けられるの?
マウスピースによる治療が出来る歯科クリニックについては、
「トゥレット症候群治療推進学会」の歯科クリニックの一覧表をご覧ください。
http://www.pntts.net/

日本では、これまでこの治療法は知られていませんでしたが、
「トゥレット症候群治療推進学会」が2016年5月、Dr.Sims をアメリカから招聘し、
大阪大学歯学部らと手を組んで、シンポジウムと研修を開催しました。
その後、十数人の歯科医がマウスピースによる治療の研究を進め、臨床治療を行っており、
より精度の高い治療法へと技術を高めていってくださっています。

◆治療費について
受診初日は、問診と治療説明等を受けて、
マウスピースによる治療を開始するか否か、ご検討いただきます。
初期費用がそこそこかかりますが、
マウスピースの使用期間は半年~1年前後が一般的ですので、
長期に渡って治療費がかかるわけではありません。

投薬治療の場合、長期間に渡り服用するケースが多いので、
投薬治療も長い目で見ると高額になります。
また、薬は副作用が出ることもありますが、
マウスピースは副作用がない点が、メリットとも言えます。

<治療費>
*参考:医療機関によって差がありますが、概ねの金額です。
・診断検査料       15000円
・スプリント製作料    70,000~100,000円
・スプリント調整料 毎回 5,000円~
・MRI撮影 (メディカルスキャニング依頼) 35,000円
・バイオネーター、ALF、ツインブロック(可撤式矯正装置)70,000~100,000円

*注意:高額療養費制度の対象外
歯科の自費診療は高額療養費制度の対象になりません。(例外を除く)
但し、歯科の自費診療は一般医療費同様、医療費控除の対象となりますので、
年間の医療費が総計10万円を超える場合には、確定申告していただくと、
医療費控除を受けることが出来ます。


*・・・・・*・・・・・*・・・・・*・・・・・*
ご不明な点があれば、直接、歯科クリニックにご連絡いただくか、
「トゥレット友の会」にお問合せください。


チックの治療法ーNo.3 漢方療法

2018年09月26日 | トゥレット(チック)症の治療法

NO.3 漢方療法

昨今、漢方薬は東洋医学の医療機関や漢方専門店だけでなく、西洋医学の医療機関でも処方されています。

西洋薬は効果が出やすい一方、副作用が出ることもあります。
その点、漢方薬は効き目が穏やかですが、副作用が比較的低いので、
西洋薬に抵抗がある方は漢方を選ばれています。

東洋医学ではチックを痙攣の一種と診ており、
抗ストレス作用があり、気持ちの高ぶりを静め、
気持ちを安定させる作用の漢方薬が処方されます
医療機関でよく処方されているのが、
抑肝散 加陳皮半夏(よくかんさん かちんぴはんげ)。
これは「抑肝散」に「陳皮」と「半夏」を加えた処方です。
<配合されている生薬>
・柴胡(さいこ)   ・川芎(せんきゅう) ・釣藤鈎(ちょうとうこう)
・当帰(とうき)   ・陳皮(ちんぴ)   ・半夏(はんげ)
・茯苓(ぶくりょう) ・蒼朮(そうじゅつ) ・甘草(かんぞう)

また、漢方を専門に取り扱う専門店では、
チック以外の不調や症状にも合わせて処方してくださるメリットがあります。
参考までに、某漢方薬専門医の処方を記します。
サイコ・シャクヤク・ケイシ・コウブシ・カンゾウ・リュウガンニク・トウキ、その他

漢方を取り扱っている医療機関や、漢方の専門店へご相談ください。
注意:薬物療法で治療中の方は、飲み合わせの悪い生薬もありますので、
必ず、服用中の薬品名をお伝えくださいませ。


チックの治療法ーNo.2 心理的療法

2018年09月25日 | トゥレット(チック)症の治療法

No.2 心理的療法
チックの治療法として心理的なアプローチによる行動療法があります。

1.チックのための包括的行動的介入療法(CBIT)

英語のCOMPREHENSIVE BEHAVIORAL INTERVENTION FOR TICSの
頭文字を取って、「CBIT」とも呼ばれています。

欧米では、薬物療法に並んで心理的アプローチによる行動療法が主流です。
2001年には米国トゥレット協会がCBITの効果を検証するため、
大規模な調査をおこなった結果、一定の改善効果を確認することが出来き、
アメリカではCBITが先行しています。

しかし、日本の医療土壌においてCBITが浸透していないため、
医師も患者もその療法があることさえ、知りません。
そのため、この行動療法に着目した日本の医師らが、
数年前からCBITの導入を試みました。
その第一歩として、今年(2018年)9月30日に
「CBIT」のセラピストガイド(翻訳版)が刊行されます。


<著書の紹介>
チックのための包括的行動的介入(CBIT)セラピストガイド

  -トゥレット症とのつきあい方 -
       監訳:金生由紀子・浅井逸郎

    (丸善出版)¥4,860

また、薬物療法とCBITとの複合的治療は単独治療よりも高い効果を発揮することが、

「米国トゥレット協会のインパクトサーベイ(2018年)」で明らかになっています。

*薬物による単独療法での効果 :大人47% ・ 小児44%
*CBITによる単独療法での効果 :大人36% ・ 小児40%
*投薬とCBITの複合療法での効果:大人77% ・ 小児80%

 

<CBITの特徴>

◆CBITは、ハビットリバーサルの応用編とリラクセーションです。

流れとしては、8セッションのフルセッションにフォローアップが3セッションあります。

 ★第1段階 1~8セッション(期間は約10週間)
       患者さんの改善状態に応じて治療期間が前後します。
 ★第2段階 9~11セッション(追加のフォローアップ)
       8セッション終了後、3ヵ月間のトレーニングの間に3回行う。

最初のポイントはチックに対する本人の気づきです。
次に、チックと前駆衝動について、本人に意識を持たせることが鍵になります。
従って、どちらかと言えば、突発的に起こるチックの患者さんよりは、
「チックが出そう・・・」
「ムズムズして、チックを出したい!」といった
前駆感覚のある方の方が取り組みやすいまもしれません。

いずれにしても、最初のセッションで前駆感覚を認知することから始めますので、

突発的なチックの患者さんにおいても、心配はないとのことです

②次に、ハビット・リバーサル・トレーニングです。

 これは、拮抗反応を利用した行動療法で、CBITの中核になります。

③次に、リラクセーションです。

 ・セクション4で「複式呼吸法」を学びます。

 ・セクション5で「漸進的筋弛緩法」を学びます。

呼吸法と筋弛緩法を上手く利用して、チックを出したい感覚を外に逃がしていき、身体をリラックスさせます。

④最後に再発防止を学びます。


◆このように、数週間かけて意識と行動の変化を積んでいく療法ですので、
即効性を望むものではありません。以下のようなタイプの方に効果が顕著です。

根気や真面目さなど、性格を考慮する必要があります。

・本人の治したいという意気込みや強い意思が必要です。

 但し、本人の意欲とは関係なく、効果の出やすいケースと出にくいケースとがあるようです。

・本人の治療意識が不可欠なので、年齢としては9歳以上に有用性があると言われています。

 年齢的に幼いと、CBIT療法をしている意味が分からないので、効果がありません。
 また、脳の発達を考えると、若年層のほうが効果は顕著であるとのことです。 

◆CBITは必ずしも全ての人に効果があるものではありません。
・チックが重症な方や怒り発作を伴う方は効果が出にくいといった声もあります。

・併存症(ADHA・ASD等)や精神障害、社交性の問題がある場合、
 トレーニング上、困難を伴うため、良い結果にならないこともあります。


<CBITの療法をおこなう機関>

CBITをおこなう資格として以下の条件があるため、施術者が限定されます。
  ①CBIT養成のトレーニングを受けた者。
  ②指導者は医師、臨床心理士、作業療法士、理学療法士、看護師等が
   対象となりますが、チック患者の臨床経験が3人以上あること。

現在、日本ではCBIT療法が出来る医療機関は極めて少なく、
ハードルが高いと言わざるを得ません。
医療機関としては、現在、日本では以下があります。

 ★東京大学医学部附属病院 / こころの発達診療部

 ★独協医科大学埼玉医療センター/ 井上 健先生(2023年5月追記)

→井上先生は、「誰でも、気軽に、安価で」受けられるよう、【リモート&グループ】によるCBITのセッションを推進されていらしゃいますので、遠方からでもオンラインで本プログラムに参加できます。

 ★一般社団法人 日本CBIT療法協会(2020年7月追記)

 ★瀬川記念小児神経学クリニック ⇒ 一般社団法人 日本CBIT協会
→瀬川記念小児神経学クリニックでは、CBITを「一般社団法人日本CBIT協会」としています。
CBITは8セッションのパッケージプログラムですが、初回を当クリニックで体験後、CBITを継続できそうだと判断されたケースにおいて、2回目以降のセッションを、「日本CBIT療法協会」との契約にて受けます。


2.曝露反応妨害法(ERP)
→ ERP:Exposure and response prevention

強迫性障害の治療法の1つとして曝露反応妨害法という技法がありますが、
チックにも効果的であると言われています。

突発的なチックではなく、不安・習慣化・強迫観念が伴うようなチックには、
このERPが有効かもしれませんね~💛


 *・・・・・*・・・・・*・・・・・*

投薬治療に抵抗がある方は、上記の行動療法を検討されるのも
一つの策ではないでしょうか。


チックの治療法ーNo.1 薬物療法

2018年09月24日 | トゥレット(チック)症の治療法

No.1 投薬治療

薬物療法が主な理由
ヨーロッパではチックの治療法として、投薬や認知行動療法が主流ですが、
日本では、投薬治療が圧倒的に多いでしょう。

理由としては、以下が考えられます。
①投薬の効果が短期間で分かること
 早い患者さんですと、数日で効果が見られます。
 徐々に効くお薬でも、3週間~1か月で効果が出ます。

②患者が受診しやすいこと
 受診先は・・・
 💙大人:精神科、脳神経内科、心療内科。
 💙小児:小児科(発達相談の診察ができるところが好ましい)・
     小児神経科・児童精神科・子ども発達クリニック

従って、多くの患者さんが最初にトライする医療は投薬治療になることでしょう。


◆どこの医療機関で診てくれるの?
NPO法人日本トゥレット協会のオフィシャルwebサイトの【医療機関】で、
「トゥレット症」を診察できる医療機関(全国版)の一覧が見れます。

但し、これは、全国の病院にアンケート調査を行ったところ、
「トゥレット症候群の患者さんを診ますよ」と回答があった病院名です。
必ずしも、名医だとか必ず治るという確約はありません。

トゥレット症の患者を診た経験がない医師であっても、
患者さんの声を真剣に聴いて、トゥレット症のことをちゃんと調べ、
その患者さんにあった薬を真摯に探そうとしてくださる医師であれば大丈夫です。
チックの処方薬情報は、どの医師でも知り得ることが出来ます。

大事なことは、医師の治療に対する熱意💛や相互の信頼関係💙でしょうか・・・(^^)

◆投薬の効果は?
多くのお医者様は、ドパミン系に作用する薬を処方されますが、
近年ではドパミン系以外にもセロトニン系、グルタミン酸系、GABA系などが検討されており、
最近ではヒスタミン系も注目されているとの報告があります。
薬も、日々、進化していますので、期待したいところですね~!

投薬効果は、個々によって違います。
Aさんには効いたけども、
Bさんには、少しも効かないということもしばしばありますが、
最初の薬が効かないからといって、投薬治療を諦めるのは早急です。
投薬はいくつかタイプがありますので、焦らず、試されることをお薦めします。

もし、半年~1年以上経っても効果が全く見られないのに、
同じ薬しか出してもらえないようでしたら、転院することも1つの策です。
お医者様によっては処方する投薬内容に偏りがあることもあるからです。

また、薬の内容によっては、指定医師でないと処方出来ない薬もありますので、
お医者様にご相談なさってみてください。


◆副作用は?
投薬の場合、副作用が全くない方もいれば、
逆に副作用の方が重くて投薬治療を断念される方がいらっしゃいます。

主な副作用は
眠気と気力低下・だるさが多いです。
その他、
ドパミン受容体遮断薬など、薬の種類によっては
アカシジアや手の震え、眼球が回るといった副作用もあり、
その副作用を抑えるための投薬がプラスされるといったこともあります。

勿論、お医者様は副作用も理解した上での処方ですので、
違和感を感じたり、違う症状が出てきた時は、直ぐにお医者様にお伝えしましょう。
副作用が出た場合は、相談しながらの投薬になりますね~。

◆投薬効果の曖昧さ
投薬効果は個人差があり、その効果は、概ね5~6割とも言われています。
残念ながら、投薬効果が見られない患者さんもいるということです。

患者さんが成長期の場合、12歳前後は脳神経細胞の成長が最も活発化します。
それに伴い、チックが顕著化するため、投薬効果が追い付かないのかもしれないですね。

会員さんからも、
「最も悪化する時期は、何をしても効果が見られなかったけど、
試行錯誤しながら生活しているうちに
年齢的に落ち着いたのか?薬が効いたのか?何が効いたのか分からないけれども、
高校の頃には、落ち着きました」という話をたくさん聞きました。


◆チックのアップダウンは日常的!
また、神経疾患という特徴から
目に見えない要素が、症状を悪化させたり緩和させたりもします。

ストレスがチックを悪化させることはよく知られていますが、
・新学期移行時の緊張感。
・行事前の興奮、行事後の疲れ。
・仕事の疲れ。
・気圧の変化。気温の変化。
春などは前線の動きが活発なので、
自律神経のバランスが崩れ、
神経疾患でもあるチックの患者さんは大変で~す。
(勿論、個人差があります)

このように、
チックは目に見えない要因で悪化したり緩和したりすることが多いですので、
薬の効果に一喜一憂しないで、「そのうち治る」くらいにゆったりとした気持ちで
治療に当たっていくことも大切ではないかと思います。


チック症の治療法について                  ー 色々な治療法のご紹介 No.1~8

2018年09月23日 | トゥレット(チック)症の治療法

昨今、「トゥレット友の会」の会員さんから
治療法についてのお問合せが多く、関心の高さが伺えます。

近年、トゥレット症の認知度が上がっており、
諸外国では、薬物療法以外にも様々な治療法の研究が進んでいます

本日は、現在、どんな治療法があるのか?といった事を、
ブログをご覧いただいている皆様にもお伝えさせていただきます。


 * ― * - * - * - * - * - * 

これまで、いろんな当事者やそのご家族とお会いしてきましたが、
個々によって、治療が必要な人と
治療をしなくても、なんとかやっていける人と
個人差が大きいのも、この病気の特徴です。

また、症状や重症度も様々であれば、治療効果もまた一様ではありません。
結局、ご自身にあった治療法や緩和方法を模索しながら、
チックと上手く付き合って生活する方法を会得されていらっしゃいますね。

以下に述べる治療法は全ての人に効果があるということではありません。
自分に合った治療や緩和法を探っていただくための情報として、
ご覧いただければと思います。

(各治療法の詳細に関しては、追記チックの治療法No.1~No.8でお伝えします)

 <チックの治療法>


1.薬物療法
(大人)
💛チックが主症状の場合→脳神経内科・精神科・心療内科
💙併発症の問題が大きい場合→精神科

(小児)
💛小児科(発達相談の診察ができるところが好ましい)・
💙小児神経科・児童精神科・子ども発達クリニック


2.心理的療法/チックに対する包括的な行動介入療法(CBIT)
 →COMPREHENSIVE BEHAVIORAL INTERVENTION FOR TICS


3.漢方療法


4.歯科学的療法/スプリント技法による治療
  
マウスピースの使用による顎関節の調整技法です。


5.ボツリヌス治療
 
 ボツリヌス菌投与による筋肉の弛緩を利用して、チックの軽減をはかる。


6.外科的療法/ニューロモデュレーション
①電気や磁気の刺激をかける方法(TMS:Transcranial Magnetic Stimulation)


②脳深部刺激療法(DBS:Deep Brain Stimulation)


7.自己免疫性溶連菌関連性精神神経障害(PANDAS)として発現したチックに対する治療法
 
 →PANDAS=Pediatric autoimmune neuropsychiatric disorders associated with streptococcal infections
 (溶連菌に感染した後、チックや強迫性神経障害を起こす症状です)

8.その他の治療法・民間療法

*食事療法・栄養療法


*タッチケア・アロマセラピー:リラックス効果


*ヨガ・座禅:自律神経のコントロールによる効果


ー以上ー


10/8 トゥレット友の会「秋の交流会 in 横浜」         ~主に当事者を対象とします~

2018年09月22日 | 「トゥレット友の会」のイベント情報と報告
トゥレット症(チック症)の当事者の方を対象にした交流会を開催いたします。
 *保護者様対象の交流会は9/30(日)です。

当事者の方は、チックと上手く付き合う方法を模索しながら生活をして来られたと思います。
そんな体験を皆さんで語り合ってみませんか!貴重な情報交換の時間になればと思います。

10/8の交流会は当事者様対象の集いになりますが、
保護者の方が社会人の当事者様の声を聞いてみたいということで
参加される方もいらっしゃいます。
また、会員でない方の参加も可能です。

どなた様も参加可能ですので、お気軽にお申込みください。
(FacebookやTwitterでも情報公開しています)

10/8 秋の交流会 in 横浜(当事者対象)

◆ 日時:2018年10月8日(月・祝日) 13:00-15:00 (入退室自由)

◆ 会場:かながわ県民センター7F/ミーティングルーム 710号室

◆ アクセス:横浜駅(きた西口もしくは西口)から徒歩約7分
  地図→http://www.pref.kanagawa.jp/docs/u3x/cnt/f5681/access.html

◆ 参加費:¥100(会場費として)

◆ 要申込:「トゥレット友の会」HPの【問合せ】よりお申込みください。(定員24名)
  ホームページ→http://tourette-friends.jimdo.com/

    何かご不明な点があれば、HPの【問合せ】よりご連絡ください。