2015年2月28日(土)、発達障害理解のための講演会“発達障害のある人の「思春期」について考える”に参加して来ました。
この日は、トゥレット友の会のメンバー2人で参加しました。
事後報告になりますが、ご参考までにご一読ください。
講師の先生は精神科医・医学博士の渡辺慶一郎氏。
東京大学学生相談ネットワーク本部准教授
精神保健支援室/コミュニケーション・サポートルーム室長という肩書の、とっても偉い先生。
柔らかい物腰のトーク。会場からの質問にもあったかいコメントで対応されていました。
印象的だった話は、
子どもに「発達障害」であることを、いつ、どういったタイミングで告知するか?
まず、告知の意義を考えてみよう。
告知は、「あなたは、こんな発達障害であって、そこが弱点なのよ」と、
単に事実を伝えるだけのものではない。
本人が主体を持って生きて行くために、自身の特性を知ってもらい、
それにどう向き合って将来を考えていくかの一助になるためのものでなくてはいけない。
従って、告知のタイミングとしては
本人が自分の違和感で苦しんでいて「自分とはなんぞや?」と思う時、
はじめて、発達障害であることを伝えるのがいいのではないか、と言う先生のお話だった。
その時期は、子どもが思春期を迎える頃に訪れることが多いので、
保護者は、子どもをよく見て、よく関わって、告知のタイミングを図ることが大事ともおしゃっていた。
*告知前の準備としては、親はきちんとした診断(例えばWISC検査)を受けさせて、
障害特性を把握しておく必要があるとのことです。
≪告知の失敗≫
・子どもと医師との間に、信頼関係が築けないうちに障害を伝えた
・告知のタイミングが遅れた(過去の苦い経験がトラウマになったまま大人になる)
・診断によるダメージ(悪いレッテルを貼られた気持ちになる)
また、この告知に伴う大切な鍵は、親の子どもに対する“子育ての理念”。
言いかえれば、親が自分の子供に
「どう育ってほしいのか」「どういう大人になってほしいのか」
という点を、親自身が整理出来でいないとダメだということである。
例えば、「どこどこの大学の何学部がいいだろう」とか
「あなたは、これは不得手だから、○○の仕事に就きなさい」とか
そういった親の考えを子どもにアドバイスするということではない。
告知は、単に障害を伝えるということではなく、
「社会とどう向きかっていくのか」
「社会の中で自分のアイデンティティーをどう織り交ぜていくのか」
そんなことを、子どもと話し合いながら、
障害特性をプラスに転じれるよう伝えていくことだと思う。
総じて、告知とは親の覚悟である。
親は、誰しも子どもの「幸せ」を願っている。
それは「いい大学に受かること」でもなければ、「いい仕事に就くこと」でもない。
ましてや「金持ちになること」や「思い通りになる人生」でもない。
大事なことは、その子どもの幸福感である。
従って、親は「子どもが、どんなふうに育てば“幸せ“を感じる大人になるか」を考え、
親の“子育て理念”を明確化し、子育ての中で伝えていくことに尽きると思う。
思春期は第2の成長期であり、「自分を見つめる」大事な時期。
この時期に、親は子どもの心に寄り添い、配慮をしてやりたいものである。