今日は、皆様と「睡眠障害」とその予防 について考えてみたいと思います。
トゥレット症候群を抱えている人は、睡眠障害を生じ易い傾向があります。
皆様は、いかがですか?
睡眠障害を軽んじると、社会生活に支障が出てきて大変なことになってしまいます。
また、睡眠不足から疲労が取れていなかったり、体調を崩していたり・・・、
最悪、うつ症状など精神疾患を併発することもあります。
チックは「寝ている時には発現しない」というのが定説ではありますが、
実際、ぐっすり眠れているのでしょうか?
表面的には眠っていますが、チックを抱えている方は脳の中で神経が興奮状態にありがちです。
そのため、不眠症や睡眠覚醒リズム障害が生じることもあります。
以下はその症状です。
<不眠症>
◆入眠障害:「寝付きが悪い」(布団に入ってから入眠に1~2時間以上かかる)」
◆熟眠障害:「睡眠が浅い」(熟睡感がない・ウトウト状態)
→深い眠り(ノンレム睡眠)の状態がなく、ずっと浅い眠り
◆中途覚醒:「途中で目が覚める」(トイレに行きたいわけでもないのに・・・泣)
◆興奮:「なかなか入寝出来ない」
→お子さんの中には、夜になると昼間の活動が興奮として残り、
跳んだり走り回ったりしてなかなか就寝に至らないケースもあります。
◆早期覚醒:「朝、早く目が覚める」
<睡眠覚醒リズム障害≫
睡眠のリズムが崩れ、昼夜逆転の状態になったり、一定の時間に就寝起床が出来ない。
◆不眠状態:上記の不眠状態で眠れない
◆過眠状態:8時間以上眠る。寝過ごしてしまう。
≪注意:以下のケースは除く≫
・ナルコレプシー(過眠症)
・睡眠時の無呼吸障害
・手足ムズムズ病などの他の疾患による症状
・身体疾患や精神疾患に合併した不眠
お子さんの場合、自分が寝付きが悪いことにさえ気がついてないケースもあります。
ある青年は、
「物心ついたころから寝つきが悪かったので、大人になるまで『寝るという行為は凄く時間がかかり、
どの人間も努力しないと寝れないものだ』という認識だった」と語っていました。
こうした状態が長く続きますと、慢性の睡眠不足になり健康を害してしまうのは必至です。
そうならないためにも、一緒に予防を考えてみましょう。
<睡眠障害の予防>
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★睡眠の取り方
1・夜9~10時には灯りを落とす(暗い暖色照明が好ましい)
2.寝る直前まで、ゲームをしたり、テレビ・スマホを長時間見ない。
→液晶画面のブルーライトは脳を覚醒します(メラトニンを抑制してしまう)
それによって自律神経を興奮させ体内時計のリズムも乱れてしまいます。
3.いい寝室環境をつくる
→適度な遮光(人によって、真っ暗な部屋や薄明りの部屋など、好みが違います)
寝室でスマホやゲームをしない。静かな空間。湿度温度管理。
4.眠れなくても布団で横になるだけで体は休まるので、眠れなくても焦らない。
5.布団で考えごとはしない。
6.睡眠は最低でも6時間は取りたいが、寝れないことに神経質にならない。
人によって適正な睡眠時間は違うといわれています(→5~8時間で探ってみましょう)
7.遅くとも朝10時までには起床!
過眠(寝すぎ)は脳の働きを悪くするのでNGですね。
8.疲れたら昼寝をしてよいが、長時間眠らない。(昼寝の理想的な時間は20分)
★ メラトニンの分泌を増やす
メラトニンは松果体から分泌される脳内ホルモンで、「睡眠ホルモン」とも呼ばれていて、
睡眠を誘う(眠気導入)効果と睡眠リズムを整える効果があります。
メラトニンは体内時計と環境光の両方から調節を受けて分泌されますので、
その点を改善することにより、分泌を高めることが出来るでしょう。
9.メラトニンの元になるセロトニン(幸せホルモンと呼ばれ、精神を安定させる)を増やす
①早起きで朝日を浴びる→起きなくても採光のためカーテンを開ける
→セロトニンは日照時において分泌されるので、起床後10分間はお日様を見ましょう。
②食事はタンパク質をしっかり摂る(例:鶏のむね肉・バナナ・牛乳)
理由:トリプトファン(タンパク質)→ セロトニン → メラトニンの生成につながる
注意:腸内環境が整ってないと、せっかくの栄養も吸収されません。
朝起きたら1杯の水を飲むなどして、胃腸の働きを整えましょう。
③ウォーキングの習慣(ゆっくりしたリズム運動)
④咀嚼運動(よく噛む)・・・落ち着かない時、ガムを噛むのはgood!
★脳を必要以上に興奮させない
10.カフェイン(コーヒー・濃い緑茶)は午後2時まで。一般の脳より過敏です。
11.電子機器の使い過ぎにはご注意→電磁波は脳の神経バランスを崩すかも?
★寝る前は体温を下げる→眠気が出る
12.入浴は寝る少し前にする。温めの湯舟を張ってやや長めに入りリラックスする。
13.入浴前に、明日の準備、そうじ、ストレッチ、家でできる仕事(勉強)など、
何かしら小さな達成感を得てからお風呂に入る。(患者さんの声より)
14.寝る前は激しい運動はしない(静かな環境・興奮させない)
★その他
15.日中の適度な運動(軽い身体の疲れは熟睡を促す)
16.休日は不必要に家でゴロゴロしない。外出などをして生活のリズムを崩さない。
17.大きな声を出す(音読をする・歌を歌う)
18.体温調節はとても大事です。
手足から熱を放出して体温をコントロールしていますので、手足のグーパー運動など
をして末端の血流をよくしましょう。
19.好きなことをする(熱中できる時間を作る)。但し脳を過剰に興奮させるのはNG。
20.自然に親しむ(例:登山・植物採集)
→森林浴は脳を癒す:草木にはストレスを「青葉アルデヒド」などが含まれている。
→水や波の音には「ゆらぎ」リズムがあり、脳を癒す。
21.マッサージ・タッチセラピー・アロマ等でリラックス
→交感神経系(闘争・逃走反応をつかさどる)の高ぶりを鎮め、
副交感神経系(休息や消化をつかさどる)の働きを活発にする。
22.呼吸法・ヨガ・瞑想・座禅 など、自分にあった方法を取り入れ、脳神経を安定させる。
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睡眠障害のない方でも、睡眠が上手く取れてないことがあるかもしれません。
自分に合った予防法を1つでも取り入れて、質の良い睡眠を心掛けましょう。
これから、冬至に向けて日照時間が益々減っていきます。
お日様の有り難さを実感しつつ、日々健康に過ごせるよう気をつけていきましょう。